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2026/05/20(水) 17:42

「プレミストを建替・リブネスとともに柱の一つに育てる」大和ハウス・芳井会長

投稿者:  牧田司

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芳井氏

 大和ハウス工業は5月18日、2026年3月期決算に関するメディア向けスモールミーティングを開催。冒頭、同社代表取締役会長CEO・芳井敬一氏は、2026年3月期決算は、2027年3月期を最終年度とする第7次中期経営計画を前倒しで達成し、売上高、各利益ともすべて過去最高を更新、2027年3月期から開始する予定の第8次中期経営計画は、中東情勢が不透明なことから発表時期を延期し、2027年3月期の業績予想では原油高、工事遅延、資材高騰などのリスクとして売上高3,000億円、営業利益1,000億円のマイナスを織り込み、年間配当については1円増配の176円予定していると話した。その後、約1時間にわたり同社代表取締役社長COO・大友浩嗣氏らとメディアとの質疑応答に答えた。

 同社の2026年3月決算は、売上高55,768億円(前期比2.6%増)、営業利益614,8億円(同12.6%増)、経常利益5,719億円(同10.9%増)、純利益3,505億円(同7.8%増)。賃貸住宅、商業施設、ホテル事業などが順調に拡大し、売上総利益率は19.2%(前期比0.7ポイント上昇)へ改善した。

 セグメント別では、戸建住宅は売上高13,422億円(前期比17.3%増)、営業利益1,556億円(同123.0%増)、賃貸住宅は売上高14,292億円(同3.9%増)、営業利益1,411億円(同8.6%増)、マンションは売上高2,796億円(同3.8%増)、営業利益59億円(同45.1%現)、商業施設の売上高12,901億円(同5.1%増)、営業利益1,624億円(同11.4%増)、事業施設の売上高11,898億円(同13.1%減)、営業利益1,276億円(同20.0%減)。

 2027年3月期業績予想は売上高58,000億円(前期比4.0%増)、営業利益4,000億円(同34.9%減)、経常利益3,420億円(同40.2%減)、純利益2,270億円(同35.2%減)を見込む。年間配当は前期比1円増の176円を予定。

◇        ◆     ◇

 同社の決算説明会の質疑応答で、分譲マンション事業について質問するメディアはほとんどいない。これは分からないわけではない。2026年3月期のマンションの売上高は2,796億円で、セグメント別売上高比率は5.0%だ。比率は賃貸住宅25.6%、戸建住宅24.1%、商業施設23.1%、事業施設21.3%と比べものにならない。国内市場はどんどん縮小し、大手の寡占化が進行している。

 また、特ダネ、ホットニュースを追いかけるのが習性のメディアも、中東情勢の影響や住友電設の子会社化による業績の影響などについて記事にするほうが、読者の関心も呼びやすい。わずか5%しかないマンション事業について質問しない、興味がないのは当然かもしれない。

 一方、分譲住宅市場が〝守備範囲・定位置〟の記者は、同社のマンションもずっと取材してきた。同社内の売上比率は低いが、業界全体で見ると三井不動産、住友不動産、三菱地所、野村不動産などに次ぐ規模だ。東急不動産や東京建物、積水ハウスなどよりも多い。

 それだけではない。かつてマンションは〝売ったらおしまい〟だったが、今は各社ともファンの囲い込みに必死だ。関連会社を通じた管理、売買仲介、リフォームだけでなく、あらゆる生活関連サービスを展開している。会員組織は大きいところでは数十万人にも達している。大和ハウスの取り組みは他社に後れを取っている印象を受ける。

 物件そのものはどうかというと、最近は首都圏の「塚田」「昭島」「大倉山」「船橋」「鶴見」などトップレベルの物件を供給している。

 この日は、耳が遠くなった記者に同社広報が気を利かせてボイスレコーダーを貸してくれた。ものすごくクリアに聞こえたので、お礼の意味も込めてマンション事業について質問することにした。狙いは芳井氏や大友氏の答えを引き出すだけではなく、メディアに注目させることにもあった。

 質問は、2025年度のマンション売上戸数1,263戸(1戸当たり平均7,340万円)に対する完成在庫437戸、営業利益59億円(営業利益率2.1%)の数値は同業他社と比較して圧倒的に低いのではないかというものだ。

 数値をどこと比較するかだが、例えば三井不動産。同社の2025年度の国内住宅分譲の売上高は4,393億円、営業利益は1,120億円(営業利益率25.5%)だ。マンションの売上高は4,008億円、計上戸数は2,747戸(1戸当たり14,592万円)、完成在庫は36戸。

 大和ハウスの利益率が低いのは海外の棚卸評価損を計上したためで、それを除くと9%という回答があったが、それにしても低すぎる。

 適正在庫については様々な考え方があるだろうが、かつて大京・横山修二社長が「年間販売戸数の1か月分が適正」と話したのを覚えている。なぜそうなのかといえば、一定の在庫がないと、顧客の購入希望に添えない、つまり販売機会を失うことになるというものだった。

 これに照らし合わせると、大和ハウスの完成在庫率は34.6%だ。在庫率が高いのは、消費者の取得環境が厳しく競争も激しく、絶えず価格下げ圧力がかかる地方での供給比率が高いからではないかと考えている。一つ間違えると在庫は100戸、200戸規模に膨れ上がるのが今の市場だ。

 記者の質問に対し芳井氏は、「マンションブランドの〝プレミスト〟は、建て替え・リブネス事業とともに柱の一つに育てる。期待していただきたい」と答えた。

 同社は、リブネス事業の売上高を2030年までに1兆円(2025年度は約4,500億円)に伸ばす目標を掲げている。記者もこの分野は飛躍的に伸びると思っている。再生と新築と両輪でこれまでにない事業モデルを構築するのは可能だと思う。

 それでも何かが欠けている気がする。先にも書いたブランディングではないか。かつて〝パークマンション〟〝パークハウス〟〝シティハウス〟〝プラウド〟〝ブリリア〟などは頻繁にメディア見学会を行い、消費者への浸透に力を入れた。記者はモリモト、大和地所レジデンス(前日本綜合地所)などを年間10~20件は見学して記事にした。消費者に浸透するのに一定の役割を果たしたはずだ。

 〝ダイワハウス〟を知らない人はいないだろうが、〝プレミスト〟が同社のマンションブランドだと答えられる人はどれだけいるか。メディアの方も先に上げたマンションを見学したことがある人は数えるほどしかいないはずだ。記者はものを見ないと成長しないし、企業は記者を育てる役割も担っているはずだ。同社が近く分譲する「つくば」の見学会をやってはいかが(記者は申し込み済み)。「鶴見」もいい。

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