旭化成ホームズは12月21日、コミュニティ形成型賃貸住宅見学バスツアーを報道陣向けに行った。子育てをテーマにした「母力(BORIKI)」、ペット共生型の「+わん+にゃん」、入居者を女性に限定した「New Safole」で、それぞれコンセプトを明快にし、オーナーと入居者のニーズをマッチングさせているのが特徴。目先の利回りを優先した提案ではなく、中長期的に競争力のある商品企画がいかに大切であるかを再確認させた。
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最初の2物件は三鷹市牟礼と武蔵野市吉祥寺北町の「母力(BORIKI)」。「母力」については、2年前に竣工した「吉祥寺北町」(22戸)の見学会の記事を参照していただきたいが、母親の声を商品企画に生かしたもので、入居者同士が近所づきあいで子育てを共感し、みんなで子どもを見守りあえるよう仕掛けを施したもの。
居室は居室を細かく区切らず、引き戸を開閉することで使い勝手をよくしており、広い中庭を設けることでコミュニティ形成がスムーズに行えるよう工夫を凝らしている。
企画がヒットしたことは、オーナーや入居状況からよく分かる。「吉祥寺北町」の8代目という賃貸オーナー(58)は、代々受け継がれてきた地域の財産ともいうべき巨木を残し、地域のコミュニティ形成も応援したいという願いを実現できたことを次のように話した。
「平成22年に父をなくし、母親一人が住むには広すぎるので、建て替え・土地活用を考えた。ハウスメーカーなどからいろいろ提案を受けたが、銀行を通じて提案された旭化成ホームズのプランが私の心を動かした。敷地内の樹齢100年はありそうなケヤキ2本と松を残す条件にぴったりだった。良好な環境を作るのは私たちの責任だし、30歳代から40歳代の子育て世代に入居してもらうことで地域貢献にもつながる。兄と弟も快諾してくれた」
入居が始まって2年が経過し、ハロウィン、クリスマス会、雪かき、節分、花見、夏まつりなどが入居者の自発的な発案で行われているという。2年間で3戸の退去があったが、一般募集は行わなくてもウェイティングだけで決まったという。
もう一つの三鷹市牟礼の「母力(BORIKI)」(20戸)も同じコンセプトだ。最寄駅からはかなりあり、建ぺい率40%、容積率80%という厳しい制約の中で、敷地約776坪に大きな中庭を囲むように2階建て2棟が建設されている。11月下旬から入居が始まっており、家賃は相場より数千円高めの設定だそうだが、現在、キャンセル住戸が1戸のみ。
このオーナーはアパートや老人ホームなど多くの賃貸物件を所有しているが、同じものは望んでおらず、社会貢献にも関心があったことから、銀行を介した同社の提案を受け入れたという。
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ペットマンションも女性専用マンションも、ペットや女性を理解していないと是非を論じられない。65年間も生きてきて女性が理解できない記者が、ましてや物言わぬ犬猫が理解できるはずがない。
同社の説明ビデオで、若い女性が「この子」「本人」と言っているのを見て、どこに子どもがいるのだろうとパワーポイントの画面を凝視した。犬もネコも生まれた環境に慣れれば、外で飛び回らなくてもネズミを食べなくても平気でむしろ外に出るのを怖がるということを聞いて、なるほどとは思ったが、去勢された犬猫は産みの苦しみも育てる喜びも味わえないのは果たして幸せなのか考えてしまった。
よって「+わん+にゃん」(10戸)、女性専用の「New Safole」(11戸)については深入りしない。そのようなニーズは確実にあり、目先の利回りのことしか頭になく、経年劣化による設備の陳腐化、競争力の低下のことなどあまり考えてこなかった貧弱な賃貸市場の反映だ。
双方とも賃料が相場と比較して若干高めであるのに、入居募集がスムーズに進んでいるのは商品企画がオーナーやユーザーに理解されているということだろう。
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今回見学した3つの商品「母力(BORIKI)」、「+わん+にゃん」、「New Safole」に共通するテーマはコミュニティだ。記者はこの1カ月の間にコミュニティに関する記事4回書いている。マンション管理協の報告会が2回、三井不動産レジデンシャルのイベントとニュースリリースに関することだ。そして今回で5回目だ。
それぞれが全部つながっている。ひょっとすると、来年はコミュニティがより重要なテーマになるかもしれない。
三井不レジ 良好なマンションコミュニティの価値は250万円!? (2014/12/18)
マンション管理協2年間に全4冊1,630枚の研究調査報告書(2014/12/15)
「へーベルメゾン母力むさしの」 コンセプトがズバリ的中、完成前に満室(2012/9/24)