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2023/01/07(土) 09:09

「経済・社会の発展に貢献」不動協・菰田理事長/日本を「菅」変える 新年賀詞交歓会

投稿者:  牧田司

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菰田理事長

 不動産協会と不動産流通経営協会(FRK)は202316日、合同新年賀詞交歓会を開催。不動産協会・菰田正信理事長(三井不動産社長)は次のように挨拶した。

 皆様、明けましておめでとうございます。不動産協会理事長の菰田でございます。

 本日は不動産協会、不動産流通経営協会合同の新年賀詞交歓会に、斉藤国土交通大臣をはじめ、日頃よりご指導いただいております国会議員の先生方、関係諸官庁・友好団体や報道関係の皆様など、多数ご出席いただき、まことにありがとうございます。主催者を代表いたしまして、ひとこと年頭のご挨拶を申し上げます。

新年賀詞交歓会は3年ぶりに開催することができました。コロナ対策をしっかりと講じながら、進めていきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

まず、昨年を振り返ってみますと、コロナ禍は想定以上に長引いているものの、ワクチンと治療薬の普及とウイルスの弱毒化によりコロナと共生できる環境になりつつあり、次第に経済活動の正常化が図られてきました。

コロナに代わって最大の脅威となったのがロシアのウクライナ侵攻であります。世界平和を守る秩序が真っ向から否定された形となり、未だに解決の糸口が見出せない状況です。

経済面でもコロナからの回復による需要急増とロシア・ウクライナ紛争などによる供給制約で世界の各国でインフレが急速に進行し、それを抑えるために金融の引き締めが行われました。国内では金融緩和を継続したこともあって、為替が大きく円安に振れました。今後も海外経済の下ぶれが懸念されるなど、先行きについては非常に不透明な状況にあります。

今年の展望ですが、ロシア・ウクライナの紛争は長期化を覚悟せざるを得ない状況ですし、経済についても物価・金利・為替など非常にボラティリティの高い状態が続く見通しです。

ただ、コロナ禍については、コロナ後の世界がある程度見通せる状況になって来ましたので、今年はコロナがもたらした価値観や社会構造の不可逆的な変化を的確に捉えて、コロナ後の世界で持続的な成長を果たすための新たな飛躍の年にしなければなりません。

コロナの拡大は、DXの進展や価値観の多様化等、コロナ以前から進んでいた構造的な変化を大きく加速させ、それに伴って不動産業を取り巻く環境や求められる役割も大きく変わってきております。リモートワークが浸透する一方、リアル空間でのコミュニケーションの重要性も再認識され、リアルとデジタルの組み合わせの最適化が重要になってきています。また、国を挙げてGXが推進される中、まちづくりや住まいの環境整備を通じて、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献することが求められます。

当協会では、そうした観点から、税制および政策について、要望活動を積極的に進めております。先日決定された令和5年度与党税制改正大綱では、最重点要望であった「長期保有土地に係る事業用資産の買換え特例」と「都市再生促進税制」の延長が認められたのをはじめ、当協会の主要な要望は概ね認めていただいています。経済の力強い成長に寄与する措置として大いに歓迎したいと思います。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。

さて、今後の協会の活動として、環境政策につきましては、「GXの先導的対応」と「豊かなまちづくり」を同時達成する実効性の高い脱炭素施策推進を支援することが必要です。

そうした中で、建物・都市の脱炭素化を目指し、省エネ政策強化への能動的対応を行うとともに、再エネ導入・利活用の促進を図っていきます。

また、木造化促進への基盤整備を行うとともに、省エネ性能の劣る数多くの既存ストックに対する脱炭素政策を強化することも極めて重要と考えます。

都市政策につきましては、都市構造の変化に対応し、ストック利活用を有効に進めるため、土地利用・建築規制の一層の柔軟化に取り組みます。また、国際競争力強化のため、世界からヒト・モノ・カネ・情報が集まるような、時代をリードする都市開発の進展が必要であり、再開発等諸課題ヘの対応に取り組みます。

