大和ハウス工業は5月15日、業界動向勉強会(不動産ストック事業篇)を開催。住宅ストック事業ブランド「Livness(リブネス)」についてこれまでの実績、今後の展開などを説明するとともに、これまでの「住宅リフォーム」「買取再販」に加え、事業用物件にも対応する新ブランド「BIZ Livness(ビズ リブネス)」を同日立ち上げ、2023年度実績3,537億円を2026年度までに4,000億円に増やすと明らかにした。
「リブネス」は2018年1月、同社グループ全体で戸建て・マンション・事業施設を含む不動産の売買仲介・買取再販・リノベーションなどを行う事業として立ち上げたもの。持家を中心に新設住宅着工が減少する中、既存住宅のリフォーム市場は拡大しており、また新築マンション流通量を既存マンションの流通量が上回るなど伸びしろがあり、空き家の増加に伴う顧客の相談が増えているのに対応するのが狙い。現在、100人近くのリブネス専任スタッブが在籍している。
実績は年々増加しており、2023年度は売上高3,537億円を計上。うち住宅系が2,604億円(73.6%)で、建築系が933億円(26.4%)。内訳はリフォームが1,730億円、買取再販が1,425億円、その他が283億円、仲介が99億円。このうち買取再販はグループ全体で戸建て111棟(39億円)、マンション444戸(241億円)、同社単体では戸建て104棟(36億円)、分譲マンション23戸(8億円)。
今後は「リブネス」で培った再生ノウハウを事業・商業施設にも拡大するため「BIZ Livness(ビズ リブネス)」を立ち上げた。遊休資産の有効活用や収益性を高める施設への再生、工場⇔倉庫などにも対応する。第7次中期経営計画では、最終年度の2026年度までに「リブネス」と「ビズ リブネス」を合わせ4,000億円に増やす計画。
4,000億円のうち住宅系はほぼ横ばいの計画であることについて、同社東京本社経営戦略本部リブネス事業推進部部長・平井聡治氏は「マンションの買取再販は競争が激しく、無理をしないというこということ。リノベマンションで実績が豊富なコスモスイニシアが連結子会社から外れたのも大きな要因」と語った。
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買取再販は、参入障壁はほとんどないことからリーマン・ショック後に激増した。改修費に100万円、200万円をかけただけで、その数倍の利益を上乗せして販売していた業者は少なくなかった。「買取再販」という言葉を聞いただけで嫌悪感をもよおした。記事に責任が持てなかったからだ。
それでも、コスモスイニシアのリノベマンションだけは取材してきた。「コスモスイニシア」「リノベ」「RBA」で検索していただければ数十本がヒットするはずだ。なぜかといえば、同社は1戸1戸、手抜きせずコンセプトを明確にして販売してきたからで、新築マンションの商品企画を考えるうえでとても勉強にもなったからだ。
買取再販市場は今、どうなっているか知らないが、大手・中小が入り乱れ全員参加型の市場を形成しているはずだ。玉石混交市場だろう。
そんな市場に大和ハウスが力を入れるという。コスモスイニシアと激しい仕入れ競争を行うのかと平井氏の話を聞いていた。しかし、そんな展開にはならないようだ。平井氏は「これまでコスモスイニシアさんと一緒に仕事してきた。勉強もさせていただいた。これからもコスモスイニシアさんのレベルを確保していく」と語った。
平井氏の説明の中で〝さすが大和ハウス〟と感心したことがある。平井氏は、リブネス事業は環境・SDGs、ESGの観点からも重要な事業と話したうえで「断熱改修はしっかり行う。これは(芳井)社長の指示」と話した。
勉強会後に確認したら、断熱改修は戸建て対象で、マンションの単板ガラスサッシは共用部分なので改修は想定していないとのことだったが、二重サッシを採用して対応していくことに前向きな考えも示した。リノベマンションの課題の一つは断熱性能をどう引き上げるかだ。
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