
「オルキデ蘆花公園 モクスタイルガーデン」
三井ホームは3月27日、戸建て風賃貸住宅を街並みとして一体的に開発する「街並み賃貸」ブランド「MOCXSTYLE GARDEN(モクスタイルガーデン)」の過去最大級の「オルキデ蘆花公園 モクスタイルガーデン」が完成したのに伴うメディア向け見学会を行った。建ぺい率50%、容積率100%の1低層住宅地の2階長屋建て全8棟38戸で、容積を半分余すなどランドスケープデザインが最高に素晴らしい。
物件は、京王線八幡山駅から徒歩11分、世田谷区八幡山三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する敷地面積約4,331㎡、木造枠組み工法2階建て長屋8棟(賃貸住宅)延床面積約2,215㎡の38戸(2期工事3戸含む)。専用面積は約33~82㎡(平均56.86㎡)、坪賃料は1.2万円台。工期は2024年10月~2026年3月。設計・施工は三井ホーム。管理は三井ホームエステート(一括借り上げ)。35戸のうち11戸に申し込みが入っている。
「のこす」「つなぐ」「ひらく」をコンセプトに、敷地内に植わっていた樹種も樹齢も不明の樹木(シイの仲間のようだ)を「大樹のひろば」のシンボルツリーとして残し、屋敷内にあった灯篭、敷石などをデザインに生かして未来につなげ、八幡山の新たな魅力を創出しているのが特徴。
幅員6メートルの開発道路は「7」の字型で、その文字の中に配した「七番館」は建物の位置をずらして配置することで、大樹と街を「つなぐ小径」を創り出している。舗道は石畳風仕上げで、狭さくやバンプ風のインタロッキングを多用して、車の速度を落とす工夫も行っている。
建物は、大樹・灯篭・石材を生かすため大正ロマンをイメージした和洋折衷型のデザインとしている。
木材使用量は463.3㎥、炭素貯蔵量は389.9t-CO2で、スギの木(50年生)に換算すると772本分。全区画へのEVコンセントも設置しており、東京都の「東京ゼロエミ住宅」にも対応している。
見学会で同社建築デザイン研究所住宅第二設計部オーダー設計グループ長・荒井信之氏は、「芦花公園にも近い立地で、森のような屋敷だった敷地内の樹木を残し、灯篭などもデザイン取り込み、建物の配置に工夫を凝らすことで街を開くデザインとし、建物は過去のDNAを継承する和洋折衷型とした。全体として一つの庭園に感じられるような設計にした」と語った。
また、同部モクスガーデン設計グループの中沢佑耶氏は「舗道は石畳風に仕上げるためカッター目地を施し、車の速度を落とすためにインタロッキングにも工夫を凝らした」と語った。


従前の屋敷林

EV対応の駐車スぺース

荒井氏(左)と中沢氏
◇ ◆ ◇
これまで賃貸住宅もそこそこ取材してきたが、これほど素晴らしいランドスケープデザインの物件を見るのは初めてだ。記事に〝最高レベルの賃貸住宅〟と書こうと思ったので、小生より5歳くらい年上の大御所の記者の方にも聞いたら「初めて」とのことだった。
同社関係者にも「御社の賃貸でこれが最高レベルか、同業他社ではどうか」と質問したのだが、みんな年齢は小生より一回りどころか二回り、三回りの下の方ばかりなので、満足できる答えは返ってこなかった。
いま記事を書いているところだが、配布資料を見たら、敷地面積に対する延床面積は約51%だ。つまり、容積率を半分余している計算だ。しかし、これはありえない。敷地面積は、建物の敷地ではなく舗道や広場なども含めた開発面積のことであるに違いない。なので単純に容積を余していると受け取るわけにはいかない。舗道は私道のようなので、固定資産税や都市計画税の対象になるはずだが、「大樹のひろば」は一般に供されるので、舗道は〝公道〟、広場は〝提供公園〟扱いになるのかよくわからない。
しかし、いずれにしろ坪賃料は、このランドスケープを考慮すれば〝超割安〟だ。敷地面積を38戸で割ったら、1戸当たり約114㎡だ。分譲住宅にしたら2億円近くでも売れるはずだ。
分譲戸建ての最近の最高峰は、建ぺい率30%、容積率50%の第一種低層住宅専用地域のポラス「NOEN(ノエン)柏・逆井」だ。

舗道

「つなぐ小径」

「大樹のひろば」

