先月(7月14日)、スターツの流山おおたかの森駅前のスターツの「クオン流山おおたかの森」全162戸がわずか半年で完売したことを紹介したが、同じ駅圏の東武鉄道(事業比率60%)・清水総合開発(同40%)「ソライエ流山おおたかの森」も大健闘している。モデルルームのオープンは、「クオン」とほぼ同じ昨年9月で、これまで全352戸のうち半分以上の185戸が供給済みだ。
物件は、東武アーバンパークライン・つくばエクスプレス流山おおたかの森駅から徒歩4分、流山市流山都市計画事業新市街地地区一体型特定土地区画整理事業区域内に位置する10階建て全352戸。専有面積は60.41~90.07㎡、7月下旬分譲予定の第2期の予定価格は2,900万円台~4,400万円台(最多価格帯4,200万円台)。坪単価は190万円。竣工予定は2019年6月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト、東武不動産。
販売担当の長谷工アーベスト東京支社受託販売部門販売五部販売部長・黒須祐亮氏は「販売開始は『クオン』と同じころ。販促に『MADE OF MOTHER』と謡ったように、全国の女性5,000人の声を共用部分に反映させたのが特徴。広域からも集客できており、『クオン』と競合したという側面より相乗効果のほうが大きい。90㎡台の40戸がすべて完売した。千葉県内の郊外型ではもっとも売れているマンションではないか」と話している。
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記者が「クオン」を取材したのは昨年11月。ほぼ同じ場所に「ソライエ」の販売事務所があったのだが、〝クオンが210万円で分譲するのでは、他の物件は影響を受けるだろう〟としか考えず、見学する気にもならなかった。
沿線には隣駅の「流山セントラルパーク」では三井不動産レジデンシャルの、「三郷中央」では名鉄不動産や大成有楽不動産の、「八潮」では住友不動産のそれぞれ大規模マンションが分譲中で、またさらに先の「柏たなか」でもフージャースコーポレーションや東レ建設のマンションが分譲されていた。大激戦の沿線だ。
しかし、その「クオン」がまさか半年で完売するとは予想しなかったし、「ソライエ」がこれほど売れているともとても想像できなかった。
そして何より今回、記者を引きつけ、見学する気にさせたのは、電車の車内吊り広告だった。それは、「おおたかジェンヌ」の文字がピンク色でかわいらしくあしらわれたもので、次のような文言・コピーだった。
「5,000人の声を集めた女性の街で輝く。おおたかジェンヌ。『流山おおたかの森』を愛するすべての女性に贈りたい。〝わたし〟が輝く全352邸誕生」と。
そこで早速、取材見学を申し込んだのだが、もう一つ見学する理由があった。それは、野村不動産と長谷工コーポレーションが女性の視点で暮らしを楽しくする商品企画「OSEKKAI(おせっかい)」プロジェクトを共同で開始し、第一弾として「プラウドシティ東雲キャナルマークス」へ導入すると発表したリリースに興味がひかれ、それとどう違うのかを確認したかったからだ。女性の声をマンションの商品企画に取り込むのは永遠の課題でもある。
「ソライエ」の販売スピードが速いことから判断して、「5,000人の女性の声」は大きな効果があったと受け止めることができる。モデルルームの出来もいい。
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これは、「OSEKKAI(おせっかい)」プロジェクトにも、そして全てのデベロッパーにも言えることだが、「女性の声」が強調されればされるほど、記者などは滅入ってしまう。いかに女性が政治的に経済的に社会的に冷遇され、家庭においても様々な犠牲を強いられているかはよくわかる。あろうことか、大学入でも女性に不利な採点操作が行われている現実を突きつけられると、もう絶望の淵に叩き落とされたような気分にさせられ、国が発した「女性活躍」なるフレーズは詐術そのものであることを世間にさらけ出したことを当事者は自覚したのか、肝心の女性に不評だったためか、いつの間にやら「一億総活躍」に〝模様替え〟されたようだ。
だが、しかし、国の狙いはともかく、本来、女性も男性も大人も子どもも健常者も障がい者も区別なく住みやすいユニバーサルデザインの社会・住宅づくりを進める役割を担っているはずだ。
もうそろそろ、「女性の声」を超越・凌駕する、天と地をひっくり返す、世の閉塞感を一掃する斬新なアイデアを発信していいのではないか。最近のマンションは面積圧縮だけでなく基本性能、設備仕様でも退行する一方に見えてならない。