不動産経済研究所は4月20日、首都圏の2025年度のマンション市場動向をまとめ発表。発売戸数は前期比2.6%減の2万1,659戸となり、1973年度以降で過去最少だった昨年度をさらに下回った。1戸当り平均価格は9,383万円(前期比15.3%上昇)、1㎡当り単価は141.9万円(同15.4%上昇)、販売在庫数は6,409戸(前期末比293戸増)となった。
◇ ◆ ◇
他社の調査結果についてとやかく言う立場にはないが、「販売在庫」の数値が気になる。AIによると「販売在庫とは、企業が販売目的で一時的に保管している商品、製品、原材料などの資産(棚卸資産)のこと」とある。その通りだろう。分譲マンションも広義の意味では販売中のマンションも「在庫」であることに変わりはないが、これまで、業界では「在庫」は「完成在庫」、つまり売りたくとも売れなくて完成後も残っているマンションのことを指すと理解されてきたはずだ。
ところが近年は右肩上がりの市場で、競合状況にもよめるが、売れ残っても販売上の障害にはならず、また、販売経費を削減する目的から竣工してから販売する物件も増えている。わざわざ「未供給在庫」と呼ぶデベロッパーもあるくらいだ。
不動研の「販売在庫」は、建物の未完成・完成に関わらず、供給した戸数のうち販売中のものをカウントしていると理解できる。つまり、6,409戸は2025年度だけでなく、それ以前に分譲された戸数も含まれるはずだ。だとすれば、2024年度の供給戸数22,239戸を含む過去2年間の供給戸数43,898戸に対する販売在庫率は14.6%となる。
一方で、長谷工総合研究所の「CRI」は、不動研のデータを基に「完成在庫」数を公表している。2026年2月末で3,629戸(前年同期比14.2%増)となっている。また、完成在庫÷直近1年間の総販売戸数の平均の数値として「完成在庫率」を公表しており、2026年2月末の完成在庫率は1.96か月となっている。総販売戸数とは、新規販売戸数と繰越販売戸数を合計したものだ。
カウントの仕方が異なるし、前述した「未供給完成在庫」が含まれるのか含まれないのか不明だから、この数値が高いのか低いのか判別できないが、記者は危険ラインだと思う。販売機会を逃さない適正在庫は年間供給戸数の1か月分、つまり8.3%だと考えているからだ。
これから上場デベロッパーの2026年3月期決算が発表されるので明らかになるが、総じてマンション事業は好調に推移しているのは間違いない。供給上位10社の市場占有率は50%に達するのではないか。そして、この10社の完成在庫率は1社100戸(某社は突出して多いが)とすれば完成在庫率は10%だ。
ということは、他の10位以下の大手系や中堅会社の供給戸数約1万戸のうち完成在庫は2割以上という推論が成り立つ。完成在庫が2割を突破したら、まず利益は出ない。売りたくても売れない完成在庫マンションがこれらのデベロッパーに偏在しているということだ。デベロッパー間の企業格差が拡大し、消費者に峻別される時代に突入したということかもしれない。
マンション完成在庫率16.7%は危険ライン〝新価格〟登場〝優勝劣敗〟市場へ(2026/3/22)

