「宅地建物取引主任者」(宅建主任者)を「宅地建物取引士」(宅建取引士)へ名称変更することを主な内容とする「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」が6月3日、衆議院本会議で可決された。国会での審議はほとんど行なわれていないが、参議院での審議を経て成立する見通しとなった。
こ日行なわれたマンション管理業協会の総会後の懇親会に来賓として出席した法案提出の立役者、自民党の平口洋・法務大臣政務官は、「名は体を表す。宅建主任者は一般の従業員から独立したベルの高い仕事をしている。『士』としてきちっと責任を果すよう資質の向上も求めた。より一層の消費者保護を図らないといけない」と語った。
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恒例の懇親会の取材をほぼ終え、酒も少し入り、そろそろ退散しようかと思ったときだった。司会者が「国土交通部会…」と国会議員を紹介した。この言葉が記者のうろんな頭を刺激した。宅建主任者の呼称変更のことがピンと来た。すぐ取材モードに切り替え、国会議員の先生方に片っ端からコメントを取ろうと決めた。
議員バッジを確認して最初に聞いたのは佐藤英道・衆院議員と河野義博・参院議員だった。失礼ながらどこの会派のどのような方かは全然知らなかった。公明党の方だった。
佐藤議員は、「応援のコメント。主任者の業務はこれまで以上に複雑、高度化していく。『士』として責任を持って業務に励んでほしい」と語った。側にいた河野議員は「100点満点のコメント」と佐藤議員を褒め、自らは「私は99年だったか、銀行マンのとき宅建資格を取得した元商社マン。全力で応援する。これって200点の回答」と手放しで改正案を支持した。
河野議員に「あの人が詳しい」と紹介されたのが冒頭の平口議員だ。平口議員は「毛利くん(太田国交相の代理として挨拶した毛利信二土地・建設産業局長)らと一緒になって円滑法の法案を作ったんだ」と国交省出身であることを明らかにした。
頂いた名刺の裏に広島事務所が書かれていたので、「先生、広島は自民党の牙城じゃないですか。何期目ですか」と聞いたら、「いや、そうじゃない。2期目だが、2回落ちている。民主党に負けた。選挙は難しい」と話した。
記者はいつものへそ曲がり根性をむき出しにしてさらに突っ込んだ。〝名は体を表す〟という言葉の信憑性が疑問だったので、「先生、先生も相当メタボではないですか」と質問した。「うん、いま80キロ。60キロに落とす」(先生)「先生、それって公約ですか」(記者)「うん、検討する」(先生)と、最後は言葉を濁した。
記者の口車に乗って「80キロの体重を60キロに落とす」などといくら頑張ってもできないことを口走るから民主党に足元をすくわれるのではないかと思った。平口先生には「口は災いの元」の言葉をお贈りしたい。
ついでだが、懇親会には海江田万里・民主党代表も挨拶し、リバースモーゲージについて力説された。これはこれで重要な問題だが、管理協の会場で話すことではない。ピントがずれている。自民党や公明党のようにマンションについてもっと勉強すべき。再浮上はきわめて難しいと見た。平口先生は失言さえ気をつければ当分安泰だろう。
山根弘美・マンション管理業協会理事長にも「士」について聞いたら、山根理事長は「僕は宅建もマンション管理士もビルクリーニング技能士も持っている。管理業務主任者も『士』にしてほしい」と話した。山根理事長は「牧師」の資格も持っている。ヘブライ語を話せるのはこのためだ。
「加速度的に進む2つの高齢化に対応」山根理事長 マンション管理協が総会(2014/6/4)