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2018/11/05(月) 23:54

週刊住宅も住宅新報も〝中身なし〟 選手村「HARUMI FLAG」の記事に失望

投稿者:  牧田司

 先週の10月31日に発表があった2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村になる「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業」のタウンネーム「HARUMI FLAG」を業界専門紙がどのように伝えているか興味深く読んだが、収穫はゼロだった。それより失望のほうが大きかった。

 11月5日付「週刊住宅」は、ほぼ1面を割いてトップで報じた。もっとも興味がある価格については、「『(分譲は)4,000戸を超える大量供給となるため、販売は数期に分けることになるだろう。市場を攪乱しないよう価格設定する』(三井不動産レジデンシャル)と、周辺相場並みの価格設定を示唆する」としている。

 この「市場を攪乱しない価格設定」とはどう意味か、その価格がどうして「周辺相場並みの価格設定」につながるのか、同紙は全く説明していない。意味不明だ。百歩譲って言わんとすることを補足すれば、仕入れ土地がただ同然の一種8万円からして、市場価格より格安で分譲することも可能だが、そのような価格で分譲したら「市場を攪乱する」ことにもつながりかねないので、「周辺相場を考慮して高くもなく安くもない値段にする」ということだ。(一種8万円は記者の推定)

 つまり、周辺で分譲している当事者のマンション販売に影響を与えないよう配慮するということだ。

 やはり専門紙として、土地の仕入れ価格に触れるべきだったし、果たしてレガシーマンションが「周辺相場並み」のただ戸数が多いマンションでいいのかどうかも書くべきだった。肝心のユーザー視点も欠落している。

 そもそも、〝陸の孤島〟のこのエリアに相場などない。あるとすれば、9年前に分譲された「ザ・晴海レジテンス」と「晴海テラス」だ。ともに圧倒的な人気を呼んだ。坪単価は220万円しなかった。〝ない相場〟を創意工夫をこらし創るのがデベロッパーだ。「相場並み」で分譲して売れるのなら世話はない。

 この問題については、ある一般紙が「坪単価は270~280万円の声もある」と書いているが、これもまた何の検証、裏付けも取らないで伝えているに過ぎない。書いた記者自身がどう思うかを書くべきだ。影響度を考えるとその罪は大きい。

 11月6日付「住宅新報」は、5段見出しで、過不足なく伝えてはいるが、発表から土曜・日曜は挟んでいるが5日遅れの記事にしては独自の視点による記事ではなく、発表内容をトレースしただけの内容だ。記事量としては、11月2日に大京が発表した「ザ・レジデンス金沢」のマンションの即日完売記事と大差ないどころか、「選手村」の完成予想図より「金沢」の建設現場の写真のほうが大きく掲載されている。

 不動産流通研究所の「R.E.poot」はどうか。このWebは日々生起する、あるいは住宅・不動産会社が発表するニュース・リリースをそのまま紹介することに重点を置いており、評論記事などはほとんどないの論評は期待していなかったが、それでも週刊住宅や住宅新報より要領よく概要をまとめていると思った。

 記者はどうかというと、情けないかな「聞きたいこと(知りたいこと、伝えたいこと)は不明」「記者が馬鹿だった」という見出しの記事を書かざるを得なかった。完敗。

 恥ずかしいことだが、そもそも東京都と組織委員会が全費用を負担するスケルトン「仮使用」などまったく想定していなかった。天井高は2500ミリになりそうなのにも、内装も最低レベルになりそうなのに失望した(解体費用を含めて1戸当たり1,000万円という価格が妥当かどうかは現段階でわからない)。購入者は、その住戸にどのような選手が一時使用したのか知らされないのは不幸だし…購入申し込み予定した住戸がどのように「仮使用」されたのか知る権利はないのか…不正利用されたら解約できる特約はないのか…。スケルトン賃貸だから、レガシーの痕跡は全く残さないと見た。

聞きたいことは不明 オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲(2018/10/31)

記者が馬鹿だった…選手村はスケルトンで都と組織委が賃借し、解体費を含め全額負担(2018/11/1)

「ザ・晴海レジデンス」に続き圧倒的人気 コスモスイニシア「晴海テラス」(2009/9/11)

 

 

 

 

 

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