三菱地所は5月12日、2025年3月期決算を発表、売上高1兆5,798億円(前期比5.0%増)、営業利益3,092億円(同11.0%増)、経常利益2,629億円(同9.0%増)、純利益1,893億円(同12.4%増)となり、売上高、営業利益、純利益は過去最高を記録。ROEは7.6%となり、通期予想7.2%から大幅に向上。
セグメント別では、コマーシャル不動産事業は売上高5,388億円(前期比396億円増)、営業利益1,246億円(同99億円増)。オフィスビルは、堅調なリーシング等により増収となり、商業施設及びアウトレットモールは、店舗売上の増加等により、ホテルは、稼働率の上昇等により増収となった。
丸の内事業は、売上高3,945億円(前期比135億円増)、営業利益961億円(同9億円減)。丸の内オフィスの2025年3月末の空室率は1.73%。
住宅事業は、売上高4,219億円(前期比230億円増)、営業利益480億円(同91億円増)。マンション計上戸数は1,787戸(前期2,271戸)。完成在庫は67戸(前期53戸)。
海外事業は、売上高襟上げ打間営業収益は13,583百万円減収の1,601億円(前期比135置く円減)、営業利益458億円(同56億円減)。米国、英国の前期の物件売却の反動等により減収となった。
投資マネジメント事業は売上高409億円(前期比100億円増)、設計監理・不動産サービス事業は売上高821億円(同89億円増)。
次期業績予想は、売上高1兆8,500億円(前期比17.1%増)、営業利益3,250億円(同5.1%増)、経常利益2,700億円(同2.7%増)、純利益1,950億円(同3.0%増)を見込む。ROEは8%程度を予定。年間配当は46円(前期43円)の増配の予定。
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記者が驚いたのは国内分譲マンションの数値だ。売上高は1,596億円(前期比0.2%増)、計上戸数は1,787戸(同21.3%減)、粗利益率は28.6%(同2.7ポイント増)、完成在庫は67戸(同14戸増)となった。次期予想は売上高2,020億円(同26.6%増)、計上戸数は1,700戸(同4.9%減)、粗利益率は35.0%(同6.4ポイント増)になると公表した。
売上高、計上戸数はそれほど驚くに値しない。今期予想の売上高を計上予定戸数で割った1戸当たり平均価格は1億1,882万円(前期は8,932万円)となり、三井不動産の1億4,286万円(前期は1億225万円)に次ぐ数値だが、驚いたのは粗利益率だ。
35.0%という数値はいかに高いか。バブル期の数値は思い出せないのだが、バブル崩壊後の37年間でこれほど高い数値を記録したのは同社にとって初めてのはずだ。かつてリーマン・ショック時には10%を割り込んだ年もあった。20%台に乗ったのもここ数年だ。
記者は、バブル崩壊後で粗利益率が30%を超えたデベロッパーは東京建物しか知らない。同社は2017年12月期で33.3%(計上戸数971戸)、2022年12月期で33.3%(同1,435戸)、2023年3月期で33.4%(同1,058戸)を記録している。三菱地所は東京建物の記録を抜く。
この他、住友不動産も高い数値を示している。2024年3月期の販売事業の粗利益率は27.8%だ。同社の2025年3月期決算発表は本日5月13日だ。30%超となるかもしれないが、35%には届かないと見た。
もう一社、三井不動産も直近は30%を超えている可能性がある。同社の2025年3月期の国内分譲住宅の売上高は4,135億円で、営業利益は964億円、営業利益率は23.3%となっているが、同社は粗利益率は公表していない。
いずれにしろ、粗利益率が35%というのはバブル崩壊後では業界初の可能性が高い。