細田工務店は1月7日、総合展示場「小金井・府中ハウジングステージ」にフラッグシップとなるモデルハウス「GRAND RESULt (グランリザルト)」 をオープンした。社歴76年の同社のノウハウを注ぎ込んだ集大成となるもので、2階のリビング天井高を約3.6m確保するなど「大開口×大空間」+「高耐震」の秀作だ。6日、モデルハウスがメディアに公開された。
「GRAND RESULt」とは「大いなる成果」の意で、プランコンセプトは①新〝木〟流②未来の継手③暮らしを軸組む-の3つ。
①では、耐震等級3を実現した構造強度を確保。天然木サッシ、天然無垢床材、ホタテ漆喰壁を多用し、大開口窓と約7mの吹き抜け空間を設けている。
②では、高気密・高断熱のZEH仕様を実現。IoTで快適性を向上し、蓄電池、非常用貯水タンク、かまどベンチなどの防災アイテムを装備。
③では、自分が自分らしく自然体でいられる場所として「Withキッチン」「ダウンリビング」「プライベートリビング」「Nook(ヌック)スペース」「ウォッシュサロン&ワークスペース」「ウォークスルークローク」「コーディネートルーム」、「ソライオ」「グリーンテラス」「プライベートバルコニー」などを採用している。
モデルハウスは、東京都小金井市前原町5丁目に位置する総合展示場「小金井・府中ハウジングステージ」内の軸組工法2階建て延床面積226.21㎡(68.42坪)。
同社は現段階で価格は未定としながら、概ね4,000万円以上を対象に初年度は年間24~25棟の受注を見込んでいる。分譲戸建てでの展開も考えているという。同社の分譲戸建ては年間150戸前後、法人受注は年間200~250棟で推移している。
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同社はモデルハウス仕様でどれくらいの価格になるか公表していないが、最低で坪150万円、アッパーで坪200万円近いと見た。これまで記者が見学した坪345万円の大和ハウス工業「Wood Residence MARE-希-(マレ)」、坪254万円の三菱地所ホーム「新宿ホームギャラリー」などにはかなわないが、軸組工法では最高レベルではないかと思う。
何が素晴らしいかといえば、自然素材をふんだんに用いている点だ。窓は木製サッシで、ガラスはLow-Eを採用し、窓面が大きいのにZEH基準を満たしているのはさすがだ。
また、外構やエントランスには鉄平石を、床や壁にはオーク材を、そして壁の仕上げには消臭効果もあるホタテ漆喰壁を採用しているのが特筆できる。1階リビングの波打つオークの壁は大工仕事で仕上げたのだそうだ。
エントランスホール-ウォッシュサロン&ワークスペース-パウダールーム・バスコードや、天井高3.7mの2階のプライベートゾーンの提案もいい。
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ただ一つ、難点を指摘すれば、2階の構造梁に巡らせたフェイクの観葉植物だ。床や壁、天井に天然素材をふんだんに用いているのに、どうして一見してまがい物と分かる観葉植物を飾りに使うのか。
記者には理解できないのだが、これは同社に限ったことではなく、マンションも含めたこの業界の宿痾、陋習だ。みんなで渡れば怖くない、右に倣え、以下同文…。
本物の観葉植物は維持管理が大変ということから模造品にしたのだろうが、小生は観葉植物レンタル会社が定期的に点検し、捨てる予定のオフィスのポトスの小枝をもらって自宅に飾っている。5年近くになるが、陽に当たらない玄関や洗面室でも枯れない。たまに水遣りするだけだ。
いまからでも遅くない。ポトスを這わせることを提案する。初期費用は1万円で十分。毎月の管理費は水遣りだけ。労力もほとんどかからない。その効果はフェイクの数十倍であることは間違いない。坪200万円も300万円もする住宅を建てられるお金持ちがフェイクの衣服を身に付けたりカバンを持ったりするはずはない。それと同じだ。
どこもやらないことをするから、人は感動する。同社の「杉並和泉」の記事を添付する。
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