



東京都港区の令和7年度の納税義務者は154,298人で、前年度の148,411人より3.7%増加し、このうち課税標準額が1億円以上(便宜的に億万長者と呼ぶ)の納税者は1,677人で、前年度の1,523人より154人増加し、全納税者に占める割合は1.1%で、前年度の1.0%から0.1ポイント増加した。
別表はこの10年間の港区の段階別納税義務者数の推移を見たものだ。億万長者は、9年前の平成28年度の957人から720人増加し、ついに全納税者の1%を突破した。また、億万長者を含む課税標準額が1,000万円以上の納税者は30,485人で、構成比は19.8%となっており、千代田区(18.3%)、中央区(13.7%)、渋谷区(13.3%)を上回り23区トップとなっている。
億万長者の所得割額は約334億円、構成比は30.3%で、前年度の36.2%から5.9ポイント減少した。億万長者の一人当たり所得割額は1,989万円で、全納税者の71.4万円の約28倍となっている。
所得割の税率は、所得に対して10%(道府県民税4%、特別区民税6%)で、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定される。
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いかに港区に億万長者が多く住んでいるか他区と比較したいのだが、残念ながら他区は課税標準額の段階別納税者数は「2,000万円以上」と、それ以上を一括りにしているので港区との比較はできない。以下、東京都の「令和6年度市町村税課税状況等の調(特別区関係)」のデータを紹介する。
令和6年度の23区の所得割の納税義務者数は約523万人で総所得金額等は前年度比6.6%増の約31兆円。総所得金額等から所得控除額を控除した課税標準額は約23兆円で所得割額は約1兆円。納税義務者一人当たりの所得割額は21.8万円。
納税義務者に占める課税標準額1億円以上は0.1%、6,000人。納税義務者一人当たりの特別区民税額の平均は20.6万円で、最も多いのが港区で67.0万円、次いで千代田区46.9万円、渋谷区44.0万円となっている。もっとも低いのは足立区の12.6万円。
このデータから、23区の億万長者の28.0%が港区に住んでいることになる。1戸当たり4億円、全1,000戸の「三田ガーデンヒルズ」の引き渡しが今年行われたが、この居住者の納税額は反映されていないので、来年度はもっと実数、比率が高まるのは間違いない。総所得と所得割額の税率や、このところの不動産価格の上昇と株高を加味すると億万長者の一人当たり総所得は20~30億円、総資産はその数倍にのぼると思われる。この数値はまだまだ上昇することになりそうだ。

港区役所
港区の億万長者納税者の1%1,500人超激増に拍車かける億ション続々竣工へ(2024/10/18)


