長谷工総合研究所の不動産総合情報誌「CRI(Comprehensive Real-estate Information)」の8月号は「CRI REPORT」として「首都圏・近畿圏 分譲マンション市場動向 〜2026年上半期の総括と下半期の見通し〜」を発表した。
首都圏に関するレポートでは、2026年上半期新規供給戸数は646件7,989戸で、前年同期(662件8,053戸)に対し、新規供給件数は2.4%減少、新規供給戸数は0.8%減となった。第1期発売開始物件は91件2,599戸、1回当たりの供給戸数の平均値は28.6戸となり、前年同期(83件2,642戸)と比べ物件数は増加したものの、供給戸数ならびに1回当たりの供給戸数の平均値は減少した
分譲単価は前年比8.8%上昇の1,514千円/㎡(坪単価500万円)、平均価格は同比10.4%上昇の1億135万円。大規模超高層物件の構成比が拡大した影響もあり、平均価格・分譲単価ともに前年を上回った。都内23区の分譲単価は前年比5.55%上昇の2,226千円/㎡(坪単価735万円)、平均面積は64.02㎡で同比0.8%縮小し、平均価格は同比4.7%上昇の1億4,249万円となった。
初月販売率は64.8%で前年同期(66.6%)を下回り、3年連続で70%を下回った。
2026年6月末の分譲中戸数は6,389戸で2025年6月末より363戸増加。完成在庫は3,983戸で2025年6月末より462戸増加し、分譲中戸数は3年連続、完成在庫は2年連続で前年同月末を上回った。
2026年下半期の市場見通しとしては、「2026年の新規供給については、2024年・2025年着工分が中心になると考えられる。両年着工分のうち、発売済みプロジェクトの未供給戸数は首都圏で約1万戸…未発売プロジェクトは、首都圏ではワンルームマンションと推定される戸数を除いて約5万4,000戸程度…2026年下半期の分譲マンションの供給材料(定期借地権マンションを含む)は、首都圏では約6万4,000戸…存在すると推察する」とし、「一方で、これまでみてきた価格上昇下における供給施策の傾向などもあり、供給拡大は限定的となる見通し…2026年下半期の新規供給戸数は前年同期をやや上回る1万4,000戸台と見込む」としている。
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記者は、下半期の見通しが解せない。供給材料が約6万4,000戸もあるのに、新規供給はその約22%の約1万4,000戸にどうしてとどまるのか。多分、業界関係者の方も、供給材料の8割近くが供給(商品化)されない〝謎〟を解けないのではないか。
謎解きのヒントは「価格上昇下における供給施策」にあるのだが、CRIは、この供給施策について言及すべきだと思う。
もう一つ、大きな疑問は、6月末の完成在庫は3,983戸で、完成在庫率は2.22か月という数値だ。完成在庫率とは「完成在庫÷直近1年間の総販売戸数」だ。
適正在庫はどれくらいが適正化については、記者は年間供給量(販売量)の1か月分だと思っている。在庫を抱えるリスクはあるが、多様な顧客のニーズに応えるためには在庫は武器にもなるからだ。しかし、完成在庫率が2.22か月分というのは、下手をすれば赤字に転落する危機的ラインだと思う。
どうしてこのような不可思議な数字になるのか。やはり着工戸数と供給戸数の乖離(不動産経済研究所調査の供給戸数は、着工戸数の約4割)について説明が書けていると思う。また、期分け分譲による1回当たりの供給戸数が12.4戸(1物件当たりの分譲戸数は50~60戸と推測される)と少ないにも関わらず、初月販売率が2月の71.7%を除き70%を割っていることについても説明が必要ではないか。
煎じ詰めれば、昔のモノサシではいまの市場を測れないということだと思う。参考までに、記者が2016年に書いた一挙販売に関する記事を添付する。
①総合地所他「ルネアクシアム」721戸(平成13年)
②野村不動産他「プラウド船橋」573戸(平成25年)
③東京建物他「Brilliaタワーズ目黒」495戸(平成29年)
④三井不動産レジ他「SKYZ TOWER&GARDEN」470戸(平成26年)
⑤三菱地所他「Wコンフォートタワーズ」450戸(平成14年)
⑤三菱地所他「よこすか四季の街 パークヒルズ」約450戸(平成7年)
⑦野村不動産「プラウドシティ池袋本町」325戸(平成13年)
⑧三井不レジ・野村不動産「キャピタルゲートプレイス」322戸(平成25年)
⑨野村不動産他「プラウドタワー武蔵小杉」310戸(平成26年)
⑩三菱地所他「M.M.TOWERS」270戸(平成15年)
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