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2025/02/19(水) 08:15

CLTの断熱性能の高さ実感 大東建託 賃貸住宅第三弾「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」

投稿者:  牧田司

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「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」

 大東建託は2月18日、CLT賃貸住宅の第三弾「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」の1号棟の完成現場見学会を開催した。京王線つつじケ丘駅圏の調布市に完成した3階建て全12戸。賃料はエリアのRC造と同等価格で満室稼働。外気温は6~7℃だったにも拘わらず、26℃設定のエアコン1台で居室内は温かく、CLTの断熱性能の高さを実感した。

 物件は、京王線つつじヶ丘駅から徒歩10分、調布市西つつじヶ丘4丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する敷地面積776㎡、準耐火CLT工法構造木造3階建て。住戸は12戸、専用面積は40.45㎡。賃料は13.9~14.5㎡。省エネ性能はZEH-M Oriented。満室稼働。

 壁に60mmの燃えしろ層を設け、1時間準耐火構造を採用し、共用廊下の天井と居室内の一部天井と壁にCLTの現しを設置したのが特徴。木材使用料は207㎥で、うちCLTは122㎥、、国産材が172㎥。。木材全体の炭素貯蔵効果は一般家庭37世帯分の年間CO2排出量に相当する。CLTの木材は岡山県産材。

 同社は2019年9月に国内初となるオリジナルCLT工法による賃貸住宅「Forterb」の第一弾を、2021年11月に第二弾の戸建て注文住宅「GrounDK(グランDK)」を、2024年5月から第三弾「ForterbⅢ」をそれぞれ販売開始。今回、第三弾の1号棟が完成した。同社は2028年までにCLT使用量を現在の8倍2,000㎥を目指している。

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玄関

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内装

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内装

◇        ◆     ◇

 満室稼働にはやや驚いた。賃料(坪単価1万円超)は高いような気がしたが、見学会場となった住居には、見学の1時間前に26℃に設定したエアコン1台がつけられていたが、全住戸内は設定温度と変わらなかったはずだ。入居者もCLTの断熱性能の高さに満足するのではないか。

 率直な感想を言えば、もう少し現しの部分を増やしてほしかった。(木の構造躯体をケミカル製品で覆った場合、木がもたらす様々な効果はどうなるのかものすごく興味がある)

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現地

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外廊下

◇        ◆     ◇

 商品説明を行った同社技術開発部次長・岡本修司氏は、賃貸住宅は入居者募集のポータルサイトでは「賃貸マンション」でなく「アパート」に該当すると話した。

 この問題に少し触れてみよう。記者は「賃貸マンション」だろうと「アパート」だろうと、これは呼称の問題で、商品の質の優劣を示すものではないと思うが、実際は「アパート」のほうが劣るとみなされ、賃料設定でも安くせざるを得ない現実があるようだ。今回、同社が賃料は〝RC造と同等価格〟と強調したのはこの現実を物語っている。

 いくつかのポータルサイトで「アパート」とは何かを検索してみた。

 「SUUMO」は、「一般的に、木造や軽量鉄骨造などの賃貸住宅を指す。対して鉄筋コンクリート造などの耐火構造の賃貸住宅は、一般的に『賃貸マンション』と呼ばれている。アパートは、マンションのように大きく張り出した柱などがないので間取りとして使いやすいが、壁や床などが比較的薄く、隣や上の階の物音が響くことも。その分、マンションより家賃は安め」とある。

 「LIFULL HOME'S」は。「集合住宅・共同住宅の一種であり、1つの建物を仕切ってそれぞれ独立した住居にしたものを指します。似た建物として“マンション”がありますが、2つの言葉に明確な違いはなく、不動産会社が独自の基準で使い分けているケースがほとんどです。アパートと呼ばれる建物の例としては、木造もしくは軽量鉄骨造である、2階建て以下である、外観の雰囲気や設備が比較的簡素であるなどがあります」とある。

 「at home」は、「英語の『アパートメント(apartment)』を略した言葉。わが国では1階建てもしくは2階建ての共同住宅で、建築構造が木造または軽量鉄骨構造のものを一般的に指している。しかし最近では2階建ての共同住宅であっても、重量鉄骨構造のものがあり、また外壁・内壁も軽量気泡コンクリートパネル等としているものもある。このため、マンションとアパートの外観上・構造上の区別がつきにくくなってきている」と定義している。

 皆さんいかがか。どこも似たり寄ったりだ。はっきりした定義はないとしている。「賃貸マンション」と「アパート」に分けるからこのような混乱が起きる。統一するか、別の呼称に変更すべきだと思う。

 2021年12月に行われた三井ホームの「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」見学会の記事を添付する。

 当時の同社施設事業本部事業推進室営業推進グループ長&事業推進グループ長・依田明史氏は、「これまでこの種の賃貸マンションは『アパート』としてしか募集できなかったが、プレハブ協会と大手の募集サイト運営会社がマンションの定義を決め、首都圏不動産公正取引協議会の了解を得た結果、今年12月6日からは『マンション』として募集することが可能になったインパクトは大きく、『木造=安い』というイメージ・課題が払しょくできたと話した」と書いている。参考になるはずだ。(記者はタグを「マンション」として記事をアップした)

賃料は「調布並み」でも申し込み殺到三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)

 

 

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