RBA OFFICIAL
 
2025/12/11(木) 23:15

積水ハウス「SI(エス・アイ)事業」見学会 利点も課題も見えた 遠鉄ホーム「浜松」

投稿者:  牧田司

IMG_3094.jpg
「SI(エス・アイ)事業」「浜松」モデルハウス

 積水ハウスと遠州鉄道は12月9日、積水ハウスの「SI(エス・アイ)事業」を採用したメディア向けモデルハウス見学会を行った。同事業のモデルハウス見学会は初めてで、東京から往復で約3時間、交通費約16,000円をかけて取材し、記事化する〝価値〟はあったと思う。この事業の利点も課題も見えたような気がする。

 「SI(エス・アイ)事業」は、建物の「S(=スケルトン)」部分の基礎、躯体、接合部、施工を積水ハウスグループが、「I(=インフィル)」部分の設計、外装や内装、設備はパートナー企業が担う仕組み。2023年9月から開始しており、これまでパートナー企業は12月9日に発表した遠州鉄道と埼玉県の大賀建設を加え10社となった。受注目標は2025年度までに年間300棟。

 〝目玉〟の「ダイレクトジョイント(DJ)構法」は、建物の基礎部分と柱を金物とアンカーボルトで直接つなぐことで、従来の木造工法の弱点を解消するもの。この構法を採用することにより、一般的な在来工法の幅約3600ミリ(2間)のLDK空間を幅4550ミリに広げることが可能になり、在来工法では4枚の耐力壁が必要なのに対し、2枚の耐力壁で同レベルの耐震性を確保できる。

 遠州鉄道取締役社長・丸山晃司氏は「当社は『遠鉄ホーム』のブランド名で、静岡県西部を中心に新築住宅事業を展開しており、5,500棟以上の建築実績があります。南海トラフ地震が懸念される今、SI 事業に参加し、DJ 構法の高い耐震性と、弊社が培ってきた設計力・提案力を融合させることで、より安全・快適な住まいづくりをお届けいたします」とコメント。

 見学会で積水ハウス経営戦略本部戸建事業戦略部SI戦略室エグゼクティブ・スペシャリストの樋口雅信氏は「在来工法は基礎と土台を接合する精度が欠ける課題があるが、ダイレクトジョイント構法は金物で直接接合して精度・強度を高めている。当社のシャーウッドと同じ施工方法。壁倍率は7.3倍で、耐震性を高めるとともに大開口を実現した」と語った。

 また、遠州鉄道遠鉄ホーム設計課課長代理・大瀬浩太氏は「当社は過去30年間で5,500棟、年間にして200棟の注文・分譲戸建てを供給している。コラボレーションモデルは高強度の構造を生かし、LDKは約21帖を確保するとともに窓面を大きくし内と外をつなぐ設計にした。アクセント壁などに天竜杉や遠州綿紬を採用した。価格は坪80万円台を予定している。価格はハウスメーカーよりは安く、地域の相場よりは高い」と話した。

 建物は、浜松駅から車で約20分の浜松市中央区上島4丁目、土地面積約183㎡、2階建て延床面積約117㎡。1階天井高は2500ミリ、2階は2400ミリ。

IMG_3143.jpg

IMG_3097.jpg
基礎と土台の部分

IMG_3101.jpg
「ダイレクトジョイント(DJ)構法」のプレートが基礎部分に埋め込まれている

IMG_3109.jpg _LO_7089.jpg
樋口氏(左)と大瀬氏

◇        ◆     ◇

 モデルハウス見学会の案内状が届いたとき、当然、交通費・時間のコストを計算し、それを上回る価値がある情報を提供できるかどうかを計算した。結果は〝取材すべき〟となった。百閒は一見にしかず。同社の「SI(エス・アイ)事業」に関するプレス・リリースでは分からなかったことが分かり、同時に課題も見えた。

 「S(=スケルトン)」はさすがというべきか。記者は、「耐力壁ジャパンカップ」というイベントを10回以上取材してきた。木造建築の耐震性を向上させるには接合部分がもっとも重要だということを知った。「ダイレクトジョイント構法」はその課題を解消したものだ。 樋口氏は、「基礎を観ていただければ、当社施工であることは見る人が見れば分かる」と話したが、これは分からない。基礎のコンクリに塗装が施されていることなど誰もチェックなどしないはずだ。〝見る人〟とは〝プロ〟だと思う。

 課題も分かったような気がした。全体の外観から受けた印象は、積水ハウスのこれまで見てきた『シャーウッド』とは違った。コストを抑制する企図があったのだろう。ほとんど総二階建てで、二階にバルコニーはなし(これはこれで需要者のニーズに応えるものだと思うが)。階段幅は尺モジュールだった。

 しかし、柱、梁型がほとんどなく、シンプルなLDK空間提案はとてもよく、GRAFTEKT(グラフテクト)を採用したグレーを基調としたシステムキッチンは素晴らしいと思った。

IMG_3136.jpg
、GRAFTEKT(グラフテクト)製キッチン&テーブル一体型システムキッチン

IMG_3140.jpg
、GRAFTEKT(グラフテクト)製キッチン

IMG_3135.jpg
天竜杉を採用した天井

◇        ◆     ◇

 取材の帰り。駅前の遠鉄デパート前で、一袋300円(3~5個)、重さ1キロ以上の富有(富裕)柿だか次郎柿だかを何のためらいもなく買った。多分、都内のスーパーの半値以下。何を買ってもいつもかみさんに〝こんなのを買ってきて〟と怒られるのに久々に褒められた。

 記者が大好きな絹谷幸二のネクタイもこの前、ネットで3本を通常価格の3分の1の値段で買った(うち1本は恥ずかしくて身につれられるものではないが)。素晴らしい。ただ、肝心の坪単価80万円のモデルハウスが高いのか安いのかは、さっぱりわからない。

_LO_7164.jpg
見学会後の記者発表会(左から遠州鉄道取締役 不動産事業本部長・鈴木憲之氏、同社住宅事業部長・渡邊一弘氏、積水ハウス常務執行役員 経営戦略担当・廣田耕平氏、同社経営戦略本部 戸建事業戦略部長・板倉浩二氏)

「S(スケルトン)」は積水ハウス、「I(インフィル)」はパートナー企業のSI事業(2023/8/28)

AQ Group 木造耐力壁の強さを競うカベワングランプリ 3年連続トーナメント優勝(20224/10/12)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン