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2017/06/21(水) 14:02

野村不他「プラウド綱島SST」 次世代スマートタウンにふさわしい高いレベル

投稿者:  牧田司

TsunashimaSST内写真(平成29年3月撮影).jpg
「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」

 野村不動産(事業比率60%)・関電不動産開発(同30%)・パナホーム(同10%)の「プラウド綱島SST」を見学した。極めてレベルの高いマンションだ。坪単価270万円台後半も、街全体の価値を含めれば割安感がある。圧倒的な人気を呼びそうだ。

 物件は、東横線綱島駅から徒歩11分、横浜市港北区綱島東四丁目の37,000㎡超の次世代都市型スマートタウン「Tsunashimaサスティナブル・スマートタウン」(Tsunashima SST)内の一角に建つ10階建て全94戸の規模。専有面積は70.76~85.40㎡、価格は未定だが、坪単価は270万円台の後半になる模様。施工は三井住友建設。入居予定は平成30年3月中旬 。販売開始は7月上旬。

 事業地は、野村不動産が主導する約56,000㎡の「日吉複合開発計画地」に近接するほか、綱島駅前では再開発計画もあるなど街が一変しそうなエリアに位置し、敷地面積37,000㎡超のパナソニックの事業所跡地。持続可能な街の実現に向けて10団体が街づくりに参画。CO2排出量の2005年度比40%削減、新エネルギー利用率30%以上などの先駆的な数値目標を掲げ、新たに設置するタウンマネジメント拠点にはタウンエネルギーセンター、水素活用拠点、国際学生寮を設置する。マンションの1階には小規模保育所も設置される。

 参画する団体のうち東京ガスグループはタウンエネルギーセンターでガスコージェネレーションシステムを導入する。JXエネルギーは水素活用拠点の運営に携わり、燃料電池自動車への水素供給のほか、未来の水素社会に向けた各種取り組みを推進する。慶應義塾大学は国際学生寮を開設。Appleはスマート技術開発施設を、ユニーはスマート商業施設をそれぞれ設置・利用する。

 マンションは、①IOTの活用②快適性と経済性の両立➂高い環境性能④「デリバリーステーション」の導入-など業界初・同社初の取り組みが行われる。地区計画により高さ規制20mから31mに緩和されるのが特徴の一つ。

 敷地は準工だが、南側には倉庫がある以外、戸建てに細分化されており高い建物が建つ可能性は低い。

◇       ◆     ◇

 いろいろな切り口からアプローチできる魅力的なマンションだ。次世代都市型スマートタウンについては省略する。別掲の記事を参照していただきたい。

 強調したいのは、先日も書いたのだが「CASBEE 横浜」の最高等級Sクラスを取得していることだ。延床面積2,000㎡以上は届け出義務、2,000㎡以下は任意となっている条件はあるが、平成21年以降「S」ランクを取得した分譲マンションは、22年度の「プラウド綱島」「プラウド横濱中山」、23年度の「Brillia City横浜磯子」、28年度の「ドレッセWISEたまプラーザ」とこのマンションの5物件しかない。野村不はこのうちの3物件を占める。

 制度については市のホームページで確認していただきたいが、極めて高い価値がある。仮に市で年間3,000戸のマンションが供給され、1棟当たりの規模が50戸とすると、この8年間で供給されたマンションのうちSクラスは1%くらいしかないことになる。野村不などの意欲的な取り組みを評価したい。東京都の「マンション環境性能表示」制度は★の数で評価するものだが、満点の15点(旧制度は12点)は多くはないが、横浜のSよりははるかに多い。

 何度も書いてきたが、環境性能比用事制度はとてもいいと思うが、質の高いマンションが市場で適正に評価されるようインセンティブを与えるべきだ。そうしないと最高を目指すデベロッパーはいなくなる。行政の印籠だけでは購入者も魅力を感じない。

 専有部の快適性の取り組みでは、積極的な大京と同レベルのパッシブデザインの導入のほか、防水仕様で持ち運びができる「プライベート・ビエラ」が面白い。電気機器のリモコン操作ができ、浴槽でプロ野球中継を見ることもできる。電気機器はパナソニック製でないとリモコンが作動しないのは難点。

 便器もパナソニック製「アラウーノ」だったのには少し驚いた。販売担当の植田忠尚氏によると座り心地が良く、洗浄剤をセットするだけで自動的に便器を掃除してくれるものだった。8階以上のプレミアム住戸にはこれまたパナソニック製の「酸素美泡湯」が標準装備。

 費用がかかり重くて大量のCO2を排出するパンフレットをなくした〝ペーパーレス〟の取り組みもいい。来場者に配布される専用のパスワードが記入された名刺大のカードだ。パソコンにパスワードを打ち込むだけでパンフレットに記載されているものと同様の情報を見ることができる。近い将来、これが当たり前になるかもしれない。

 ペーパーレスは三井不動産レジデンシャルも取り組んでおり、「浜離宮」や「豊洲」ではタブレットがパンフレットの代わりに来場者に手渡される。

 オプションだが、ホテルに見られる電動カーテンをマンションでは初めて見た。リビングに設置されるもので、ちょうど居合わせた同業の名物記者Sさんに「これどうですか」と聞いたら「わたし、お金安くてもいらない」と断った。同感だ。寝室の電動カーテンならわかるが、リビングのカーテンくらい手で開け閉めすべきだ(記者はよく開けっ放しにし「外から丸見えじゃないの」とよく怒られたが)。

 告知開始から2カ月で資料請求は1,000件を突破しており、販売担当の植田忠尚氏は手応え十分のようだ。「第1期は60戸程度を予定している。ここが売れなければ東横線の物件はみんな厳しい」と話した。「Tsunashima SST」の道路を挟んだ対面にある2011年分譲の「プラウド綱島」(99戸)は坪単価は200万円で即日完売している。

完成予想パース(南西角より建物を望む).jpg

「Tsunashima SST」CO2排出量を40%削減目標掲げる 野村不など会見(2016/3/28)

長期優良住宅が「CASBEE」で評価されないのはなぜ(2013/6/13)

「CASBEE横浜」のSランクを取得した野村不動産「プラウド綱島」 全99戸一挙販売へ(2011/3/3)

 

 

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