等々力駅前の居酒屋「大吉」
〝閑中閑〟-今日9月6日は、わが西武ライオンズが2か月半ぶりに3連勝した翌日だ。何か意味があるのかないのか分からないが、前日の酒はすっかり抜け、とてもとてもゆったりした気分で、暇にあかせて書く、不動産には全く関係がない記事なので、忙しい皆さんはスルーしていただいて結構だ。
この2日前の9月4日、伊藤忠都市開発の素晴らしいマンション「クレヴィア等々力」の取材を終えたあと、同業の記者と駅前の居酒屋に寄った。暖簾は文句なしの「大吉」だ。提灯はというと女性の唇と一緒。注意を喚起はするが、抗いがたい誘惑に吸いつけられる「赤」だ。
店に入ってしばらくして、隣の記者が〝吉田類〟〝酒場放浪記〟を口にした。小生はチンプンカンプン。物知りの記者の解説によると、BSテレビの人気番組で、かつて「大吉」も舞台になったという。番組は店の紹介というよりは、吉田類の〝たかり〟がテーマなので、「大吉」の店主は会話を交わすことなどなかったそうだ。(ネットで確認した。小生もその番組を見たことがある)
小生はそんなことはどうでもよかったのだが、一見して同年代と思われる店主の隣の、愛嬌など全く振りまかず、かつてはとびっきりの美人だったはずの、多分奥さんと思われる女性に沸々と興味が湧いてきた。
物は試しだ。ビールだけで何もつまみを注文しないと話などできないと判断し、焼き鳥10本と小生が好きなトマトを頼み、口火を切った。何と主人は小生と同い年の昭和24年生まれの76歳で、誕生日は「終戦記念日」の8月15日。札幌出身だ。奥さんには「一回り下でしょ」と振ったら、何とまた、札幌出身の同い年だった。
どこで知り合ったかは話さなかったが、結婚したのは22歳の昭和46年の6月6日。翌年に東京に出て修行を積み、30歳のときに出店したのだそうだ。それから45年。当地に住んでいた五島慶太の話題や、等々力渓谷にある「メガネ橋」の由来、バブル期の繁盛ぶり、北海道料理は何といってもジンギスカンで、魚は揚げるとうまいこと、ニジマス、ニシン、ホッケ、サンマ、カレイ、ホヤ、牡蠣(これば厚岸など北海道の北のはずれで生産されるので札幌にはない)…に話題が弾んだ。
そして、何より感動し、意気投合したのは店主と小生はアンチ巨人なのも含め、ほとんど生き方、考え方が一緒だったことだ。奥さんも褒めたように〝仕事が凄い〟のだが、そのほかのことはちゃらんぽらん。夫婦げんかもするそうで、主人の〝うるさい!〟〝もういい〟で落着するという。そうなると主人は、しばらくは風呂に入るのとトイレに行くときくらいしか部屋を出ないそうだだ。これまた小生夫婦と同じ。
極めつけは、主人の「人生は永遠の修行」の一言であり、奥さんの意味深な言葉「永遠のテーマ? 愛なんて考えたくない。無言の事実」だ。これ以上の箴言はない。言葉は短く、意味は深く。(小生のテーマは「人生は愛」だ)
勘定はいくらか分からなかった。小生は有り金5,000円をはたいた(かみさんが「あなたは渡すとみんな使っちゃう」と1日5,000円しかくれないのだ)。思えばバブル期の一晩の飲み代はこの10倍もしばしばだった。それでも給料袋に手を付けたことはなかったし、そもそもいくら貰っているのかの関心もなかった。
これからのマンション市場は誰も経験したことがないバブル超えとなる。〝山高ければ谷深し〟に、夫婦関係が「6と9」から「9と6」にならないことを祈るばかりだ。待てよ、この「大吉」夫婦が結婚したのは「6と6」だ。これはどういう関係か。「9と9」もありか。
「クレヴィア等々力」を見学される方は、ぜひとも等々力渓谷をゆっくり散策し、その帰りには「大吉」に立ち寄っていただきたい。
ご夫婦
店内
火あぶりにされるニシン
見事なニシン(同僚記者は尻尾の部分ばかり食べた。小生ははらわた。魚ははらわただ)
等々力渓谷が通勤・通学路 1低層の伊藤忠都市「等々力」 庭園が見事(2025/9/5)