昨日(6月5日)、全国住宅産業協会(全住協)の新会長に東海住宅産業協会理事長で内田橋住宅社長の馬場研治氏が就任し、18年間会長を務めた日神不動産会長兼最高経営責任者・神山和郎氏は名誉会長に就任したことを業界紙が報じた。
記者は訳あって十数年前に同協会とは縁を切った(正確には同協会事務局と)のだが、神山氏の次の会長は誰が就任するのだろうという関心はあった。同協会の会長は創業社長が就任するという不文律があった(と思い込んでいるだけかもしれないが)からだ。思い当たる人は何人かいたが、そうではなく、また東京以外の会社の社長が就任したのにやや驚いた。
しかし、これも時代の流れか。名古屋市が本拠の内田橋住宅の創業は昭和10年というではないか。三井不動産の創業は同16年(越後屋の創業は1673年)だからそれより長い。そして、東海圏の会社社長が同協会のトップに就任するのが何よりも嬉しい。
不動産流通研究所のWeb「R.E.port」に掲載された馬場氏と神山氏の挨拶文を以下に引用する。
馬場氏は「住宅や住生活サービス面で何をどう取り組んでいくかが大きな課題となっている。われわれの主要なターゲットは多様な庶民。首都圏と地域経済とのバランスを図りながら、社会の隅々まで光が当たるような協会活動、政策提言に全力を傾け取り組んでいきたい」と語った。
神山氏は、「理事長・会長を拝命して18年間、皆さまのご指導、ご協力により無事務め上げることができた」「組織は常に代替わりをして新しい血を入れていかないと長続きしない。令和の幕開けに、世代交代して新しい体制を発足することができた」と話した。
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同協会には少なからぬ縁があるので少し追加する。
小生は、同協会の前身、住宅産業開発協会(住産協)を立ち上げ、初代会長に就任した大京創業者の故・横山修二氏が活躍されていた頃からずっと取材を続けてきた。マンションのイロハを教わったのが大京であり、中堅デベロッパーを応援したい気持ちがあったからだ。
同協会のもう一つの前身、日本ハウスビルダー協会の会長を務めていた木下工務店の創業者で社長だった故・木下長志氏にも懇意にしていただいており、大手デベロッパーが中心の不動産協会や、マンションデベロッパーの団体だった日本高層住宅協会(後に不動産協会と統合)に負けない団体に成長することを願っていた。
実際、少なくともバブルが崩壊するまでは、マンションも分譲戸建ても〝中堅〟が主役だった。マンションは大京やダイア建設などの会員会社が市場の半分くらいを占めていたはずだ。当時の大京は首都圏だけでも年間1万戸くらい供給していた。分譲戸建て市場でも木下工務店、細田工務店、六建建設などが市場をリードしていた。
その後の経緯については省略する。同協会が住宅・不動産業界で存在感を示す団体になってほしい。
参考までに、横山氏と木下氏の追悼記事を添付する。