LIFULLが運営する不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」は5月19日、ニュースレターを公表。6月はプライド月間」&「外国人雇用啓発月間」であることから、2019年に立ち上げたLGBTQ、高齢者、外国籍、生活保護利用者、シングルマザー・ファザー、被災者、障害者などの「住宅弱者」向けサイト「FRIENDLY DOOR」の事業責任者・龔軼群さん(キョウ イグン)が「住宅弱者」問題について解説している。
龔さんは、「住宅弱者」がたくさんいる背景について、「わが国の借地借家法では、正当な理由なく立ち退きを迫れないため、リスク回避の貸し渋りが起きやすいことが要因の1つ」とし、「住宅弱者」と呼ばれる人に対して理解があり、相談に応じてくれる不動産会社を検索することができる「FRIENDLY DOOR」を立ち上げたと説明。同サイトへの参画不動産店舗数は、当初の589店から2025年5月には6,485店と11倍に増加したと報告。約370万人の在留外国人、10人に1人の割合とされるLGBTQなどの住宅弱者を受け入れることは約444万戸の空き家解消にもつなげられるとオーナー・不動産会社の理解を求めている。
龔さんは1986年、中国・上海出身。5歳から日本で暮らす。2010年に新卒でLIFULLに入社。家族や自身が国籍を理由に日本での住まい探しに苦労した経験から「住宅弱者」の問題に気づき、2019年、住宅弱者にフレンドリーな不動産を検索できるサービス「「FRIENDLY DOOR」を立ち上げ、責任者に。NPO法人Living in Peaceの代表理事を務める。
◇ ◆ ◇
記者はもう40年昔から、悪しき商習慣にしがみつく賃貸業界を批判してきた。訳の分からない「礼金」は{Room Charge}として外国人から徴収していると聞く。
住宅確保要配慮者の入居を拒まない「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)」の登録住宅数は激増しているが、そのほとんどは大東建託が管理する賃貸住宅で、住宅確保要配慮者専用住宅は2023年12月末時点で5,778 戸(登録住宅の0.7%)しかない。
「住宅弱者」に留まらず、あらゆる階層に対しても居住支援を行わなければならない普遍的な課題でもあるにも関わらず、関係者ですら居住支援の意味が理解されておらず、摂南大学教授・平山洋介氏が指摘するピースミール・アプローチ=対症療法的手法は改善されていないのが現状だ。
LGBT対応については、コスモスイニシアのリノヘーションマンション「センチュリー中野南台」を見学し、記事にしているので参照していただきたい。
セーフティネット登録住宅90万戸の96%は1社に集中氷解した疑念と深まった謎(2024/3/28)
左利きの数ほどいるLGBTのニーズ満たすコスモスイニシアのリノベ「中野南台」(2022/1/28)