「KNOCKS(ノックス)ゆめが丘」
相鉄不動産と三井ホームは5月22日、相鉄いずみ野線ゆめが丘駅前に完成した相鉄グループ初の木造賃貸マンション「KNOCKS(ノックス)ゆめが丘」のメディア向け内覧会を行った。設計・施工を担当した三井ホームは初の複合用途「MOCXION(モクシオン)」で、規模は過去最大。
物件は、相鉄いずみ野線ゆめが丘駅から徒歩2分、横浜市泉区(泉ゆめが丘土地区画整理事業地区内)の第1種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,054㎡、木造枠組壁工法(1階はRC造)による5階建て延床面積約4,291㎡。74戸(1階はクリニックモールが入居し、2~6階が賃貸。賃貸の専用面積は24.18㎡(1K)~62.85㎡(3LDK)、賃料は73,000円(坪約1万円)~165,000円(同約8,700円)。設計・施工は三井ホーム。入居開始は2024年6月22日(土)。
建築物は、国土交通省の令和4年度「優良木造建築物等整備推進事業」と、横浜市の「木材利用優良建築物」に採択されている。木材使用量は765㎡で、炭素貯蔵量(CO2換算)は654tCO2(スギ換算で1,295本)。「ZEH-M Oriented」を取得している。
現地は、開発面積約23.9ha、総事業費約109億円の横浜最大級の土地区画整理事業地内に立地。2024年7月に開業するシネコン、約130店舗などからなる大規模集客施設「ゆめが丘ソラトス」に近接。
施工にあたっては、三井ホームの独自技術である屋根断熱構造材「DSP(ダブル・シールド・パネル)」を最上階の屋根に使用することで日射熱を遮断しているほか、高強度耐力壁「MOCX WALL(モクス ウォール)」や「高性能遮音床システム Mute(ミュート)」を採用。2~5階まで11プランの壁位置を合わせることで構造的な負担を軽減。RC造と同等の遮音性、断熱性、耐震性を確保している。
一部の床根太に国産材を使用したLVL(単板積層)材を使用、1階風除室とエントランスホールの一部の壁に天然木クロスと天然木パネルで仕上げ、東側サッシには木製ブラインドを設置している。
内覧会に臨んだ相鉄不動産賃貸施設事業部 賃貸開発センター課長・櫻井大将氏は「賃料は近隣相場の1~2割高。『木造人気』を感じている」と話した。
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記者は、三井ホームの美しくてデザイン性に優れた住宅にほれ込んでいる。何が美しいかといえば、女性もそうだが、化粧を施していない「木」そのものだ。
「MOCXION(モクシオン)」を含めた同社施工の建築物見学会も皆勤賞のはずだが、その美しさを「現し」として仕上げているものはごく一部でしかない。同社施工に限らず、木造建築物はほとんど石膏ボードやケミカル製品で覆い隠される。今回も「木」が感じられたのは壁パネルとサッシのみ。居室内もすべて木調パネル仕上げだった。
これに異議を唱えようかと思ったが、この日はほとんど眠っておらず質問する気力はなく、〝お前はいつまで現しにこだわるのだ。木造コンプレックスの呪縛から抜け出せないのか〟と一喝されそうなのて、口をつぐんだ。(木材は輸入材か国産材かの論議も、グローバルな視点からすればそれほど重要ではないという主張もわからないではない)
外観も内装もRC造と変わらないのに、賃料設定が相場の1~2割高なのはどうしてなのかも聞きたかったが…。これは相鉄&三井ブランドだからだと勝手に理解した。「木造現し」と「ケミカル仕上げ」は、身体的・心理的影響にどのような差があるか研究は進んでいるようだが、決定打となるものはあるのか。
収穫もあった。52㎡の1LDKのプランだ。間口は7200ミリ、キッチンと背面の洗面室・浴室との間は1010ミリ。同じ面積で一般的な2LDKの間取りもあり、どちらを選ぶかはライフスタイルによるだろうが、記者は1LDKがとてもいいと思う。分譲に採用したら圧倒的な人気を呼ぶのではないか。玄関と廊下は工夫次第で多目的スペースに変身する。
1LDKのキッチン(左)と洗面所とのスペース
現地