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2023/09/28(木) 23:00

素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア 三菱地所ホーム「江北小路」完成

投稿者:  牧田司

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「江北小路」

 三菱地所ホームは9月28日、東京都の「都有地活用による魅力的な移転先整備事業」第1号プロジェクト「江北小路」のメディア向け完成見学会を行った。同社が開発したFMT(Flat Mass Timber)構法を採用することで頑丈でフレキシブルな居住空間を造りだすとともに、外観・内装に〝現し〟をふんだんに採用している。素晴らしい建築物だ。

 物件は、日暮里・舎人ライナー江北駅から徒歩11分、足立区江北4丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約775㎡、準耐火の木造一部鉄骨造3階建て延床面積約1,142㎡。1階が店舗、2~3階が賃貸住宅16戸。専用面積は29.57~72.13㎡、月額賃料は69,000円(坪7,700円)~。事業主は東京都都市づくり公社。設計監理はスタジオ•クハラ•ヤギ。施工は三菱地所ホーム。管理会社はハウスメイトパートナーズ。着工は2022年3月、竣工は2023年9月。木材使用量は約350㎥。2階の5戸が木密地域からの移転先対象住戸で、うち1戸が申し込み済み。全体では5個が申し込み済み。

 移転先整備事業は、木密地域居住者の移転を促すため、コミュニティに配慮した共同住宅を整備するもので、三菱地所ホームなど4者による提案がプロポーザルで採択された。

 建物は、南と北の2棟に分棟し、その間に自由歩行空間「みんなの小路」を整備することで、隣接する公園の緑と建物-戸建て住宅街を繋ぎ、設計・施工では、同社が開発した住宅用FMT構法を非住宅用に改良し、最大7.3mスパン(住宅用は6.6mスパン)、キャンチスラブ5.0m(同3.1m)を実現した。さらに、メンブレン防火被覆設計と燃え代設計により、1時間準耐火構造とし、外壁は多摩産材スギ材、床・壁・軒裏はカラマツCLT・集成材パネルを採用するなど、木造現しのデザインとしているのが特徴。

 住戸の商品企画では、玄関ドアは1.2mの親子ドアで、ベイマツ材の框ガラスドアを採用。ドアと居室の間を土間空間とすることで、外と内を緩やかにつながる工夫を施している。居室床はカバザクラ、ドアはツガ材。窓はLow-Eガラス。

 見学会で、同社常務執行役員ソリューション事業部門 部門長 都市木造開発推進部長・越川喜直氏は「都の木密地域の移転促進を図る事業の第1弾。当社などの4者の提案が採択されたポイントは、公園の緑と道路をつなぐ『みんなの小路』を整備し、コミュニティを醸成するプランにしたこと、FMT構法を非住宅用に改良することで自由なレイアウトを可能にしたこと、燃え代設計で構造を被覆しないで木の温かみを現しで表現したこと」などと語った。

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越川氏(背後は現しの国産材の壁)

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「みんなの小路」

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親子&木製框玄関シースルードア

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床、ドアも挽き板仕上げ

◇        ◆     ◇

 現地に着いた途端、フェイクではない本物の木が現しで採用されている建物が目に飛び込んできた。と同時に、同社本店営業部長・鈴木正人氏(54)から声を掛けられた。もう、これで取材の100%が達成されたと思った。

 その通りの結果となった。施設は文句なしにいい。今年の冬に取材したJKK東京「カーメスト興野町」もよかったが、さすが都の公社だ。これほどふんだんに木が使われている賃貸マンションは皆無だろう。玄関ドアが木製框のガラスなのにも驚愕した。かつて建築家の山本理顕氏がUR都市機構の「東雲キャナルコート」でSOHO利用を想定してシースルーの玄関ドアにしたのを見て以来だ。三菱地所ホームと設計監理のスタジオ•クハラ•ヤギに拍手喝采!

 鈴木氏からは「わたしがソリューション事業部にいたときに受けた案件。余計なことは書くな」と、球速にしたら50~60キロもない牽制球(記者にとっては痛くもかゆくもない)を投げられたので多くは書かないが、知る人ぞ知る知らない人は知らない同社の〝名物男〟だ。記事を添付したので読んでいただきたい。

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鈴木氏

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宏遠側からの外観

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◇        ◆     ◇

 取材を終え、一杯飲もうと駅に向かっていたら、「江北小路」に近接する東京女子医大病院の隣接地に「カフェ&バー マリガン」「ビールセット1,000円」の看板・メニューが目に留まった。すぐ店に飛び込み「ビールセット1,000円」を注文した。コロナ禍で〝せんべろ〟を覚えたのだ。

 写真を見ていただきたい。これで1,000円だ。ビールはもちろん、つまみのポテトチップス、特大のから揚げ、長崎のゆずドレッシング添えサラダはとてもおいしかった。お腹がいっぱいになったが、もう1杯ビール(400円)を注文した。料金は「興野町」の取材の帰りに飲んだ江北駅前の店の2分の1もなかった。

 店内は「江北小路」ほどのスパンはないが、アメリカ・オークランドの飲み屋をイメージさせてくれる。いい店だ。

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「カフェ&バー マリガン」の「ビールセット1,000円」

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