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2023/01/27(金) 12:42

〝唯一無二 都内最大〟三井不・日鉄興和不「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」着工

投稿者:  牧田司

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「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」

 三井不動産、日鉄興和不動産、ヤマト運輸は1月26日、都内最大級の物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」を着工したのに伴う記者説明会を開催し、三井不動産取締役専務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏、日鉄興和不動産代表取締役副社長・企業不動産開発本部長・吉澤恵一氏、ヤマト運輸常務執行役員(東京地域統括兼EC業統括)・阿部珠樹氏、板橋区長・坂本健氏が出席して、同日、板橋区と「災害時における防災施設整備等に関する4社基本合意書」を締結したと発表した。

 施設は、日鉄興和不動産が2021年6月に日本製鉄の工場跡地を取得後、板橋区との行政協議を重ね、その後、三井不動産が参画、街づくり型物流施設として整備するもの。都営三田線西台駅から徒歩約10分、板橋区舟渡4丁目に位置する敷地面積約93,200㎡、地上6階建てS造延べ床面積約256,100㎡。設計は日鉄エンジニアリング、施工は日鉄エンジニアリング・佐藤工業。竣工予定は2024年9月末。

 周辺5km圏内には約106万人が居住しており、雇用確保に有利な立地であるうえ、首都高速5号池袋線「中台」出入口までは約2.7㎞とアクセスに優れ、延床面積は都内最大。建物は免震構造、72時間対応の非常用発電機などのBCP対策、オフィスビル同等のセキュリティ対策、ドローンドローン事業者向け賃貸用R&D区画、ZEB認証など、業界トップレベルの施設スペックを整備する。

 板橋区との「災害時等における防災施設整備等に関する4者基本合意書」では、河川氾濫時における水害に強い安心・安全な街づくりの実現を目指し、施設に隣接する「板橋区立・舟渡水辺公園」と一体となる約3万㎡の公開空地、水害時の緊急一時退避場所や避難路などを整備し、1,000人の緊急一時退避場所を確保する。テナントとして入居するヤマト運輸は、災害時の支援物資の保管・配送拠点として活用する。

 説明会に出席した各氏は次のようにコメントした。

 三井不動産・三木孝行氏 弊社は「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)」を旗艦ブランドとして物流施設を展開しており、昨年で10年の節目を迎えました。これまで、街づくり型物流施設として「MFLP 船橋」「MFIP(三井不動産インダストリアルパーク)羽田」などを開発してまいりました。本施設は次世代のフラッグシップとなる大型プロジェクトであり、関係各社とともに、ロジスティクスを通じて街づくりに貢献し、地域社会のより良い未来を切り開いてまいります。

 日鉄興和不動産・吉澤恵一氏 弊社は、日本製鉄の工場周辺(東京都板橋区、大阪府堺市)における物流施設の開発を契機に、2018年より「LOGIFRONT」のブランド名で物流事業を展開し、これまで「LOGIFRONT 越谷」、「LOGIFRONT 尼崎」など首都圏、近畿圏を中心にテナント企業のニーズを踏まえた物流施設の開発を進めてきました。本計画では、板橋区さまの地域防災をはじめとしたニーズを踏まえた計画となっており、関係各社と連携のうえ実現に向けて取り組んでまいります。

 ヤマト運輸・阿部珠樹氏 現在推進する中期経営計画「One ヤマト2023」では、成長を続けるEC市場や法人領域、保冷配送領域などのニーズに対応し続けるため「ネットワーク・オペレーション構造改革」に取り組んでいます。この構造改革の一環として、今回の「MFLP・LOGIFRONT 東京板橋」と、2022年7月に新設した都内の拠点を活用して、新たな保冷輸送ネットワークの構築を進めてまいります。

 板橋区長・坂本健氏 区は「災害に強い首都『東京』形成ビジョン」のモデル地区に「舟渡・新河岸地区」を位置付け、水害に強いまちづくりに取り組んできました。本計画は、官民連携の取り組みにより、水害時に機能する施設をはじめとして、多くの地域貢献を実施する施設計画となっております。区の更なる安心・安全の実現に「板橋区立・舟渡水辺公園」との一体整備イメージ向けて、取り組んでまいります。

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左から三木し、坂本氏、阿部氏、吉澤氏

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ヘリポートを備えた公開空地

◇        ◆     ◇

 三木専務の〝十八番〟がまたまた飛び出した。「一言でいうと唯一無二。都内最大級」「日本初、世界初」だと。

 「唯一無二」は三木氏の専売特許ではないが、これまでも「当社は最早や後発ではない」「物流施設は嫌悪施設ではない」(2018年5月)などの名言を発している。

 三木氏の発言を補強するかのように、報道陣の質問に答える形で吉澤氏は「街づくり型の施設にするには三井さんはベストパートナー」と、阿部氏は「『船橋』『羽田』を見学し、そのスペックの高さに感動した」とそれぞれ述べた。

 記者は物流のことはよく分からないのだが、市場規模は不動産業の半分くらいの約24兆円と言われている。どうして〝後発〟の三井不・三木氏のような発言が飛び出すのか。同社が突出しているためなのか、それとも既存の物流業界が遅れているということなのか。不動産業も物流業も圧倒的に中小企業が多いことと関連はあるのか。

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新河岸川から現地を望む(ここに施設と同等の基本性能・スペックを備えた〝パークホームズ〟を分譲したら飛ぶように売れるのではないか。坪270万円でどうか)

◇        ◆     ◇

 板橋区の隣接区・北区は、漫画家・清野とおる氏を起用して「住めば、北区東京。」のポスターを発表して話題になったが、街づくりの取り組みでは記者は板橋区に軍配を上げる。2021年に策定した「板橋区住まいの未来ビジョン2025」では、「東京で一番住みたくなるまちとして評価されるまちを目指すため『ずっと住むなら、板橋区』を基本的な考え方」に街づくりを進めていくと宣言した。

 坂本区長も出席されていたので、これは絶好のチャンスだと、話を聞いた。

 坂本氏は、2022年4月から開始された国土交通省「マンション管理計画認定制度」で全国初の認定を受けた「高島平ハイツ」を早速取り上げ、「きちんと管理されているマンションが中古市場で適正に評価されるのが狙いで、『高島平』はそれまで1,700万円だったのが3,800万円に値上がりしている」と話し、令和3年4月1日に施行した「東京都板橋区都市づくり推進条例」については「従来は網にかからなかった大規模土地開発などを対象にし、緑環境など良好な景観を残すように取り組んでいく」と語った。

 実は、記者は坂本区長とメールでやり取りしたことが一度ある。物件名などは明かせないが、あるマンションの敷地南側に区の所有地があり、そこに不法投棄された粗大ごみが集積・保管されていた。デベロッパーは区と話し合いを行っても解決できず、困り果てていた。ゴミ捨て場が目の前では売れないと。

 そこで、記者は「調整区域でもあるまいし、街の真ん中にゴミ捨て場をつくるのはいかがなものか」と区長宛てにメールを送った。区長からは「善処します」との回答があった。その後どうなったか知らないが、デベロッパーから「改善されました」との報告を受けた。

 このエピソードには続きがあって、ある住宅評論家は「マンションの敷地の前には公園がある」と書いていた。

「最早、後発でない」「嫌悪施設でもない」 三井不 ロジスティクス本部長・三木氏(2018/5/21)

 

 

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