国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会第4回マンション政策小委員会(委員長: 齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授)は2月7日、第4回目の会合を開催。同省は、とりまとめ(案)に関する令和6年12月26日から令和7年1月24日まで行ったパブリックコメントで寄せられた31の個人・団体の意見154件(うち賛成意見11件)を整理し、(案)に盛り込こんだことを報告し、各委員が論議した。(案)は修正を加えたうえで、近く最終とりまとめとして公表される。
パブリックコメントから(案)に反映されたのは、①区分所有者の責務が果たせない場合、行政代執行には行政コストを要する②管理不全マンションの再生の困難性を明示すべき③地方公共団体の権限強化の前提として、マンションが社会的資本であることを明示すべき④区分所有者や管理組合の意識等を高める方策について一層の強化が必要である⑤区分所有者や管理組合の意識等を高める方策について一層の強化が必要である⑥管理業者管理方式は利益相反(自己取引)となることが前提であり、その関係性を正しく記載すべき⑦監事はマンション管理士のほか、弁護士や公認会計士などの専門家も想定される-など。
とりまとめ(案)では、建物と区分所有者の「2つの老い」等が進行し、マンションの管理・再生の両面で課題が深刻化していることから、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化等を実現するため、①マンション管理適正化を促す仕組みの充実②多様なマンション再生ニーズに対応した事業手法の充実③地方公共団体によるマンション管理適正化・再生円滑化への関与の強化・充実などが盛り込まれている。
(案)に対する各委員からの異論はほとんどなく、齊藤氏は「幅広い論議ができたことを大変うれしく思う」と感想を述べ、今後の取り組みで重要な3つの視点として①マンションは社会資本であり個人資産でもあるので、誤解を生じないようさらに論理的に詰める必要がある②区分所有法の改正を前提とした新制度へ対応するサポーターの人材確保が重要③管理主体者である管理組合の意識を高めるための環境整備と実態把握に努めることが重要などと述べた。
国交省住宅局長・楠田幹人氏は、昨年11月から短短期間で最終とりまとめを行った各委員の労をねぎらったあと、「建物と居住者の二つの老いに象徴されているように、マンションには様々な課題を抱えている。良好な居住環境を確保するためには、新築段階から再生-解体までの合意形成を円滑に進めることが大事。今回の最終とりまとめを踏まえ、関係機関と連携し、開会中の国会に提出する予定の法案に盛り込んでいく。今後とも様々な課題解決のため継続して論議していただきたい」と語った。
管理会社管理方式、自治体の体制強化など論議国交省・マンション政策小委員会(2024/12/20)