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2018/09/23(日) 18:23

緑の質量に圧倒 エントランスに樹齢100年巨木「江古田の杜」街びらきに千数百人

投稿者:  牧田司

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街びらきテープカット(左から総合東京病院・渡邊貞義氏、横山副区長、子どもたち、田中氏、積水ハウス東日本建築事業本部本部長・篠崎浩士氏)

 総合東京病院、積水ハウス、都市再生機構が連携して開発を進めている住宅、医療、保育施設などからなる約3.9haの「江古田の杜プロジェクト」の街びらきが9月23日、行われた。総合東京病院が主催する「江古田のまつり」と合わせ同時開催されたもので、子育て世代から高齢者、障がい者まて〝新しい街づくりのモデルになる〟コンセプトにふさわしい多様な千数百人の人々が集まり、終日にぎわった。

 街びらきイベントに出席した中野区・横山克人副区長は、「このプロジェクトは区が10年以上前から取り組んでいるもので、本来は酒井直人区長が出席すべきですが、本日は、棟方志功にゆかりのある自治体の関係者が集う『棟方志功サミット』が富山県で行われており、区長は公務でそちらに出張していますので、わたしが代わりご挨拶させていただきます。棟方志功は昭和の初期、江古田の近く大和町に約10年住み、江古田の里山や緑をたくさんスケッチしたとても縁の深いところです。区は子育て先進国として、この『江古田の杜』を位置づけ〝新しい街づくりのモデル〟になるよう取り組んでおります」と述べた。

 平成20年に国家公務員宿舎跡地約4.4haを国から取得し、プロジェクトを主導してきた都市再生機構東日本都市再生本部本部長・田中伸和氏は、「多世代・子育て、防災、緑、健康・スポーツという4つのテーマを設定し、総合東京病院さんと積水ハウスの協力を得て協議会を立ち上げ整備してきました。今後は、管理組合や積水さんを中心とする新たなステージを担うリブインラボ協議会にバトンタッチしますが、立派な街づくりを行っていただきたい」と語った。

 公園にシートを敷き子どもと食事をしていた40歳代の女性は、「近所に住んでいます。子どもは3人。専業? いえ、働いたりそうでなかったり。ここはいいわよ。学校も公園も病院も近いから。ちょっと駅まで遠いけど。わたし? 中野までは自転車、新江古田駅を利用するときは歩きます」と話した。

 別の30代の夫婦は、「マンション? もうちょっと安くてもいいのでは(坪単価300万円弱)。この環境に価値があると思う人にはいいかも」とイベントに急いだ。

 プロジェクトは、積水ハウスの531戸の分譲マンション「グランドメゾン江古田の杜」(A街区、施工:長谷工コーポレーション)、総合東京病院B棟(B街区、施工:熊谷組)、積水ハウスの子育て世帯向け賃貸263戸、サ高住121戸、学生向けマンション85戸、医療従事者向けマンション56戸、介護付き有料老人ホーム94室などからなる「プライムメゾン江古田の森」(施工:積水ハウス)の3街区で構成。認可保育所や学童クラブも誘致予定。

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植樹祭

◇       ◆     ◇

 積水ハウスの「5本の樹計画」はたくさん見学しており、マンションは「東京テラス」「玉川上水」「杉並」「伊勢山」「狛江」などの植栽に圧倒されたのを思い出す。

 今回の「江古田」も一部は見学しているが、完成した街を歩いて、緑の質と量に言葉を失った。

 最初に目に飛びこんできたのは、「グランドメゾン江古田の杜」の900㎡もあるエントランスに植えられているユリノキの巨木だった。メジャーを借りて計ったら胴回りは約3.14m、つまり直径約1mあった。樹齢は100年超と推測した。しかし、ちょっと待てよ、ユリノキは外来種ではないか。同社の「里山」は在来種で構成されているのでは? 

 その謎はすぐ解けた。メインストリートの街路樹はハナミズキだ。明治45年、わが国がアメリカにサクラを贈ったお礼としてハナミズキがアメリカからもたらされ、江古田の森に植えられたと横山副区長が説明した。記念の植樹もハナミズキだった。

 なるほど。ユリノキもまたハナミズキと一緒に輸入されたのだと確信した。明治45年に植えられたとすれば、樹齢100年超は符合するではないか。その巨木をマンションのエントランスに移植する-これが積水だ。

 江古田の森公園の前身、東京市療養所(後の国立療養所中野病院)が設けられたのは1919年5月とある。約100年前だ。公園内にはヒマラヤスギの大木がたくさんある。これらは全てアメリカから贈られたものに違いない。

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エントランスのユリノキ

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計測した胴回り

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エントランス

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マンションの外周グリーンベルト(幅は13mくらいか)

◇       ◆     ◇

 同社のサ高住+子育て支援住宅は「古河庭園」を見学しているが、今回は今春竣工した「グランドマスト勝どき」(サ高住62戸+子育て支援住宅44戸)についで3棟目だそうだ。

 バルコニーの外にすぐ「杜」が展開するのに驚いたが、62㎡のサ高住のトイレは幅102cm×182cmもあった。同業の100キロの巨漢記者は「おお、俺でも楽に入れる」と歓声をあげた。普通のマンションもこれくらいの広さがあっていい。谷崎潤一郎はエッセー「厠のいろいろ」で、投げ出したくなるような〝蘊蓄〟を披瀝しているが、デベロッパーはもっとトイレの商品企画に力をいれるべきだ。

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サ高住の居室とトイレ

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 ニチイの介護付き有料老人ホーム「ニチイホーム江古田の杜」も見学した。この種の施設は、特養に体験宿泊もし、オリックスや東急不動産の富裕層向けなどを見ているが、ニチイの施設は全体的にレベルが高いという印象を受けた。食器類も立派なものが使われており、ある〝食〟が売りの施設とは雲泥の差だった。同社は約30年の実績があり、今回で74棟目というのも納得だ。

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「ニチイホーム江古田の杜」エントランスホール(左)と食事メニュー例

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サニーテーブルの無料サービスに長蛇の列

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