飯田グループホールディングスの中核企業である一建設は8月1日、記者説明会を開催し、長期優良住宅認定制度に対応した分譲戸建住宅の供給(引渡し)を2024年8月から全国の営業エリアで順次開始すると発表した。対象となるのは、今年度供給目標戸数10,500棟の8~9割になる模様。飯田グループ全体で同様の対応をするかどうかは未定だが、標準仕様となるのは間違いなさそうだ。
長期優良住宅認定制度は、2009年6月からスタートした「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき認定するもので、令和5年度末までの一戸建ての累計認定実績は約156万件。「長期優良住宅」として認定を受けるためには、8つの認定基準にクリアする必要がある。認定物件は地震保険料の割引、住宅ローン金利の優遇、不動産取得税、固定資産税などの特例措置が受けられる。
同社は、2022年4月以降の「住宅性能評価」の5分野のうち「劣化対策等級3」「耐震等級3」「断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6」など7項目で最高等級を取得しており、長期優良住宅認定を受けるための条件をクリアしている。
分譲戸建ての供給(引渡し)を行うのは、2024年4月1日以降の確認申請分で、群馬を中心とする北関東や埼玉県の物件が先行し、順次全国で開始する。対象となる住宅は、2025年3月期の供給目標10,500棟の8~9割になる模様。
記者説明会に臨んだ同社執行役員東日本第3戸建事業本部本部長・鈴木里司氏は「2025年から施行される東京都の『太陽光パネル設置義務化条例』をにらんで検討を進めてきたもので、体制が整った。一部、3階建てや土砂災害警戒区域に指定されているエリアを除き、当社が供給する物件の8~9割が対象となる。物件を仲介する会社からは『売り』になると評価していただいている。トータルで供給増につなげたい」と語った。
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長期優良住宅認定は間違いなく販売促進に結びつくと思う。飯田グループ全体で取り組むかどうかだが、同社経営企画部部長・江角大樹氏は「他社のことは現段階で何とも言えないが、TCFDレポートも発表しているのでグループ全体に広がるのではないか」と話した。同社グループでは東栄住宅は早くから長期優良住宅に取り組んでいる。
もう一つ、ZEHについて。飯田グループHDが2023年7に公表したTCFDレポートでは「2025年の『ZEH水準比率100%』等の検討を始めております」としているように、現段階で同社グループの分譲戸建ては「ZEH水準」をほぼ満たしていると思われる。
記者は「ZEH水準をZEHに引き上げる計画はないか」と質問した。一建設設計部次長・茂庭光広氏は「太陽光パネルを搭載して創エネに対応することは現段階では考えていない」と答えた。
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皆さんは、全国47都道府県でただ一つ島根県には飯田グループHDの営業拠点がないことをご存じか。江角氏が明らかにした。理由を尋ねたら「島根県は私の出身ですが、注文住宅が中心でして…」と話した。ネットで調べた。大和ハウス工業は山形県には一つも事業所がなく、滋賀県は全国唯一の「ドトールコーヒーなし県」のようだ。
全住戸に7本の中高木設備はほとんど自前製品一建設の分譲戸建て「大泉学園」(2024/7/27)