住宅政策につきましては、良質な住宅ストックの形成・循環に向け、ZEH等環境性能の高い住宅の供給支援に取り組みます。併せて、建替えの促進、長期優良住宅の普及促進に必要な取組みを行います。また、防災性能の向上に向けた対応を行うほか、子育て世帯等への支援措置の充実を図るとともに、新しい働き方への対応に関する支援拡充に向けた働きかけを行います。

その他、国際化への対応を進めるほか、事業環境の整備について、物流不動産やリゾートの開発なども対象として、幅広く取り組んでまいります。

当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

結びにあたりまして、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様や国民にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。

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不動産協会・不動産流通経営協会(FRK) 合同新年賀詞交歓会(ホテルオークラで)

◇      ◆     ◇

来賓として挨拶した国土交通大臣・斉藤鉄夫氏は「不動産業はわが国の豊かな国民生活や経済成長を支える重要な基幹産業であり、国土交通省も皆さんと連携しながら様々な施策を推進している。令和5年度の税制改正では、事業用資産の買換え特例の延長など主要な税制の拡充・延長が認められた。こうした施策を通じ、経済の好循環を支え、不動産市場の活性化を図っていく。また、政府全体で取り組んでいるデジタル田園都市国家構想の実現に向けた建築・都市のDXの推進や2050年カーボンニュートラルの実現に向け、必要な施策の推進に努めていく。国民の住まいの場や働く場を提供する不動産事業にはこれまで以上の大きな期待が寄せられている」と述べた。

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斉藤氏

ピンチをチャンスに 明るい日本へ「菅」変える

 続いて登壇した前総理・菅義偉氏は、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに為替が1ドル150円の円安に振れたことについて触れ、「あまりにも円安のデメリットだけが強調されていると思えてならない。メリットも多くある。円安のメリットを最大限に活用した対策を講じることが大事。そてし、それはインバウンドであり、農産物の輸出であり、国内の投資だ。インバウンドは、安倍内閣のもと7年間で840万人から3200万人に増え、消費額も約1兆円から5兆円であります。地方の地価も27年ぶりに上昇した。2020年の目標4000万人はコロナのためにストップしたが、2030年目標の6000万人は達成可能。ピンチをチャンスとして捉え、日本を明るい国にすげかえる(「菅」変えると記者は聞こえた)よう取り組んでいかなければならない」と語った。(菅氏が立派なのか、参加者が行儀よいのか、あの時のように会場は水を打ったように静まり返った)

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菅氏

また、前自民党税制調査会会長で衆院議員・甘利明氏は「夢を形にするのが皆さんの仕事、障害を取っ払っていくのが我々の仕事であります。いま日本で一番足りないのは、明日は今日よりきっといい、高度成長期に全国民が共有したわくわくする思い、教育が出来ていないことだが、DXの普及によって、今までできなかったことが、夢を形にすることができるようになってくる。来年が待ち遠しい、わくわくする街づくりのために今年も健闘されることをお祈りします」とエールを送った。

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甘利氏

乾杯の音頭をとったFRK理事長・竹村信昭氏は、「令和5年度の税制改正で、長寿命化に資する大規模改修を行なったマンションに固定資産税を減額するという税制が盛り込まれたのは画期的であり、事業用資産の買換え特例の延長や空き家に係る譲渡所得控除の延長と共に既存住宅流通市場の裾野を広げる非常にありがたい税制と評価」し、不動産流通市場については「東日本レインズのデータが示す通り、首都圏の2022年の首都圏の既存マンションの成約価格は前年比プラスを維持するなど総じて底堅く推移した。今年はウィズコロナでの経済活動の正常化、不動産市場の安定が期待されているが、これに応えるため業界としてしっかり取り組んでいく。中でも、ライフスタイルの変化に合わせて一生のうちに何度でも住み替えを可能とする長期ビジョン『住宅循環システム』の構築について、税制を始めとする政策面での支援を頂き、他団体とも連携しながら、必ずやその実現を目指し注力していく」と語った。

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竹村氏

三井不の岩沙氏・菰田氏・植田氏、野村不HDの沓掛氏の今年に託す漢字(2023/1/7

 

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