三井不動産の代表取締役会長・岩沙弘道氏、代表取締役社長・菰田正信氏、取締役専務執行役員・植田俊氏、野村不動産ホールディングス・沓掛英二社長は1月6日、それぞれ今年1年間を次のような漢字に託した。
岩沙弘道氏 志
菰田正信氏 躍
植田俊氏 妄想
沓掛英二氏 挑
◇ ◆ ◇
記者は不動産協会とFRKの新年賀詞交換会が開かれる前日、参加者に今年1年間の夢を漢字一文字に託してもらおうと決めた。30枚くらいは集まるのではないかと。サイン帳と筆ペンも用意しようと。
しかし、翌日起きてすぐやめることにした。いきなり眼の前にサイン帳を突き付けて「今年1年間を漢字一文字で託してください」などと話しても、とっさに答えられる人などいないだろうし、漢字力はワープロ・パソコンのお陰で小学生並みに退行している小生と同じような人がおり、書こうと思っても書けなかったら恥をかかせることになるのではないかと考えたからだ。
そこで、菰田理事長などのあいさつが終わったら、早々に退散することに決めた。
と、そこに威風堂々、どこからでもすぐ誰かが分かる野村不動産ホールディングスの代表取締役社長・沓掛英二氏が現れ、声を掛けられた。早速、「社長交代は以前から決めていたのですか」と尋ねたら、沓掛氏は即座に「そう。社長に就任して8年。末広がりで区切りがいいと。サクセッション考えないと。向こう10年先を志向したら新しい発想も必要だと」と答えた。
同社は昨年末、沓掛社長は今年4月1日付で取締役会長に、新しい社長には副社長の新井聡氏がそれぞれ就任すると発表した。
ものは試しだ。「沓掛社長、今年1年間を漢字一文字に託すとどうなりますかね」と聞いてみた。沓掛氏は間髪を入れず「挑戦の『挑』だよ」と答えた。
これには驚いた。経営者は頭の回転が違うと。小生も「挑」は書けた。「ちょうは、億、兆の兆に手偏ですよね。しんにょう(逃)じゃありませんよね」とつぶやいたのだが、沓掛氏には聞こえなかったようで反応はなかった。(沓掛氏に自筆を頼めばよかった)
ならば、ひょっとしたら三井不動産の菰田社長、岩沙会長も漢字一文字で夢を語ってくれるのではないかと、退散することを改め聞いてみることにした。
菰田社長もさすがだ。沓掛氏と同じくらいの速さで「飛躍の『躍』」と記者が差し出したノートに記したのだが、記者はそのサインに目が釘付けになった。
「素晴らしい文字ですね」
「いや、わたしの字は女文字なんだよ。かみさんは男文字」
皆さんもとくとご覧あれ。バランスがとてもよく美しい。(いつか機会があったら、奥さんの字を見せてもらおう。まさか書道家じゃあるまい)
次に岩沙会長。「うーん、いま日本に一番欠けているのは…」と「志」と記した。なるほど。
これで完成!お二人を写真に収め、帰ろうとしたら、菰田社長は「次の社長も」と近くにいた植田氏を呼び寄せた。〆た。
「植田さん今年の漢字を」
「もうそうでもいいですか」
「もちろん」
字余りだが、「妄想」と認めた。これこそ植田氏の真骨頂だ。
同社もまた昨年12月9日、今年4月1日付で取締役専務執行役員・植田俊(うえだ たかし)氏が代表取締役社長 社長執行役員に、代表取締役社長 社長執行役員・菰田正信氏が代表取締役会長に、代表取締役会長・岩沙弘道氏が取締役にそれぞれ就任し、岩沙氏は6月開催予定の株主総会で取締役を退任し、同社相談役に就任する予定と発表したばかりだ。
みなさん、「妄想」にはどのような意味が込められているか。是非とも添付した記事を読んでいただきたい。
小生の今年の漢字一文字は「愛」。「哀」にならないように。
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