
被験者16名に対するKooNeのON/OFFによる体感のアンケート結果(「KooNe」パンフレットから)
「通信」「映像」「音響」技術を生かしたJVCケンウッドの自然音による音響空間を提供する「KooNe(クーネ)」を体験した。「鳥のさえずりは上から、川のせせらぎは下から」の自然音に、ビクターテレビを小さいころ実家が視聴していた記者は感動すら覚えた。
「KooNe」は2013年、同社のブランドの一つであるビクターエンタテインメントが開発した空間音響デザインソリューション・サービス。人が音として聞こえる20kHzの約倍の40kHzの高音質・広帯域のハイレゾ音源で、軽井沢や屋久島、白神山地などの森、川、波などの音を収録し、「KooNe」サーバーからインターネット回線を通じて専用アプリに配信し、スピーカーで流す仕組みだ。
収録した自然音は、「鳥のさえずりは上から、川のせせらぎは下から」聞こえるように、スピーカーは森の音は天井部分や壁に、川や波などは床部分にそれぞれ設置し、優しく音が届くように間接音による設計を標準化しているのが特徴。
これまで、オフィス・ワークプレイスを中心に、商業施設・サービス業、教育・学習施設、医療機関・クリニック、居住空間・高齢者施設など全国約300か所で採用されている。
ハイレゾが流れる自然環境音は、心理面ではストレスを軽減し、リラックス状態をもたらす効果があり、身体面では副交感神経が優位に働くなど、「集中・没入」「コミュニケーション」「リラックス」「おもてなし」などのサウンドマスキング効果があることが実証されている。
同社メディア事業部直販営業部開発推進グループ マーケット・クリエイター安部渉氏は「開発当初は、事業としては2~3年持つかどうかの声もありましたが、コロナ禍を経て、快適な空間づくりへのニーズが高まっており、バイオフィリックデザイン導入の効果は幸福度で15%、生産性で6%、創造性で15%向上したというデータがあり、川崎市の実証実験では『植栽+自然音(KooNe)あり』が全てにおいて高い検証結果が得られています」と語った。

天井に設置されている「森の音」スピーカー(左)と床に設置されている波の音スピーカー(JVCケンウッド品川オフィスで)
◇ ◆ ◇
百聞は一見に如かず。論より証拠-住宅・不動産業の商品企画担当の皆さん、「KooNe」を体験すべき。世の中が変わるはず。
「KooNe」の優れているのは、安部氏が「森は上から、川は下から」と語ったように、自然界そのものの音を再生していることだ。小鳥のさえずりや葉擦れの音は天井部分から、小川のせせらぎや海の波は床部分からそれぞれ間接音として流れてくることだ。耳をつんざくカエルの大合唱や寄せては返す波の音が、空から直接降ってきたら穏やかではいられないはずだ。
安部氏は、「五感に訴える商品開発では、『音』の分野がもっとも遅れている」と語った。考えてみればその通りかもしれない。エネルギー、食材、建材、衣類、家具調度品、装飾品、香料…自然由来ばかりだ。しかし、他の五感-味覚、視覚、嗅覚、触覚と比べて、自然音を聴覚に訴える商品・サービスは少ないのが現状ではないか。デベロッパーなどが「バイオフィリックデザイン」を採用するようになってから20年くらいしかない。
◇ ◆ ◇
物事には相性がある。酒とつまみでいえばビールと柿の種、日本酒とめざし、ブランデー・ワインとブルーチーズ、泡盛と豆腐ようだ。音と空間では人工的なBGMも悪くはないが、選曲を間違えるとサウンドマスキングは台無しになることもある。しかし、自然音を嫌う人はまずいない。舌を切られた雀は、その鳴き声ではなく欲張りばあさんの糊を食べたからで、カエルやクツワムシの大合唱や、寄せては返す波の音で不眠症に陥る人はいないはずだ。
それどころか、もののあわれは、音によって習得される側面が大きい。万葉集に「夕影に来鳴くひぐらしここだくも日ごとに聞けど飽かぬ声かも」「こほろぎの待ち喜ぶる秋の夜を寝る験なし枕と我れは」と詠まれているように、ヒグラシやコオロギの鳴き声に人は季節の移り変わりを感知し、はかない人生をいとおしむ。
「KooNe」は様々な空間で採用されているが、記者は一般家庭への普及に期待したい。どうしてかといえば、音声アシスタントを各社が分譲住宅に採用しだしたころの2018年、ポラスが五感をテーマにした「アドバンスドプレイス船橋・北習志野」が人気を呼んだ。パナソニックの「ダウンライト付きスピーカー」とAlexaを導入し、天井から音楽が流れるようにしたものだ。
そのとき、記者は「西武ライオンズの応援歌が聞きたい」と注文したら、何とAlexaは注文通りに西武応援歌を流した。『にんべんでは鰹節の削る音が流れた』『カエルの合唱』『コオロギの虫の息じゃなかった虫の音』『伊良子岬の波の音』なども口走ったが、これには応えてくれなかったのだが、記事では「これからはAI、IoTの時代だ。365日、全国のあるいは全世界の川のせせらぎか海の音か、コケコッコーの声、あるいはまたベートヴェンの『運命』で目覚め、ヘンデルの『水上の音楽』を聞きながら仕事をし…チャイコフスキー『眠れる森の美女』か、ベートヴェンの『月光』で深い眠りに付き、さらにまたエディットピアフの『パダムパダム』で絶望的な永遠の眠りにつく…素晴らしいではないか」と書いた。
その後、音声アシスタントは長足の進歩を遂げたはずだ。ユーザーが注文しなくても、AIが空気を読み、最適解を導き出し、その場に相応しい自然音を流す時代がやってくるのではないか。「KooNe」は無限の可能性を秘めている。

懐かしいビクターのマスコット「ニッパー」(JVCケンウッド品川オフィスエントランスで)
千代田区道・丸の内仲通り1か月占用 丸の内エリアで「夏の風物詩」イベント開催(2026/7/25)
建基法55条2項の適用受け1低層4階建て フージャースコーポ シニア向け「新浦安」(2026/7/1)
〝タイパ〟重視する層に訴求 3駅10路線が利用可 三菱地所レジ賃貸「日本橋茅場町」(2026/2/4)
成田駅徒歩圏で12年ぶり イオンタウンに隣接 総合地所「ルネ成田サングランデ」(2025/7/4)
他に比肩するものなし 三井不レジ シニア向け「パークウェルステイト西麻布」開業へ(2025/7/30)
あの〝杉乃木〟ホテルと同様 外装材に天然木採用 三井不レジ「城北中央公園」(2024/4/30)
更なる環境配慮型 三井不レジ・三菱地所レジ「三田ガーデンヒルズ」二期販売へ(2023/9/30)
自然と共生するワークスペース「コモレビズ」実装した「ザ・パークレックス天王洲」(2022/7/27)
第一園芸 独自に考案したオフィス空間デザイン 三井デザインテック新本社に採用(2021/8/11)
人気 ポラス「船橋・北習志野」91戸 潜在ニーズ引き出す「ヒーリング街区」(2018/12/17)
OK Google 東急不&パナ「中野富士見町」で初体験 頭いいが…学習能力が…(2018/12/11)

