
左から中山氏、田部井氏、榎本氏、藤原氏(WITH HARAJUKU HALLで)
日本ペイントが8月26日行った、建築・空間・景観・グラフィックデザインにおける色の新たな可能性を体感するイベント「LIFE IS COLOR」を取材した。1997年に立ち上げた「色彩」にフォーカスしたブランド「カラモニー」を2026年7月にリブランディングした新「COLORMONY(カラモニー)」への関心を喚起し、塗料の新たな需要の創出を目指す取り組みの第一弾。「塗料とインクは似て非なるもの」などと言われると、何が何だかさっぱりわからなくなったが、知らないことを知っただけでもとてもいい体験ができた。
イベントの冒頭、榎本朋夫社長は、中東情勢の緊迫化を受け、食品パッケージから色が消えた結果、消費者の購入意向が従前の71.5%から44.8%へ激減した事例を紹介しながら、次のようにあいさつした。
「色は単なる飾りではありません。経済に大きな影響を与えます。装飾ではなく、空間価値を高め、人の感性に働きかける重要な要素を持っています。
カラモニーは施主、設計、施工、販売までより豊かな価値をつくり出すため、1,300色超を用意し、使いたいときに使えるようスピーディに対応できるよう超高速マシンも開発しました。
ブランドメッセージは『COLOR IS LIFE いつもを色でかえていく』です。この言葉には、日常の空間の見え方も、感じ方も、そこで過ごす時間も変えるという願いを込めました。色は単なる装飾ではありません。空間を演出し、人の気持ちを動かし、時に彩を与え、文化をつくりだす力を持っています。
また、色は感覚的にとらえられますが、実は非常に実務的でもあります。空間提案を説得し、その方向性を明示し、素材の魅力を引き出し、人にうれしさを伝えます。
カラモニーは今日から始まります。大切なのは、ここから皆様と共にどんな価値をつくり、どんな未来を育てていくかです。この場でカラモニーが目指す世界を感じていただきたい」
イベントでは、同社が開発したマシンを使った塗装の実演、編集者・ライターの山田泰巨氏をモデレーターとした建築家・中山英之氏、建築家・藤原徹平氏、グラフィックデザイナー・田部井美奈氏によるトークセッション、懇親会も行われた。

榎本氏

左から中山氏、田部井氏

左から藤原氏、山田氏
◇ ◆ ◇
今回のイベントが行われた1週間前にビクターの自然音を様々な空間に配信する「KooNe」を取材したばかりだった。音も色も五感に働きかける空間設計に欠かせない要素だ。
しかし、日本ペイントの名前は知ってはいたが、具体的にはどのような事業を行っているかは全然知らなかった。関係者が「塗装とインクは別物、似て非なるもの」と話した意味も分からなかった。トークセッションで3氏がそれぞれ自作事例を紹介したが、知っていたのは田部井氏が担当した野村不動産の「プラウド目黒」の共用部に採用されていたサインだけだった。
それでも、榎本氏の話はとても分かりやすく、トークセッションも想像力が掻き立てられる内容だった。モダニズムの代表的建築家のル・コルビュジエを代表とするモダニズムの白と黒の世界、光を絵画に取り込んだクロード・モネ(中山氏が手掛けたポーラ美術館での展示室での工夫)、色彩の魔術師のアンリ・マチス(田部井氏が好きな画家だそうだ)、ニュートンVSゲーテの関係(藤原氏が説明した)、地域の自然環境と建築物の外観の関係、洛中洛外、建築と解体と再生、スポーツの色と脳の働き、公共建築物での色の扱いの難しさ(藤原氏は苦心された)、植木鉢と補色の関係にある葉っぱ(中山氏がこれからのテーマだと話した)…。

