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2018/06/26(火) 09:59

商品企画、販売手法見直して激変市場を乗り切れ トータルブレイン・久光龍彦氏

投稿者:  牧田司

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久光氏 

 6月1日の誕生日で78歳となり、起業して19年を迎えたマンション業界の重鎮、トータルブレイン・久光龍彦氏に最近のマンション市場を取り巻く環境、今後の課題などについて話を聞いた。以下、その概略。

◇       ◆     ◇

①郊外は土地値も下がりマンション売値も下がる

 郊外マンションは値下がりする。坪220~230万円⇒坪170~180万円。大手は資金回収に走り、これによる周辺への影響あり。全体として値下げして売れるようになるから、供給は増える

  1)中小デベロッパーは売れにくくなる。値下げする・原資がない

  2)リノベ中古マンションが売れなくなる

  3)戸建ても価格差がなくなり売れなくなる

②建築費がさらに上がる⇒安い建設会社を探すことが、好立地物件を探すのと同じくらい重要

  1)職人のコストアップ(社会保険・土日休みによる日給アップ)

  2)資材が上がる

  3)ゼネコンは益々強気(仕事は当分の間いくらでもある)

  4)比較的マンション施工専業ゼネコンは安い

③消費税の影響が今年の秋から強く出てくる

 販売は消費税トーク一辺倒になる。

 売値の影響度 4500万円/戸として60万円前後 3500万円/戸として45万円前後

④田の字の商品企画は売れない

 商品企画の考えが変わる。今までのようにローコスト一辺倒(田の字プラン)から、コストアップしてもワイドスパンを中心に商品の質で勝負。

  1)好立地(5~8分以内)

  2)宅配ロッカーの採用

⑤今までの値付けソフトは通用しない。工夫が必要

  1)上下階格差

  2)方位の格差

  3)角部屋の付加価値とは

  4)ルーフバルコニーの付加価値とは

  5)売りにくいところから先に売っていく

⑥今年は販売手法が変る

  1)シングル在庫がなかなか売れない

  2)従来ユニットごとに付加価値と考えられたことが評価されなくなってきている

  3)モデルルームの設営にあたり専門家を入れて(経費をかけて)ディスプレイする

  4)プレミア住戸仕様と売り方の工夫

⑦今年も狙うべきターゲットは元気印

  1)パワーカップル

   共働き夫婦 年収1400万円以上25万世帯

  2)アッパーサラリーマン

  3)男女シングル

  4)アクティブシニア

  5)富裕層

⑧土地探しの絶対外せないポイント(沿線力・駅力・駅近・需給バランス)

  1)実需にも仮需にも共通する立地

  2)料理の切り口がたくさんある立地

  3)土地の値下がりが少ないと思われる立地

  4)建物比率が高いといずれ償却される、土地代が上がらないキャピタルロスが出る土地   はダメ

⑨プロジェクトと資金の融資が厳しくなる

  1)完成までに80%売れていないと次のプロジェクト資金が出ない

  2)掛け目がきつくなっている

  3)審査に時間がかかる

⑩住宅ローンの審査が厳しくなる

  1)銀行は商売としてもうからない

  2)アメリカ・欧州の金利アップに影響される

⑪JV事業は慎重に

 市場の先行きが不透明になってくると、JV事業は厳しい取り組みとなる。今後しばらくは自らの意思・方針で事業進出できる単独事業が一番

⑫働き方改革への対応課題

 特に販売訪問や開発部門にとって難解なテーマとなる

◇       ◆     ◇

 久光氏をご存じない業界の方は〝モグリ〟。ご存じない方がいらっしゃったら、記者の過去の記事を読んでいただきたい。

 記者は話されたすべてに賛意・同意を示すわけではない。とくに駅近などの好立地物件の取得に注力すべき点については、分からないではないが、そのような土地は競争も激しく、結果、高価格となり、資金力が潤沢な大手が独占することになる。記者は中小も応援したいから、多少立地が劣っても商品企画次第で売れると確信している。

 また、設備仕様はかなり落ちてきているのは事実だが、マンション価格もそれほど下がらないと思う。最低で坪180万円ではないか。これ以上下げたら間違いなく劣悪な物件になる。

 それでも、久光氏の指摘は鋭い。従来の値付けソフトが通用しなくなり、販売手法も変えないといけないという意見はその通りだと思う。ユーザーのニーズは多様化・個別化しており、それに応える商品企画にしないといけない。いまだに田の字プランを中心に据えているデベロッパーが理解できない。

健康の秘訣は趣味と同じ

9時には布団に〝モグリ〟込む

 久光氏の趣味はスキューバダイビング(平たく言えば〝モグリ〟)で、その経歴といえばマンションの仕入れから-商品企画-建設-販売-管理まで経営トップを務めた、それこそ川上から川下まで知悉しているという意味では、業界広しと言えども久光氏以外なく、さらにまた、あの12年前のスマトラ沖地震では普段は自分一人でプーケット沖にモグリに行くのに、その日だけはたまたま奥さんが同船したために津波に飲み込まれることなく、財布も含め全て海の藻屑になったにもかかわらず、安っぽいビーチサンダル履きで生還できたという数奇な経験の持ち主という意味で、久光氏を知らない業界人は〝モグリ〟とこれまで書いた。

 その久光氏に長生き、健康の秘訣を聞いたら、やっぱり〝モグリ〟だった。久光氏は次のように語った。

 「デベロッパーの事業をやらなかったのは正解だった。今頃はとっくに消えていた。健康の秘訣? 早寝早起きに限る。会食の開始時間は5時か5時半。7時から7時30分には終える。家に帰って寝るのは8時から8時半。

 起きるのは4時45分。それから新聞を読んで、会社に出るのは6時40分。これだと1日が2日分になる。30分が1時間に相当する」

 つまり、久光氏は8時30分から9時には布団に〝モグリ〟込むということだ。なるほど。

「お蔵入りしたコンバスが亡霊のようによみがえった」 トータルブレイン久光社長(2017/6/7)

「デフレ脱却絶望的。郊外マンション価格は下がらない」トータルブレイン・久光社長(2017/5/30)

 

 

 

 

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