
勝利に沸く三井不動産ナイン(撮影:石井俊志カメラマン)

観戦ガイド
5月14日東京ドームで行われた第37回RBA野球大会(第1回不動産・建設・住宅三業界交流野球大会)総合決勝戦-東急リバブル(水曜ブロック覇者)VS三井不動産(日曜ブロック覇者)は、三井不動産が3-2で接戦を制し、大会参加37年目で初優勝した。〝独断と偏見〟に満ちた記者と、RBA〝名物監督〟三井不動産リアルティ安西監督の冷静な目で見た戦評を紹介する。当日配布された観戦ガイドとともに読んでいただきたい。
観戦ガイドの冒頭に「戦績だけなら東急リバブルが優勢」と書いたが、「戦力」とはしなかったのには訳がある。プロ野球でも「打線は水物」といわれるほどだから、相手の投手次第で打てないこともあるからだ。戦力はそれほど差はないと読んでいた。
三井不の阿比留投手が「リバブル打線を手玉に取る可能性十分」とも書いた。それほど日曜ブロックでの投球は素晴らしかった。強豪の清水建設、三井不動産レジデンシャル、三菱地所など4試合に登板し、4試合20回を投げ3失点、防御率は1.35だった。安定感が抜群で、総合決勝戦でも最小失点に抑える力はあると見ていた。ただ、竹内、高岡を抑えきれるかどうかまでは分からなかった。もし、序盤に二人に打たれたらリバブルの圧勝もあると見ていた。
阿比留を推す理由はもう一つあった。日曜ブロック初戦の大成有楽不動産に勝利した時のコメントは、「ほとんど初戦で敗退する福岡高校出身で、大学ではやっていない」だった。〝大学ではやっていない〟=軟式サークルだろうと受け取った。これはリバブルの井上投手と同じだ。1年目の井上は「駒大卒で、草野球」とコメントした。草野球=軟式かどうかは分からないが…。井上はこの年7試合を一人で投げ切り、総合決勝戦ではノーヒット・ノーランの記録も樹立している。
〝怖いもの知らず〟という言葉がある。阿比留も井上も彼我の力関係など分かっていなかったはずだ。記者の記事は読んではいただろうが、対戦してみないと相手打者の力量は読めない。試合後、阿比留は「自分のピッチングができた」と語ったように、松本捕手のリード通りに投げたのではないか。(松本捕手のコメントを聞くべきだったか)
初回の攻防で、リバブルの圧勝はなく接戦になると思った。阿比留は竹内、高岡を完璧に抑えたからだ。一方のリバブル坪井も最高の立ち上がりで簡単に三者凡退に討ち取った。
リバブルが3~5回まで、先頭打者が出塁したのは見ていない。応援席での取材が忙しかったからだ。溝口氏、志村氏、岡住氏(見ればすぐ分かるミスターリバブルの大見氏は見当たらなかった)らと歓談し、井上投手、濱主将のお父さんとも話した。応援席の取材ほど楽しいものはない。三井不動産リアルティ安西監督がスコアをつけていたのには驚いた。
試合結果は記事を読んでいただきたい。記事に書いた通り、三井不の勝因は、阿比留が素晴らしいピッチングをし、主砲の宮田が先制打を放ち、ここ2~3年不振をかこっていた楠田が目の覚めるような2点2塁打を放ち、ここ10年くらいは豪打がすっかり影を潜めていた山際が3打席連続安打を放ち、チームを鼓舞したからだ。チームの弱点である守備力でも、2失策はしたがほぼ完ぺきにこなした。石田と宮田はもともと守備はいいが、杉岡二塁手の攻守も光った。
リバブルの敗因はなにか。〝タラレバ〟だが、やはり竹内と高岡がそれぞれ4タコに抑えられたことだ。3回は竹内、4回は高岡がそれぞれ得点機に打てなかったのが全てだ。先取点を奪っていたら、展開は変わっていたはずだ(阿比留の投球が素晴らしかったという証左でもあるが)。
阿比留もそうなのだが、井上投手の出来は分からなかった。記者の視力は0.1~0.2だ。球威、球種は判別できず、外野飛球はどこに飛んだのかさっぱりわからない。井上は試合後「投げ切った球を打たれた」と語ったが、あの鋭く落ちるカーブ、スライダーの出来はどうだったのか、ストレートで勝負に行ったのか…。井上はおとなしそうに見えるが、時として闘志をむき出しにしてストレートを投げる。
それまで完璧に抑えていたあの楠田の4打席目は解せない。楠田は何球かファウルしたが、タイミングは完全にあっていた。打たれたのはストレート系ではなかったか。失投のはずだ。

