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2018/07/29(日) 16:29

わが国初の大京NearlyZEHマンション 坪単価は東急「芦屋」の3分の1

投稿者:  牧田司

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「ライオンズ芦屋グランフォート」完成予想図

 国土交通省の「平成29年度(第1回)サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に選定された大京の「ライオンズ芦屋グランフォート」を見学した。1次エネルギー消費量を75%以上削減したわが国初の「NearlyZEH-M(ニアリーゼッチマンション)」で、電気・ガス・水道などのライフラインが途絶しても7日間以上生活でき、生物多様性に配慮するとともに自然のエネルギーを専有部に巧みに取り込むパッシブデザインを採用しているのが特徴で、CASBEE-建築(新築)最高位Sランクの評価も得ている。

 物件は、阪急神戸線芦屋川駅から徒歩17分、JR芦屋駅から徒歩19分、芦屋市朝日ケ丘町に位置する地下1階、地上5階建て全79戸。専有面積は67.96~87.27㎡、現在分譲中の住戸(5戸)の価格は4,460万~5,930万円。坪単価は225万円。設計は浅井謙建築研究所。施工は佐藤工業。竣工予定は2019年5月31日。

 「NearlyZEH-M(Nearly Zero Energy Mansion)」は、経済産業省の「集合住宅におけるZEHロードマップ検討委員会」が策定した省エネと創エネにより基準1次エネルギー消費量を75%以上削減した集合住宅のことで、今回の物件では断熱・省エネ性能を高め、アルゴンガス入りLow-E複層ガラスの高性能アルミ樹脂複合サッシと次世代燃料電池(エネファーム)を導入するなどして全戸平均32%の省エネと、太陽光発電により全戸平均48%の創エネも実現。これらの省エネ+創エネにより1次エネルギー消費量を約80%削減している。

 また、同社は2017年のグッドデザイン賞を受賞した「SONA-L SYSTEM」を採用し、災害時に「電気」「水」「ガス」全てのライフラインが途絶しても7日間以上電力を供給し、生活を持続することが可能とするとともに、平常時の共用部の電力使用や、井戸水の植栽自動灌水システム・共用部散水に利用する。

 生物多様性・パッシブデザインについては、敷地内緑地率を20%確保し、樹種は在来種を100%使用するとともに、六甲山地に生息する野鳥やチョウの飛来を想定した「実のなる植物」を植樹、「バードバス」「エコスタック」「巣箱」を設置し、再生材を使用した木チップや瓦チップの歩道、透水性インターロッキング舗装、風の流れを効果的に取り入れる独自のパッシブデザインを全戸に採用している。また、宅配物の再配達ゼロを目指し、世帯カバー率120%を実現した住戸専用宅配ボックス「ライオンズマイボックス」を導入している。

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モデルルーム エントランス

◇       ◆     ◇

 ZEHマンションについては今年1月、積水ハウスが分譲中の名古屋市の「グランドメゾン覚王山菊坂町」を見学しているが、このマンションもコンセプトは最高にいい。

 一次エネルギーを約80%削減できるのもさることながら、万が一の災害時でも、飲料水は確保しなければならないが、7日以上生活できるという。このようなマンションはまずほかにないはずだ。パッシブデザインもまた同社がこれまで力を入れてきたものだ。

 ただ一つ気になったのがアクセスだ。「芦屋」というだけで庶民のあこがれの的かもしれないが、記者の貧乏人の妬みひがみかもしれないが、個人的な見解ではお金持ちしか住めない特殊なエリアに思えてならない。

 坂だ。現地の標高は50~60mくらいだろう。芦屋駅との比高差も40~50mはある。徒歩の表示は17分だが、坂を上ったり下りたりするだけで記者のような年寄りは疲れ切ってしまう。電動付き自転車でないと移動は無理だ。この坂をどう評価するか。

 同じ日に、「芦屋」の坂の入口・出口に位置する東急不動産の駅から10分の「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」を見学したが、坪単価は関西圏過去最高の610万円だった。大京のマンションは徒歩にして7分の差なのに、単価は約3分の1だ。もちろん設備仕様、ターゲットは異なるが、これは何を物語るのか。考えてしまった。

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建築現場 

首都圏の億ションに負けない 関西最高峰の坪610万円 東急不「芦屋」(2018/7/23)

積水ハウス わが国初全戸ZEH対応「グランドメゾン覚王山菊坂町」(2018/1/10)

 

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