プレハブ建築協会は10月28日、国が掲げる「2050 カーボンニュートラル」への対応を志向した5か年計画「住生活向上推進プラン2025」(2021年~2025年)の2024年度実績報告会を開催し、2025年度の定量的・定性的目標が順調に進捗していると発表した。
同プランの4年目となる2024年度実績は、住宅性能表示取得率(戸建)の「設計」は85.8%、「建設」は83.0%(2025年目標は設計・建設85%)、「住まい実態アンケート調査」によるCS満足度は68.6%(同75%)、長期優良住宅認定取得率(戸建)は84.9%(同85%)、ZEH供給率(NearlyZEH以上)は88.1%(同87%←2024年度目標85%)、新築戸建ての居住段階の一次消費エネルギー消費削減量(再エネ含む)は95.4%(同100%)、ストック住宅断熱・省エネリフォームによる一次エネルギー消費削減率は50.5%(同50%←同30%)、工場生産のCO2排出量(総量)は73.7%減(同70%←2024年目標65%)、工場における再エネ電気の利用率は87.8%(同90%←同75%)となり、ZEH供給率、工場生産CO2削減量、工場における再エネ電気利用率など4項目は2024年目標を前倒しして達成した。
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上段に見たように、「住生活向上推進プラン2025」の2024年度実績は、低層共同住宅の長期優良住宅認定取得率(7.6%)や、低層共同のZEH供給率(41.3%)に課題はあるものの、他の数値は〝優等生〟そのものだ。
しかし、優等生であるがゆえに、同協会には更なる高みを目指してほしいので、2、3注文も付けたい。
一つは、CS満足度だ。築6~10年の同協会会員が建設した住宅に対するオーナーの「非常に満足」(20.3%)と「満足」(48.3%)を合わせた満足度(68.6%)は、平均住宅市場の推計57.3%よりは高いが、同協会会員のブランド力からして高いといえないのではないか。
記者はもう20年も前に、同協会会員会社の営業担当から「我々はオーナーと契約を結んでからかがおつきあいの始まり」と聞いたことがある。さもありなんと思ったものだ。当時のデベロッパーのマンションや戸建て担当はどうかというと、〝事業離れ〟〝売り逃げ〟という言葉がまかり通っていたように、分譲し終わったら契約者との関係は絶たれた(今は各社とも囲い込みに必死で取り組んでおり、マンション管理満足度は概ね70%以上だ)。
その会社はその後もどんどん業績を伸ばしているが、同協会全体のCS満足度は現在もそれほど向上していない。2020年度の数は「とても満足」(33%)と「満足」(44%)合わせると77%だった。NPS-23.7%(住宅市場平均推計-45.2%)も、依頼・相談意向-14.0%(同-41.1%)も褒められる数値ではない。
もう一つは、戸建ての緑環境(緑被率)だ。記者は住宅の質を図る指標として、建物の品質と同じくらい敷地内の緑被率を重視すべきだと思っているが、同協会会員を含めた分譲戸建ての緑被率は10%あるかどうかではないか。同協会が果たしている役割を考えたら少なくとも緑被率は20%以上確保すべきだと思う。
さらに、もう一つ、ZEHと居住水準はひょっとしたらトレード・オフの関係にあるのではないかという懸念だ。これはあくまでも推測だが、政府のZEH水準の戸建てに対する補助金に対応するため、建物面積を狭くし、熱の出入りが激しい窓面積を建基法ぎりぎりの面積まで小さくしている業者が増えているのではないか。そのようなことがないよう、同協会が先頭に立って業界をリードしてほしい。
ZEH供給比率70%達成へ プレハブ建築協会 住宅部会 2020年度活動報告(2021/3/23)

