
「江戸の長屋」をイメージした「T-home 景(KEI)」外観
三井ホームは1月27日、地域の賑わいづくりを目指す東武不動産「ことまちプロジェクト」の一環である宿泊施設「T-home 景(KEI)」が竣工したのに伴うメディア向け見学会を行った。施工は同社が担当した。
施設は、東武スカイツリーライン押上駅から徒歩3分、墨田区押上一丁目の近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率300%)に位置する期間20年の定期借地権付き木造2階建て全6棟。用途は宿泊施設(29室)、店舗(3区画)。客室面積は46.44~58.70㎡。定員は6~10名。宿泊料金は平均5万円。構造は2×4耐火構造。延床面積は約1,785㎡。木材使用量は419㎥。設計はアトリエ9建築研究所。施工は三井ホーム。開業予定は2026年2月11日。
現地は総合病院跡地で、期間20年の定期借地権付きで建設するもの。法定容積率300%に対して消化容積率は100%程度。建物外観は黒で、和瓦を採用しているのが特徴。主なターゲットはインバウンド。
プロジェクトは、東武不動産が展開する「ことまちプロジェクト」の一環で、東京スカイツリータウン®の来訪者を周辺地域へ誘導し、地域全体の賑わい創出を目指すもの。押上の街並みに調和するよう和のデザインを基調に、「江戸の長屋」をイメージした全6棟の分棟形式を採用。室内は「和モダン」をコンセプトに、畳の小上がりや無垢材の質感を取り入れつつ、キッチンや洗濯機などの設備を完備。長期滞在にも対応できる。
「ことまちプロジェクト」では、スカイツリー南側の賑わいを創出するため、コミュニティ施設「ことまちラボ」を設け、牛嶋神社例祭、もちつきイベント、こども食堂、おしゃべり座談会、トークイベントなど様々な取り組みを行っている。
東武不動産開発事業本部企画運営部次長・岡崎真二氏は、「当社は2020年から押上エリアでキッチンや洗濯機などを備え、4名から12名までの家族やグループといった大人数での宿泊も可能な“暮らすように泊まる”ホテルを複数(6施設13施設)展開しています。『T-home 景(KEI)』は、高度利用も可能な都市計画エリアではあるものの、木造2階建の長屋を分棟配置し、広場と路地で江戸の街並みをイメージしました。当ホテルが押上の新たな観光拠点となって街の賑わいづくりに貢献していけることを目指しています」とコメントした。
三井ホーム施設・賃貸事業本部コンサルティング第二営業部マネジャー・和井田 響平氏は、「建設地は押上の防火地域内に位置し、高度な耐火性能が求められる一方で、周辺環境との調和や集いの場としての魅力も同時に追求する必要がありました。これに対し、当社が培ってきた『2×4工法耐火構造』を採用。さらに『ダブルシールドパネル』や遮音床などの独自技術を導入することで、高い耐火性・断熱性・快適性を維持しつつ、開放感あふれる空間を実現いたしました」とコメントした。

オープンスペース

各客室をつなぐ路地

「和モダン」の内観

岡崎氏(左)と和井田氏
◇ ◆ ◇
インバウンドを中心とする宿泊客が周辺の飲食店舗を利用するよう誘導する「ことまちプロジェクト」の企画意図と、断熱・遮音性能が高い三井ホームの施工力が一致したのだろう。期間20年の定借で、法定容積率の約3分の1しか消化していないことからコストを抑制していることにも納得した。デザインは外国人に受け入れられるはずだ。
何より嬉しかったのは、三井ホーム施設・賃貸事業本部施設・賃貸設計部設計グループ長・小松弘昭氏と約5年ぶりにお会いし、「門は本物のヒノキ材を用いて私が設計した」ことを聞いたことだ。
小松氏は、同社の木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」のメディア向け見学会で、女性記者の「これって鉄かコンクリか木造か分かりませんよね」と質問したのに対して、「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と言い放った。木造は「現し」がいいに決まっていると思っていた(今でも変わらない)記者は頭をどやされたような気がした。当時の記事も添付するので、是非読んでいただきたい。
その小松氏が、眼に見える部分はほとんどがケミカル仕上げなのに対し、何とヒノキ材を使用した立派な門を自ら設計し、建てたという。門もまたすべて黒に塗り込められていたが、「現し」には変わりはない。

小松氏

「小松門」

東武不不動産からのお土産「すみだの街歩き」

〝こんぶのソムリエ〟の店主がお客様の用途に合わせて商品を紹介する「こんぶの岩﨑」(左)と、創業100年超の「隅田屋商店」の米

外観

