旭化成ホームズは6月5日、木造戸建て住宅の新ブランド「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデルハウスをメディア向けに公開した。外気温は30度を超えていたにもかかわらず、エアコン1台で建物内は25度前後に保たれる断熱等級7のすごさを初めて体験し、豊かな緑に圧倒された。〝武蔵野リゾート〟と名付けた。
〝Asu-haus(アスハウス)の未来につながる暮らしと空間〟がコンセプトで、「暮らし」については、エアコン1台で季節・時間・場所を問わず快適な生活ができる「経験価値」、断熱等級6のエアコンをつけたままの全館空調より消費電力は約40%削減できる「経済価値」、ZEHからLCCM(Life Cycle Carbon Minus)の「環境価値」をそれぞれ実現。「空間」については、断熱等級が国内最高クラスの断熱等級7の「温熱性能」、長期にわたって快適性を担保する「構造安全・耐久性能」、地域や自然とつながり多用途に使える「デザイン」としているのが特徴。
これにより、温度差は±1℃以内、温度は夏26~28℃、冬20~23度、湿度は夏60%以下、冬40~60%、壁・床・天井などの表面温度は室温±2℃以内の理想的な環境を目指す。
主なターゲットは、必要最小限の空間と環境を重視し、クリエイティブでファミリー志向の60代夫婦。間取りはシンプルな田の字型で、汎用性を重視している。
見学会に臨んだ同社GREENOVATION推進室室長・白石真二氏は「未来のあるべき姿を見据え、暮らしと空間のそれぞれ3つの価値を実現する。そのために、具体的な4つの温度・湿度の目標値を設定した」と語り、合わせて、ブランドコンセプトである「GREENOVATIONには、環境性と経済性の両立という概念を取り込み、さらに若々しく健康に生きようという意味も込めた」と語った。
また、同推進室企画グループ・高梨拓己氏は外観・外構などについて「5.5寸の切妻屋根を採用することでソーラーの設置、都下での北側斜線制限にも対応できるようにし、日射を遮断するパーゴラのほか、ベビーカー、車椅子にも対応できるスロープを設けた。エクステリアでは14本の中高木を植樹した」と話した。
モデルハウスは、多摩モノレール線甲州街道駅から徒歩4分、敷地面積は約50坪、建物は木造軸組工法(平屋~2階)の切妻屋根の延床面積約30坪。断熱等級7(Ua値0.26W/㎡・K以下)、耐震等級3、耐風等級2。坪単価は135万円から。家庭用エアコン1台で快適性が保たれる全館空調を採用。床はクリ材の突板、窓はトリプル樹脂サッシ。最大天井高はロフトを含めて約6m。販売棟数は2024年度16棟、2025年度25棟を上限とする限定販売。販売エリアは東京都城南・城西地区、都下の一部。6月1日から販売開始されている。
◇ ◆ ◇
〝武蔵野の別荘はかくやあらん〟-これが見学した率直な感想だ。これほどコンセプトが明確で、ターゲットも的確なモデルハウスは他にそうないはずだ。
建物外観と外構を見たとき、勾配屋根と左官調仕上げの飽きのこないヴァナキュラーデザインに惹かれ、〝5本の樹計画〟をはるかに上回る圧倒的な緑量に興奮すら覚えた。売上高1兆円を目指す同社にとって2024~2025年度の販売棟数41棟は微々たるものだろうが、〝堅牢だが価格が高い〟〝コンクリート住宅〟とは違った世界観、価値観を垣間見ることができた。
植栽計画について。玄関エントランスには樹肌・樹皮に横縞模様がある「武蔵野ヒノキ」が植えられていた。樹高は高くならないよう建物の高さ6mくらいにコントロールするとのことだった。(どうして「武蔵野」がついているのか、ネットで調べたがわからなかった)。この他はシラカシ、ヤマボウシ、ナナカマド、シャラ、ポプラ、オリーブ、ソヨゴなど。
住宅性能、特に断熱性について。あちらこちらの部屋の壁、サッシ枠、ガラスの温度などを確認した。熱伝導率が異なる木、鉄、コンクリ、ガラスなどが室温とほとんど同じ25℃前後で一定していた。普通はありえないことだ。ただ、断熱等級7は初めての体験だったので、断熱等級6や一般的な全館空調との差はいまひとつよくわからなかった。これは体験してみないとわからないことだ。真夏か真冬が一番いい。
旭化成ホームズGr 今期売上高9,600億円へ木造戸建て参入トライアル(2024/5/13)