「林マンション リファイニング工事」before-and-after(afterはパース)
三井不動産と青木茂建築工房は10月16日、青木茂建築工房のリファイニング建築手法を活用した、旧耐震の老朽化不動産の再生コンサルティングサービスの第二号案件「林マンション リファイニング工事」の解体現場見学会を行った。関係者など約200名が参加した。
林マンションは昭和41年に建てられた築52年の共同住宅。内外装を一新するとともに、耐震補強をするため耐震改修促進法の認定制度を活用し、確認申請、検査済証を再度取得するリファイニング工事を実施。
見学会で三井不動産レッツ資産活用部・宮田敏雄氏は、「オーナーの方が3年前、当社のセミナーに参加されたのがきっかけ。耐震性に問題があり空き家率は約7割。建て替えると既存建物の半分くらいしか建てられないので、青木氏と連携して今回の手法を採用することになった。工事により戸数は、今のニーズに合わせて40戸から30戸に減らし、賃料については新築の90%に設定。30年の融資も受けられるようにした。ワンストップのソリューションが実現できたのか大きい」と話した。
リファイニング建築は、①躯体以外は全て改修し、内外観ともに新築同等の仕上がり。改修箇所も全て履歴を残す②新築の60~70%の予算③構造上、計画上不要な壁などを撤去し建物を軽くすることで、ブレースを使用しない耐震補強④遵法性の確保。確認申請の再提出、検査済み証の再取得を実施⑤提携金融機関で一定の条件をクリアすれば法定対応年数を超えても融資が可能-などが特徴。
既存建物は、東急大井町線、東急池上線旗の台駅から徒歩10分、都営浅草線馬込駅から徒歩10分、大田区北馬込1丁目に位置する環七通りに面した6階建て延べ床面積約1,049㎡(確認申請当初)。昭和41年竣工の共同住宅兼店舗。既存不適格事項は建築基準法第20条:構造耐力、日影規制、高度地区、容積率。施工は三井不動産リフォームで、2018年3月末に竣工する予定(工期は約8カ月)。竣工後は三井不動産レジデンシャルリースがサブリースを担当する。
見学会では、建築工事として初の中性化対策として実施する亜硫酸リチウム圧入工法も公開された。
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青木茂氏がただ者でないことを知ったのは2013年の「千駄ヶ谷緑苑ハウス」の解体工事見学会だった。約300名もの見学者が詰めかけ驚嘆した。以来、見学会、講演などで10回くらいはお会いしているだろうか。その都度記事にしているので、「青木茂」と「RBA」で検索していただければ記事は10数本ヒットするはずだ。
建築のことはさっぱりわからないが、リファイニングはリフォームやリノベーションとはまったく次元が異なる、信じられない建築物の再生手法だ。はなはだ失礼だが、青木氏に「建築の魔術師」というあだ名をつけた。
今回の見学会では、1フロアに326本の亜硫酸リチウムを圧入する工事を見てあっけにとられた。工事関係者によると「コンクリートの強度を高めるのではなく、鉄筋の腐食を防ぐ効果がある」工法とのことだ。人間でいえば老化を防ぐ点滴か(内外装、間取りなども一新するから、全体として老いさらばえたおばあちゃんを20歳はともかく30歳くらいに若返りさせるのがリファイニングだ)。
仕事が殺到しているようで、青木氏は「スタッフが足りないのでぜひ応募してください」と茶目っ気も見せた。
三井不動産&青木茂建築工房 練馬区のリファイニング見学会に200名(2017/2/27)