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2016/10/18(火) 00:00

街路樹の伐採中止・保存求める陳情書を採択 千代田区議会 企画総務委員会

投稿者:  牧田司

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千代田区議会 企画総務委員会

 千代田区が計画している街路樹の伐採の中止・保存を求める5件の請願書の取り扱いを千代田区議会から付託された企画総務委員会は10月17日、請願書を採択することを決定、計画の変更、樹木医による街路樹の診断、位置づけを明確にすることなどを議会に報告する。区側もイチョウの伐採を議会や区民に説明してこなかったことに対して「説明不足」「認識不足」であることを認めており、計画が変更されるのが確実となった。

 請願書の取り扱いについての審査は10月3日に次ぐもので、この日は各委員から「基本的な大事なことを議案に盛り込まなかった」「自然が豊かでないと人間も豊かになれない。民主的な手続きがなされなかった。事前に住民に説明すべきだった」「街路樹に込められている地域の思いを軽視した」「区の上位計画で街路樹の保存をうたっている」などとし、保存を求める声が相次いだ。

 これに対して区側は、「安心・安全の道路管理を行わないと管理責任が問われる」(道路管理課長)としながらも、「街路樹が果たす役割、区民の思いに対する認識が不足していた。今後は様々な先進例に学びながらきちんと位置づけしていく」(まちづくり部長)などと答えた。

 最終取りまとめを行った林則行・企画総務委員会委員長は、①神田警察通りの1期工事についてはイチョウの並木を保存するために整備内容を見直しすること②区道の街路樹については安心・安全を基本に樹木医の診断を行い、維持管理に取り組むこと③区道の整備については、専門的見地をふまえ、5,023本ある街路樹のあり方を含め指針等を策定すること④東京都に対し区の方針を反映できるよう要請すること-などを骨子とする議会への報告書をまとめると語った。

 この問題については、今年3月議決された区の自転車通行環境整備第一期工事として業者が共立女子大学と一橋大学施設の間のイチヨウ32本とプラタナス5本を伐採するための枝落としを7月に始めたところ、「切らないで」「かわいそう」「何の説明もなく伐採するのは問題」という声が上がったため工事が中断したままになっている。

 その後、街路樹の伐採の中止・保存を求める5件1,375名の陳情書が区議会に提出されている。共立女子学園出身のブライダルファッションデザイナー・桂由美氏らは〝街路樹は人生の一部〟と陳情書で語っている。

◇       ◆     ◇

 審査は前回と今回を合わせ約9時間に及んだ。結局は住民の請願書がほぼ全面的に認められた格好になった。非常に結構なことだ。〝話せばわかる〟機能は生きていた。

 しかし、考えなければならないことも明らかになった。街路樹をそれぞれの立場の人の都合にあわせ考えることの愚を教えてくれた。

 審査の段階で行政は街路樹を道路施設の付属物という認識しかなく、伐採についてきちんと説明しなかったことが明確になった。議会(議員)の行政チェック機能も問われるべきだし、問題をこじらせたのは住民の関心の薄さにも原因がありそうだ。

 千代田区は2002年に策定した「第三次長期総合計画」で、「街路樹は、根や枝葉の成長に必要な日照などの生育条件が成約された環境にある」「街路樹や緑地の樹木が、生き生きと生育するため、適正に管理していく必要がある」とし、また「風格ある都心景観の形成を推進するためには、歴史的な景観を維持・継承し、あるいはこれを強化・発展させるなど、面的な景観誘導、歴史的資産の保全などを積極的に進めていく必要がある」としている。

 今回の問題を契機に、千代田区が先進的な街路樹の取り組みを行うことを期待したい。

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枝落としされた神田警察通りのイチョウ(右の建物が共立女子大の建物。9月撮影)

千代田区「説明不足だった」 「豊洲」と同じ様相 神田警察通りのイチョウ伐採問題(2016/10/8)

神田警察通りの街路樹は人生の一部」 桂由美氏らが伐採中止求める陳情書(2016/10/3)

またまた「街路樹が泣いている」 千代田区 街路樹伐採で賛否両論(2016/9/8)

 

 

 

 

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