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2025/07/17(木) 21:27

「住宅省エネルギー性能証明書」取得率30%の意味 3割打者と同じ価値があるのか

投稿者:  牧田司

 昨日(7月16日)、コスモスイニシアが今年度着工するリノベマンションの30%を「住宅省エネルギー性能証明書」付きにすると発表した記事を書いたのだが、記者はこの「30%」の意味が全然分からなかった。以下は、野球好きの記者が「30%」「3割」の意味を考えて書く記事だ。外れたら謝るほかないのだが、リノベーション業界全体が取り組むべきだと思うので書くことにした。

 まず、プロ野球の「3割バッター」について。3割バッターとは、打者が打席に立ち、そのうち四死球、犠打・犠飛を除く打数に対して3割以上の安打を放った選手に贈られる〝称号〟だ。91年の歴史を誇るNPBの中で通算打率.300以上の成績を残した選手は在籍者約1万人の中でわずか26人しかいない。長嶋茂雄さんの通算打率は3割ちょうど。3割を切りたくなかったから、〝永遠〟名セリフを残して引退したのだと思う。ちなみに、2024年の規定打席(試合数×3.1)以上打席に立った選手の個人打撃成績で、打率3割以上の成績を残した選手はセ・リーグが2人、パ・リーグが1人しかいない。

 例外はイチロー選手だ。NPB通算打率は.353、米国・MLBの通算打率は.311、日米通算打率は.322だ。これを抜く選手はまず現れない。

 これだけ書けば、「3割」がすごい数字だとわかっていただけるか。

 「3割」といえば、「3割自治」という言葉がある。地方公共団体の歳入に占める自主財源である地方税の割合が3割程度しかないことを表す言葉で、3割以上の自治体は3~4割程度と言われている。もっとも自主財源比率が高い都道府県は東京都の90.6%(令和5年10月東京都財務局)。

 「3割」は他にもある。医療費の自己負担比率だ。小生などの後期高齢者は原則「1割負担」だが、70最以下の人は原則「3割負担」だ。

 本題に戻す。「住宅省エネルギー性能証明書」に関する公的データはない。証明書を発行している各機関・企業も年間どれくらい証明書を作成しているか公表しているところはないはずだ。ZEH水準の工事を施した物件がどれだけあるか、杳として知れない。

 そうなると、限られた公表データから推測するほかない。国土交通省・総務省のデータによると、令和5年の住宅着工戸数は82.6万戸、既存住宅取引件数は15.9万戸、流通市場シェアは16.2%だ。住宅ストック約5,400万戸の断熱性能を満たす住宅(H11年基準)はストック全体の約18%(令和4年推計)。わが国のマンションストック総数は約704.3万戸(2023年末時点)。東日本レインズのデータによる2024年の首都圏中古マンション成約件数は37,222件、新規登録件数は190,880件。「2022年の中古住宅買取再販市場規模(中古戸建及び中古マンションの買取再販戸数の合計)は成約戸数ベースで前年比5.1%増の41,000戸と推計した」(矢野経済研究所)…などだ。

 これらの数値から、記者はZEH水準の既存マンション流通量は2~3千戸くらいではないかと考えるのだが…だとすれば、コスモスイニシアの「住宅省エネルギー性能証明書」取得率30%は極めて高い水準のような気がする。

 だが、しかし、分譲マンションも分譲戸建てもZEH水準が当たり前になりつつある。既存住宅もZEH水準が当たり前になるようすべきだと思う…リノベマンションの3割がZEH水準になり、それが当たり前になったら、3割バッターとの比較はどうなるのか…この記事は全然整合性が取れていないではないか。 

「住宅省エネルギー性能証明書」取得率30%へコスモスイニシアリノベマンション(2025/7/16)

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