RBA OFFICIAL
 
2023/04/15(土) 12:22

「神宮外苑街づくりに都民の共感と参画を」都が再要請 事業者「真摯に受け止める」

投稿者:  牧田司

 三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事の事業者4者は4月14日、東京都から4月6日付で受けた「神宮外苑地区におけるまちづくりに関する再要請」に答える形で「神宮外苑地区まちづくりを進める意義等について」を発表。都の指摘を真摯に受け止めており、新たな取り組みを今秋にスタートし、4月からプロジェクトサイトの構成や文章、デザインを刷新し、より見やすい内容にリニューアルしたと報告した。

 都は、令和4年5月26日付文書で「外苑の成り立ちを踏まえた幅広い都民参加や既存樹木の保全、わかりやすい情報発信などに取り組み、多くの都民の共感と参画を得ながらまちづくりを推進するよう」求めていたにも関わらず、4月6日付で「未だ具体的な取組内容や実施時期などが示されていない」と再要請していた。

◇               ◆     ◇

 今回、改めて都から都民の共感と参画を得るよう要請されたのを受け、報告では、「4列のいちょう並木が伐採される」「神宮外苑のみどりが減る」というのは誤解、憶測であり、4列のいちょう並木を保存し、みどりの量と樹木本数を増やすと強調。計画地のオープンスペースは現行約21%から再開発後は44%へ、緑の割合は25%から30%へ、樹木は1,904本から1,998本に増えるとしている。

 これは理解できる。4事業者のうち「経年優化」をスローガンに掲げる三井不動産は、同社の分譲住宅、オフィス・商業施設などの取材を通じて、他のデベロッパーに負けない充実した植栽を施しているのを知っている。今回の開発でもみどりをふんだんに採用するのは間違いない。

 しかし、今年2月17日付記事でも書いたが、問われるのは緑・樹木の質だ。計画では伐採樹木741本の具体的な樹種、樹齢などは記載されていない。

 この伐採樹木の明細をきちんと公開し、その是非を問うべきだ。例えば聖徳記念絵画館前の広場の再生。「広場の再生」とは、戦後、軟式野球場として利用されてきた約40,550㎡の敷地をテニス場・駐車場としてリノベーションすることだが、「再生」などといわれると、記者も20数年間RBA野球大会の取材で通った軟式野球場は老朽化し、樹勢も衰えているかのような印象を受ける。

 軟式野球場をテニス場にリノベーションするその是非はともかく、ここには樹齢100年くらいの立派なヒマラヤスギ、イチョウ、コブシ、ケヤキなどの巨木がグラウンドを囲むようにたくさん植わっている。この先100年も200年も生きるはずだ。

 計画では巨木はほとんど伐採されるようだが、巨木を避けてテニス場を整備することはできないのか。上位計画には「歴史的景観を将来に継承」とあるではないか。

 どうしても伐るのなら、参加者を募り伐採式を行い、伐り倒した樹木の墓碑銘くらいつくってほしい。〝ここに神宮外苑の樹齢100年の御神木眠る〟と。

 いま、千代田区の神田警察通りの街路樹である樹齢60年のイチョウ30本が「枯損木」として伐採されようとしている。神宮外苑と千代田区の街路樹問題の根は同じ-樹木をないがしろにするのは人間をそのように扱うのと一緒だ。

緑、樹木は増えるが問われるのは質 三井不動産など「神宮外苑」再開発 施行認可(2023/2/18)

これは事実か「枯損木記載は都の慣例に倣ったもの」千代田区の主張 住民訴訟(2023/1/17)

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン