RBA OFFICIAL
 
2023/03/03(金) 09:17

宅配ドライバーの負担軽減へ Amazon&三井レジリース 「置き配」で協業

投稿者:  牧田司

DSC06747.jpg
中村氏(左)とシング氏(日本橋高島屋三井ビルで)

 Amazonと三井不動産レジデンシャルリース(三井レジリース)は3月2日、マンションの「置き配」促進の協業に関する発表会を行い、三井レジリースが運営管理する賃貸マンンションに対し、Amazonの「Key for Business」(KfB)を導入することで、オートロック付きマンションでの荷物の受け取りを便利にし、宅配ドライバーの再配達の負荷を軽減するとともに、CO2削減など社会課題の解決に貢献していくと発表した。

 KfBは、オーナー、管理会社の許可を受け、マンションのドアを制御するシステムに専用機器を設置することで、ドライバーがオートロックを解除し入館し、指定された場所に商品を届けるようにしたもの。工事の所要時間は60分程度で済み、初期費用・月額利用料は無料。年間最大1,000円の電気代はオーナー、管理会社負担。

 2021年3月に日本で初採用してから2023年2月末時点で19都道府県5,000棟以上のマンションに設置済み。今後2,500棟/年の設置目標を掲げている。

 三井レジリースは、現在サブリースしている大半がオートロックシステム付きの賃貸マンション約7.6万戸に順次KfBを採用していく。当面は10棟約400戸に採用する。

 記者発表会に臨んだAmazonロジスティクス事業本部本部長・Awanish Narain Singh(アヴァニシュ・ナライン・シング)氏は「KfBを導入したマンションでは80%以上の再配達削減を実現した。日本政府が掲げる再配達削減キャンペーンに貢献するとともに、物流業界の2024年問題解決にも寄与する。今回の協業は、宅配サービスのスタンダードとなる転機にしたい」と語った。

 三井レジリース経営企画部長・中村誠氏は、「検証の結果、安全性を確保しながら多様な受け取り方を可能にする結果が得られた。利便性の向上はもちろんCO2の削減など社会課題の解決への一助としたい」と話した。

◇        ◆     ◇

 置き配とは、受け取り側があらかじめ指定した場所、例えば玄関前・宅配BOX・メーターボックスなどに荷物を届けてもらうサービスだ。宅配サービスのあり方が社会問題化した2017年、大京がフルタイムシステムと共同開発した専用宅配ボックス「ライオンズマイボックス」のメディア向けお披露目内を開いたときは、業界紙だけでなく、一般紙やテレビ局など約40名の報道陣が集まった。

 その後、各社が競うように宅配ボックスの設置を進め、国土交通省も宅配ボックスの容積不算入を決めた。三井不動産レジデンシャルは、スマートロックとセキュリティカメラを連携させた、不在時でも食品や日用品を玄関内に配達するサービス「ナカ配サービス」を2020年に開始している(初採用の「月島」マンションの取材を申し込んだが実現しなかった)。

 最近はコンビニや駅に備えられている宅配ロッカーでも受け取れるようになっているようで、記事にするほどでもないと取材を見送ることに決めた。

 しかし、時間もあるし、何といっても三井レジリースの協業先はGAFAの一角であるAmazonだ。世の中がひっくり返るような新サービスを開始するのではないかと、その取材機会を自ら捨てたら悔いが残ると、取材を申し込んだ。

 発表会場の日本橋髙島屋三井ビルに集まったメディアは30媒体。記者と同じ考えの方が多いということか、それともさすがAmazonと言うべきか。三井不産レジの最高レベルのマンション見学会だってこれほど集まらない。

 そのサービス内容は上段の通り。確かに利便性は飛躍的に高まり、宅配ドライバーの負担を軽減する効果は大きく、わが国の喫緊の課題でもある働き方改革、CO2削減の社会課題解決に貢献することなどは言うまでもないが、世の中がひっくり返るようなサービスでもないようだ。Amazonのこのシステムがスタンダードになったら、宅配業界はパニックに陥るだろうが…。

 記者が疑問に感じたのは、大京の発表会から5年経過しているにも関わらず、再配達問題は全然進んでいないのかということだ。再配達をなくすには、送り手が送り先にいつ何時に届けますと連絡すれば解決できることであり、連絡先は固定電話でなく携帯、あるいはEメールにすれば再配達は劇的に減少するはずだ。それができないのが不思議だ。物流業界と同様、宅配サービス業界もアナログの世界なのか。汎用性のある開錠システムの開発はできないのかとも思った。

 これは、読者の方もメディアの方もご存じないだろうから紹介する。同社はこの4月1日で創業37年を迎えると中村氏は話した。この種の記者発表会を行うのは創業来初めてで、Amazonと協業することは凄いことだと思うが、もう一つ、凄いことがある。

 野球の話だ。同社はRBA野球大会(日曜ブロック)に平成18年の第18回大会から出場しており、途中1回不参加だったが、第29回大会までの通算成績は33試合9勝24敗、通算勝率.273。参加24チームのうち下から4番目。打てず守れず、まぐれで勝っても1シーズン2勝どまり。3勝すれば決勝トーナメント(ベスト10チームくらい)に進出できるのだが、一度も予選突破はできなかった。

 ところが、平成の終わり、令和の幕開けの記念すべき第30回大会では、彗星のように現れた左腕・渡辺の投打にわたる活躍と、愛知県の名門・東邦高校出身のスラッガー山際、ザルというよりタガが外れた桶同然の野手に足を引っ張られても、エースとして孤軍奮〝投〟してきた佐藤投手らの奮起で、あれよあれよという間に勝ち進み、決勝戦でも渡辺-佐藤の継投で、三菱地所リアルエステートサービスに4-0と完封勝ち。初優勝を飾った。

 三井グループでは優勝3回の三井不動産、1回の三井不動産レジデンシャルに次いで3チーム目の優勝チームとなった。三井不動産レジデンシャルサービスと三井不動産リアルティはそれぞれ準優勝1回。

 RBA野球大会はコロナの影響で第31回大会から第33大会まで中止を余儀なくされている。渡辺、山際は健在か、佐藤はアメリカ勤務から戻ってきたのか。

 同社野球部藤城監督のコメントを取ることができた。佐藤はAmazonとの交渉のため渡米したのではなく、今はアメリカから帰ってきて新宿本社で元気に勤務しているとのことだ。渡辺など他の選手も変わりはないということだった。ただ、コロナの影響で練習・トレーニングなどは各自任せとのことで、戦力が維持できているかどうかは不明。

DSC06996.jpg DSC07031.jpg
「置き配」デモ

第30回RBA野球大会 日曜ブロック 三井レジリース初優勝 渡辺が投打に活躍(2019/4/28)

〝再配達ゼロ〟宅配ボックス発表会に記者殺到 大京・フルタイムシステムが新商品(2017/4/10)

 


 

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン