積水ハウスは9月8日、2023年度2Q経営計画説明会を開催。同社代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は「2Qの営業利益1,249億円は、突出して高かった前期(1,464億円)に次ぐ過去2番目。下期は利益率の高い3rdレンジの戸建住宅の受注残も潤沢で、他のセグメントもすべてオンラインで推移しており、通期目標を達成できると考えている」と説明した。また、2026年度以降の第7次中期計画の布石としてスタートさせた「life knit design」や「SI事業」に注力していくと話した。
2024年1月期第2四半期決算は、売上高1兆4,624億円(前年同期比2.7%増)、営業利益1,249億円(同14.75減)、経常利益1,252億円(同15.2%減)、当期利益924億円(同11.15減)となった。2024年1月期の業績予想の変更はない。
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別表・グラフは、同社の戸建住宅の売上高、売上棟数、1棟単価、坪単価の推移を見たものだ。売上高は、このところの厳しい市況を反映してほぼ横ばいで推移している。売上棟数も同様に、2020年以降は1万戸を割り込んでいる。それでも持家の着工戸数が今年7月まで20か月連続して減少し、減少幅も令和4年度は前年度比11.8%減と2ケタ減となっていることを考えると大健闘といえる。
営業利益率は資材価格の高騰などから2022年2Qの9.5%から2023年1Qは5.9%へ3.6ポイント落ち込んだが、その後は工場出荷の平準化・価格転嫁が進み、2023年度通期では前年比0.4ポイント増の9.1%を見込んでいる。
注目すべきは1棟単価だ。2023年度2Qは4,885万円となっており、2018年度の3,875万円から約1,000万円、26.1%上昇している。同社は販売価格別で3,000万円未満を1stレンジ、3,000万円から5,000万円未満を2ndレンジ、5,000万円以上を3rdレンジに分けているが、受注棟数比率では2021年度の1stレンジが9%、3rdレンジが22%であったのに対し、2023年2Q時点では1stレンジは3%、3rdレンジは30%となっているように、ZEHの推進(2022年度のZEH比率は過去最高の93%)、スマートホームサービスなどバード・ソフト・サービスの融合が奏功している結果だ。
もう一つ、土地なしの2ndレンジ、3rdレンジの顧客向けの土地分譲事業の伸びにも注目したい。積水ハウス単独の土地分譲事業は2020年度の売上高は429億円だったのが2022年度は575億円と伸び、2023年度2Qは2022年度比59%にのぼり、積水ハウス不動産グループの仲介・不動産事業も2020年度の784億円から2022年度は1,634億円に増加している。1stレンジ顧客向けについて仲井社長は、「政府が求めている断熱性や耐震性の高い住宅を1,000万円台で作るのは難しい」と語った。価格ありきの建売住宅市場には参入しないことを改めて表明し、「SI事業」や「ノイエ」を強化するということだろうと受け止めた。
残念だったのは、記者の取材守備範囲である分譲マンションについて、歴代の社長もそうだったように、仲井社長は一言も言及しなかったことだ。記者団から質問する人もいなかった。
2023年度の売上高予想30,800億円のうち約3.6%、1,100億円でしかないマンション事業について触れないのは当然だし、メディアの方々も関心がないのかもしれないが、記者が先日見学した3階建て全6棟74戸の「The山手プロジェクト」には触れてほしかった。マンションデベロッパーのそれとはまったく異なる商品企画が見事だった。
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