阿比留投手(撮影:石井俊志カメラマン)

井上投手(撮影:石井俊志カメラマン)

先制打を放った宮田(撮影:石井俊志カメラマン)

2点2塁打を放った楠田(撮影:石井俊志カメラマン)
◇ ◆ ◇
上段で「三井不動産リアルティ安西監督がスコアをつけていたのには驚いた」と書いたが、今シーズン(第2回トライビジョン)に備えるための準備だったようで、「後ほどスコアを送ります」とのことだった。この日(5月19日)、取材から帰って戦評を書こうと思っていたら、安西さんのコメント付きメールが届いていた。安西監督は大槻監督もそうだがRBAの〝名物監督〟の一人だ。どこかの監督のように大口など叩かない。以下、安西監督のコメントを全文紹介する。素晴らしい!小生など足元に及ばない。
牧田さんが書かれていた通り、井上投手の球速は昨年の私達との決勝戦よりは出ていましたが、出来は良くなかったと思います(6回103球と球数も多かったです)。先発の坪井投手、この間の出来なら、もう1~2回行かせたくなる投球でした。
三井不動産さんの勝因は3つ。
1)阿比留投手の粘りのピッチング(序盤のピンチを抑えたことと、1番竹内・3番高岡・4番奥富ほか左打者を完全に抑えたこと)。3ボ-ルまでが8回ありましたが、全部打ち取りました。9回122球無四球完投。素晴らしかった
2)7回1死1、2塁での2塁ランナー石田選手の3盗(サインではなく、単独だと思います。完全に盗んでいましたので⇒福田監督は言葉を濁したが、記者も安西監督の見解に賛成)と、1塁ランナ-戸谷選手の2盗の重盗完成。相手に相当なプレッシャーをかけました。石田選手は2四球、2盗塁。あの井上-奥冨バッテリーから1試合2盗塁は水曜日ではいないと思います。サ-ドの守備も堅実で、陰のMVPだと思います(⇒小生も記事に書いたが石田はとても守備がいい)。
3)3番宮田選手、4番楠田選手の右打ち。主軸でもまっすぐやスライダーを強引に引っ張らず、逆方面におっつけました
第1回トライビジョン(第37回RBA)野球大会総合決勝戦に相応しい、ナイスゲームでした。

安西監督
◇ ◆ ◇
このコメントについて、記者がいくつか質問した。以下、その問いと安西監督の回答。
【問い】お聞きしたいのは、阿比留の投球。ストレートは低めに決まっていたように思いますが、私はもう目が悪くどんな球だったのは判別できません。3ボールまで行ったのはそんなにあったのですか。これは驚き。無死四球ですよ。決め球は何だったのですか
【回答】スリーボールは、3-2が6回、3-1から抑えたのが2回。決め球はまっすぐ、スライダー、ツーシーム? を内外角に投げ分けておりました。左打者には外側中心の組み立てながら、時にズバッと内角やど真ん中に、内外角、高低、緩急、素晴らしいピッチングでした。松本捕手の好リードと阿比留投手の制球力が素晴らしかった
【問い】竹内は4打席ともセカンドゴロ。これはなぜか。打ち取られた球の球種はなにか
【回答】ストレート、ツーシームなど。第一打線打ち取られてから、見ていて、配球を読めず、打席での迷いがあった気がします
【問い】楠田の4打席目は見ていて当たれば長打になると思いました。外のカーブ、スライターが決まれば三振だろうと思いましたが、あれはどんな球だったのか。3打席まではかなり落ち込んでいました
【回答】その前の2打席も空振り三振。満振りしていたので、また三振? 4打席目はまっすぐで追い込まれましたが、2つ目のファールはタイミングバッチリ、奥富捕手が井上投手の決め球の外側低め、ボール球のスライダーを要求したと思われますが、この球が高めに甘くなり、楠田選手もスライダーを待っていて、ライトオーバーの2塁打になったと思います。高めのスライダーは打球が飛びますので。でも、ナイスバッティングでした
【問い】猛打賞の山際は信じられませんでした。デビューした時は凄い選手だと思いましたが、ここ10年はさっぱりでした
【回答】2打席までは初球、3打席目は2球目。完全に球種を読み、決め打ちした打ち方でした。バッテリーは、まともに初球ストライクから勝負投してしまいました(⇒初球勝負とは…)
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