RBA OFFICIAL
 
2025/07/29(火) 14:47

総売上高3,000億円 シドニーで住宅中心の複合開発2案件 三菱地所

投稿者:  牧田司

175L①_提供:Bates Smart.jpg
「175 Liverpool Street (リバープール ストリート)」(提供:Bates Smart)

 三菱地所は7月29日、オーストラリア・シドニーで住宅中心の複合開発2案件「One Darling Point (ワン ダーリン ポイント)」と「175 Liverpool Street (リバープール ストリート)」を始動すると発表した。いずれも豪州大手不動産デベロッパーであるLendleaseとの共同事業で、同社との第4 弾・第5弾案件。合計の総売上高は約3,000億円の見込み。

 「One Darling Point」(住戸数59戸、2028年竣工予定、総売上約5億豪ドル)は、アフォーダブル住宅を含む計画でSSDA許認可※(総合設計)を取得した複合開発で、古くからの高級住宅街で歴史的建造物を活用したシドニー東部でのプロジェクト、シドニー湾、ハーバーブリッジ、オペラハウスを臨む希少立地での開発なのが特徴。

 「175 Liverpool Street」(総戸数最大300戸、2031年竣工予定、総売上約25億豪ドル)は、既存のオフィスビルを高層住宅2棟へ建て替える再開発計画、オペラハウスに加え、豪州最古の公園「Hyde Park」を臨むシドニーCBDのプライム立地なのが特徴。

 同社は、2016年に大型タワーマンション「Melbourne Quarter East Tower」参画を皮切りにオーストラリアに進出、2021年に支店を設立。以降、住宅事業、オフィス、ホテル、物流施設など幅広く開発事業を推進している。累計投資額は約20億豪ドル(約1,860億円, 1AUD=93円換算)。今回のプロジェクトは、シドニーラグジュアリー住宅セクターでは「One Sydney Harbour Residences One」、「One Sydney Harbour Residences Two」、「One Circular Quay」に次ぐもの。

※SSDA(State Significant Development Approval)ニューサウスウェールズ州が定める不動産開発許認可制度。ニューサウスウェールズ州の住宅供給不足の解消を企図し、一定の給与所得の賃借人が入居可能なアフォーダブル住宅を一定の割合以上開発に含めることで、容積率や高さ制限等の緩和を認めるもの。

One Darling Point①_提供:Lendlease.jpg
「One Darling Point (ワン ダーリン ポイント)」(提供:Lendlease)

◇        ◆     ◇

 オーストラリアでの約3,000億円の開発規模がどのようなものかよくわからないのだが、今期(2026年3月期)の住宅事業の売上高予想が4,500億円だから、凄い数字だ。三井不動産の米国・マンハッタンでの「55ハドソンヤード」と「50ハドソンヤード」の総事業費は6,000億円なのでその半額。

 記者は、SSDAに注目している。欧米では年収が低い世帯向けの住宅を供給するのは義務付けられており、制度として当たり前になっているようだ。しかし、わが国ではそのような制度はない。

 似たものとして、住宅セーフティネット制度があるが、摂南大学現代社会学部 特任教授(神戸大学名誉教授)・平山洋介氏が指摘するように、ピースミール・アプローチ=対症療法的な手法では住宅困窮者は救われないような気がする。「付置住宅」制度は機能しているのか。

隈研吾氏+高田浩一氏「夢の匠の共演・結集」豪州社と地所レジシドニーで372戸分譲(2019/3/11)

セーフティネット登録住宅90万戸の96%は1社に集中氷解した疑念と深まった謎(2024/3/28)


 

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン