
「桜の聖母学院中学校 新校舎」
既報のように、令和4年の改正建築基準法により大規模建築物でも木造「現し」による設計を可能にした先進的事例である福島市の「桜の聖母学院中学校 新校舎落成式」が2月21日行われ、施主の学校関係者・生徒、設計・施工を担当した三井ホーム関係者らが多く参加して落成を祝った。
式典は、使徒パウロのコリトンの教会への第一の手紙「あなたがたは神の建物なのです」、マタイによる言葉「そのときイエスは言われた。『そこで、私のこれらの言葉を聞いて行うものは皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に似ている。雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家を襲っても、倒れなかった』」などの言葉や、「わたしの魂は」「マラタナ」「ごらんよ空の鳥」「天のささやき」などを唱和して始まった。
施主の学校法人コングレガシオン・ド・ノートルダム桜の聖母学院理事長・西内みなみ氏は冒頭、「本日、式典を行えるのはこのうえない喜び。皆さん、これ(ホールの壁面)は全部、福島県産材のスギノキです。安心・安全の最高の環境を整えていただき感謝いたします。今後も礎を築いていただいた先達の伝統を引き継ぎ、可能性を拡げ、充実した教育の実現に向け邁進します」と謝意を述べた。
来賓としてあいさつした馬場雄基・福島市長は、「ごきげんよう(こんにちはという意味か)。私の姉はここの学校の卒業生。市は全国的にも珍しい中学校給食センター事業にチャレンジしている。私立であっても、街づくりの一環としてサービスを提供する」と祝辞を述べた。
新校舎のコーディネートはマルホンが担当し、床材・壁材の一部、下足入れ、交流ホールベンチなどには福島県産木材を約16m³使用している(柱などの構造材は輸入材)。

交流ホール

昇降口

交流ホール レイアウトの一例

これも木造・木質化の効果か 西内氏(左)と馬場氏の表情は実に晴々していた
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施設の概要などは、同社がリリースを発表しており、記事にも書いたのでそちらを参照していただきたい。取材の目的は、この目で木造建築物の美しさを確認することだった。
同社設計担当者は、建基法改正直後に着工したので適合化に苦労したと語ったが、構造材の柱や梁が「現し」として多用されており、とても美しい。今後、大規模建築物に現しの木造建築物が激増するのではないかと思った。
交流ホールの壁やエントランスの下足入れなどに多用されている福島県産材のスギ材は頬刷りしたくなるようにすべすべしており、美しかった。「秋田スギ」は有名だが、気候が似ているから材質もいいのだろう。床材はクリ材だった。福島県はわが国有数のクリの生産地のようだ。

式典(交流ホールで)

教室の天井

RC造と木造をつなぐエクスパンジョン部分(黒い部分は電車の蛇腹のようだった)

新校舎と旧校舎をつなぐ空間

調光によりマリア像が浮き上がる演出も可能

築50年の旧校舎も木が多用されており、4階建てか、天井までのサーキュラー階段が素晴らしい
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耳が遠くなったので約20分間の同社設計チームマネージャー・玉井一行氏の生徒向けの講義はほとんど聞き取れなかったのだが、建築士の仕事、木は太くても細くても、節くれだっていようが皺だらけであろうが、それ自体に価値があり、木造の耐震性、耐火性を強化するための燃えしろ設計、県産材を利用することの意義などについて語ったのだと思う。本質的ではあるが、頭を混乱させるような「建築美とは何か」「現しの呪縛」などについては触れなかったはずだ。
生徒の質問に対して「もっともこだわっているのは意匠デザインインはもちろん(構造、設備も含めて)すべて」「仕事で時間を割くのは、毎日が受験勉強のようなもの」「漫画家と一緒、ストーリーを描くことが大事」などと答えた。
生徒さんはどうかというと、急峻な坂だらけの、広葉樹の勢力争いが熾烈を極め、右に左に身体をくねらせないと生きられず、いつも廊下に立たされた、ただ運がよかったために間伐材のように打ち捨てられることを免れた、三重の僻村出身の記者と異なり、尽きることのない清冽な安達太良山の湧水と、燦燦と降り注ぐ太陽のお陰か、舟をこぐ生徒など一人もおらず、すくっと背筋を伸ばずアスナロの幼木に見えた。

玉井氏(カメラは正直だ。西内氏や馬場氏と表情が全然異なる。受験勉強の日々を過ごしていたらいつか倒れないか心配になった。玉井さん、少し休まれたほうがいい。小生の記事が少しは読まれるのは〝右向け左〟を実践してきたからだ)
三井ホーム&三井不大規模建築物に木造「現し」可能にした建基法に適合校舎完成(2026/2/14)
三井ホーム 林野庁の補助事業による2×4工法の幼稚園完成(2014/8/25)

