記者のいまの最大の関心事はマンション価格が下がるかどうか、そのカギを握る建設費はこの先どうなるかだ。5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)「じゅうたく小町部会」一周年記念式典の取材の第一のテーマも、建設現場の労働時間短縮、週休2日制の導入は可能か否かだった。
というのも、「こだわり記事」でも書いたが、日建連・中村満義会長は「建設業の長時間労働の是正には週休二日の定着が必要でありますが…建設業としては、この政府の決定を真摯に受け止め、長時間労働の是正に精いっぱい努力してまいります」とコメントしているように、5年間の猶予期間を待たずに労働時間短縮に取り組む姿勢を明らかにした。週休2日は待ったなしだ。
式典でこの問題に積極的に踏み込んだ参加者がいた。熊谷組経営企画本部ダイバーシティ推進室担当副部長・黒嶋敦子氏だ。
パネルディスカッション「これからの建設業女性活躍について」のパネラーとして登壇した黒嶋氏は、ダイバーシティ推進室を昨年スタートさせ、ダイバーシティパトロールの実施、女性用作業服の採用、約100名の女性技術者による交流会の実施、健康経営優良法人「ホワイト500」に初認定されたことなど同社の取り組みを紹介したあと、「建設業は残業が多すぎる。女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすい職場だと思う。みんなで週休2日を実現しよう」と呼び掛けた。
式典後、この問題についてさらに聞いた。「(週休2日を)オリンピックまでに対応するのは難しいが、今年から土木と建設でそれぞれモデル現場の設定を目指している。意識を変えないといけない。日建連からも実現に向けて努力するように言われている」と話した。
同じように週休2日制の導入に前向きな考えを示したのは、特別講演として自らの現場経験を話した鹿島建設・須田久美子氏だ。記者の「週休2日制の導入はその分コストアップ要因にならないか」という質問に「大きなコストアップにつながらないよう工夫してやらないといけない。オリンピック後? いえ、それよりも早く取り組む必要がある」と語った。
しかし、ハウスメーカー側は簡単にイエスと答えられない事情がありそうだ。ネラーとして登壇もした積水ハウス経営企画部ダイバーシティ推進室部長・小谷美樹氏は「業界全体の働き方改革として考え、当社としても課題だととらえています」と明言を避け、式典の進行役を務めた大和ハウス工業人事部ダイバーシティ推進室次長・鳥生由起江氏も「業界全体としてそのような動きにあります」と話すにとどめた。
ビル・マンションなどと戸建てなどでは建設現場での週休2日制の導入には温度差があることが分かった。
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