日本木造住宅産業協会(木住協)は8月28日、会員会社を対象にした「2024年度(令和6年度)木住協自主統計および着工統計の分析報告書」を公表した。調査対象は会員480社で、回収数は393社、回収率は81.9%だった。
木住協会員会社の住宅着工戸数は79.472戸(前年比92.7%)で、木造戸建て住宅着工戸数に占める割合は18.5%(前年から▲2.0ポイント)となった。戸建て住宅は72,325戸(前年比91.0%)で、うち平屋住宅は12,853戸(構成比17.8%)、3階建て以上は6,921戸(同9.6%)、共同住宅は7,147戸(前年比114.2%)だった。
長期優良住宅(戸建て)は35,491戸(前年比109.3%)で、住宅着工統計の長期優良住宅に占める割合は25.5%(前年から▲3.3ポイント)で、木住協戸建て住宅に占める割合は49.1%(前年から+8.2ポイント)だった。
ZEH適合住宅(ニアリーZEHを含む)の着工戸数(戸建て)は23,179戸 (前年比110.7%)で、木住協戸建て住宅に占める割合は32.0%(前年から+5.6ポイント)。太陽光発電搭載住宅(戸建て)は26,286戸(前年度比97.0%)で、木住協戸建て住宅に占める割合は36.3%(前年から+2.2ポイント)となった。
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木住協の自主統計に関する記者発表会が行われるたびに、木造ファンの記者が思うのは、調査対象会員が480社もあるのに、全国の木造戸建て住宅に占める木住協の割合は20%前後で推移したままで伸びないことだ。
木住協は、木造軸組工法の普及と木造住宅産業の健全な発展に寄与することを目的に設立された業界団体だから、同じ木造でもツーバイフォー住宅の三井ホームや三菱地所ホームなどが会員でないのは分かるのだが、全国分譲戸建てシェア27.8%(2025年3月期)を誇る飯田グループホールディングスが加入していないのは分かるようで分からない。仮に、2025年3月期の飯田グループの戸建て販売棟数38,627戸と注文住宅引き渡し棟数2,341戸を木住協の数値に加えると、シェアは一挙に29.0%にアップする。
ただ、飯田グループの数値を上乗せしたら、全ての数値が向上するかどうかは別問題だ。例えば「設計評価住宅戸数」と「建設評価住宅戸数」の数値だ。飯田グループは「住宅性能表示制度で最高等級の住宅」を前面に打ち出しているが、それは「設計」なのか「建設」なのかを明らかにしていない。仮に「設計」だとすると、全国の設計評価住宅に占める木住協シェア18.4%は49.4%へアップするが、「建設」ではないとすれば、木住協のシェアは23.5%のままだ。また、〝全棟ZEH水準〟を標榜する飯田グループが木住協に加わってもZEH適合住宅の着工戸数に占める木住協シェア32.0%には変化はない。
住宅性能評価制度は任意だし、「ZEH」と「ZEH水準」は似て非なるもので、これらは住宅の質とは一部トレード・オフの関係にあるので何とも言えないが(記者は功罪があると思っている)、飯田グループも木住協に加入して、協会挙げて住宅の質向上に取り組んでほしい。木住協は門戸を開いているはずだが、会員であることが消費者から信頼を得られ、企業価値を向上させることにつながることをアピールすべきだ。
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暇にあかせて自主統計データを読んだ。なかなか興味深い数値が見つかった。以下に紹介する。
【令和6年度木造戸建てにおける木住協シェアベスト3・ワースト3(全国平均18.5%)】
<ベスト3> <ワースト3>
①愛知県26.1% ①青森県5.1%
①徳島県26.1% ②秋田県5.9%
③埼玉県25.6% ③岩手県7.4%
【長期優良住宅における木住協シェアベスト3・ワースト3(全国平均25.5%)】
<ベスト3> <ワースト3>
①富山県44.3% ①沖縄県12.6%
②石川県39.8% ②北海道15.3%
③宮崎県37.1% ③青森県16.2%
【木住協戸建て住宅における長期優良住宅の割合ベスト3・ワースト3(全国平均49.1%)】
<ベスト3> <ワースト3>
①奈良県80.7% ①東京都31.1%
②岩手県78.4% ②千葉県33.5%
③香川県77.1% ③埼玉県36.2%
【令和6年度ツーバイフォー着工戸数ベスト3】
①愛知県 9,436戸
②東京都 7,307戸
③神奈川県6,992戸
【令和6年度ツーバイフォー着工戸数伸び率ベスト3(令和元年100、全国平均111】
①鳥取県 217
②香川県 204
③群馬県 175