納税者の5人に1人が課税標準額1,000万円以上-東京都港区のアッパーミドル・富裕層が増加していることが分かった。同区の行政資料によると、令和6年7月現在の課税標準額1,000万円を超える納税義務者は前年の27,680人(全納税者に占める割合は18.5%)から29,400人(同19.8%)へ1,720人、1.3ポイントそれぞれ増加し、これらの層の所得割額も前年の632億円(構成比72.7%)から809億円(同76.7%)へ28.0%増加した。
令和3年の全国納税義務者数は約5,951万人で、課税標準額が1,000万円以上の人は約110万人だ。その割合は1.8%だから、港区は桁違いのお金持ちがいることがわかる。
これらアッパーミドル・富裕層の増加が区の財政力を高めている要因の一つだ。財政力を示す令和5年の区の経常収支比率は70.7%で、中央区の60.4%、65.6%の渋谷区、70.5%の江戸川区に次いで4位。特別区平均の76.4%、全国平均の92.2%と比較して極めて高い。また、令和5年の自主財源比率も69.3%で、これも23区内でトップクラスとみられる。
アッパーミドル・富裕層の増加と人口動態の相関関係についてはよくわからないが、興味深いデータも行政資料は示している。
人口は平成27年の約24.0万人から令和6年は約26.6万人に10.7%増加しているが、5歳階層別にみると、30歳~44歳までの人口は平成27年の約7.4万人から令和6年は約6.5万人へ11.9%減少している。このほか65歳~69歳の人口も約1.2万人から約1.0万人へ16.4%減少している。その一方で、5歳~24歳、50歳~64歳、75歳以上の各層は大幅に増加している。
これは、働き盛りの人が結婚に際して住宅を取得しようと考えても、価格が高くて区外へ転出せざるを得ない現実の反映かもしれない。65歳~69歳の人口が減少しているのは、定年による住み替えが影響しているのだろうか。
この推測は的外れでないことを示すデータもある。人口動態がそれで、令和元年から令和5年までの他道府県からの転入は9,927人、転出は7,852人で差し引き2,075人増となっているのに対し、都内間移動では転入が14,011人、転出は13,689人で差し引き322人増となっている。これほどの差し引き差が出るのは、お金持ちの他道府県居住者が港区に転入し、転出者は〝都落ち〟の観がぬぐえない他道府県への転出をためらうからではないか。
富裕層の移入と関係があるかどうかは不明だが、国別外国人居住動態も興味深い。令和5年現在、区内の外国人居住者は21,863人で、もっとも多いのは6,481人の中国で、以下、韓国及び朝鮮3,583人、アメリカ2,700人、フィリピン980人、イギリス790人、フランス605人、ドイツ292人の順。中国は令和元年から2,156人増加している一方で、韓国及び朝鮮は微増している以外はすべて減少している。
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