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2019/11/06(水) 00:21

わずか7年間でオフィス面積と肩並べる360万㎡開発 三井不のロジスティクス事業

投稿者:  牧田司

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「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅱ」

 三井不動産は11月5日、ロジスティクス事業説明会を開き、2012年4月の事業参入から開発案件は計画中も含め40物件、総床面積は同社のオフィス事業と同じ約360万㎡にのぼり、累計総投資額は約5,700億円に達すると発表した。

 計画総延べ床面積が約70万㎡という「街づくり型ロジスティクスパーク」の旗艦施設「MFLP船橋」では、第Ⅱ期計画「MFLP 船橋Ⅱ」と付帯施設の「MFLP 船橋・&GATE」が2019年10月に竣工。「MFLP 船橋Ⅱ」は免震構造を採用。第一弾の「MFLP 船橋Ⅰ」と外観デザインの統一を図り、72時間の非常用発電設備を備えたほか、施設従業員の満足度向上施策としてラウンジ、スカイデッキ倉庫内全館空調、セキュリティゲート、顔認証システムを採用するなどBCP設備を充実させた。最上階はオフィスフロアにする。

 「MFLP 船橋・&GATE」にはカフェテリア、シャワー・更衣室を完備したフィットネスルーム、保育施設(企業主導型)、オープンオフィススペース、レストルーム、トランクルーム・ワイン倉庫機能を備えたストレージサービスなどの機能を整備。入荷から出荷まですべての物流業務フローを自動化した「フルオートメーション物流モデル」を展示する物流ICTショールームも併設する。

 「MFLP 船橋Ⅱ」のテナントは8割が決まっており好調なことから、延床面積約268,400㎡の第Ⅲ期計画「MFLP 船橋Ⅲ」を前倒しで開発に着手。「MFLP 船橋Ⅲ」と2021年6月の同時竣工を予定している約20,000㎡の「緑地 空間」には、国際レベルの60m×30mのスケートリンクを併設する。

 今回、新たに発表したロジスティクスパーク(MFLP)は「八千代勝田台」「鳥栖」「所沢」「大阪交野」「海老名」の5物件。タイで地元デベロッパーと共同で開発を進めている海外事業第一弾となる案件は2物件合計で敷地面積は約54万㎡、総延べ床面積は約25万㎡、総投資額は約185億円(同社は約半額)となる。2020年に開業する。

 記者説明会に臨んだ同社常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏は、事業が順調に伸長していることを受け「『MFLP船橋』は日本一、世界初、これ以上のものはない」とアピールし、「国や各社とも連携を図り、知恵を出し合い、物流から自動運転にトライしていく」などと自動運転にも言及、意欲を見せた。

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三木氏

◇       ◆     ◇

 三木氏は記者説明会で「わたしの話より気合いを入れてつくったムービーを見ていただきたい」とムービーを紹介した場面もあったが、ほとんど約1時間を事業説明と質疑応答に割いた。この間、大成功に終わったラグビーW杯日本大会を意識したわけではないだろうが、〝日本一〟〝世界一〟〝トライ〟などを連発した。ロジスティクスには疎い記者も引き込まれてしまった。

 そして何より驚いたのは、2012年に事業に参入してから開発案件の合計延べ床面積は同社のオフィス面積とほぼ同じ360万㎡に上ると説明したことだ。

 同社の「霞が関ビル」が竣工したのは1968年だ。それから50年以上かけて実績を積み上げてきたオフィスの延べ床面積と同じ規模をわずか7年で肩を並べるまでに成長させるとは…もう絶句するほかなかった。

 三木氏は急速に事業を拡大できた要因として、入札には参加せず相対取引に徹してきたことを上げた。上場会社だけで40社近くある既存ロジスティクス事業者は何をしているのだろうという疑問も新たに沸いた。

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「MFLP船橋」計画図

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セキュリティゲート付きエントランス

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「MFLP 船橋・&GATE」

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カフェテリア

◇       ◆     ◇

 三木氏の話を聞きながら考えたことがある。建ぺい率、容積率だ。配布された資料に記載されている新規プロジェクトのうち「船橋Ⅱ」「船橋Ⅲ」の容積率は400%と思われるが、それ以外の5物件はすべて200%のはずだ。用途地域は分からないが、おそらくすべて準工業地域のはずで、建ぺい率は60%、容積率は200%ではないかと思われる。

 これを緩和してはどうかということだ。もちろん闇雲に規制を緩和するのは問題だろうが、立地条件や計画によってはオフィス、その他の用途利用は十分考えられる。同社の「インダストリアルパーク羽田」のオフィスフロアの天井高は実に5mもあった。

 建ぺい率、容積率を緩和すれば、その分地価を押し上げることにもなるのだろうが、賃料を引き下げることにもつながるはずだ。準工での〝住工共存〟〝複合タウン〟もいいのではないかと考えるようになってきた。オフィスやスケートリンクを誘致する同社の〝街づくり型〟ロジステックス事業は倉庫=嫌悪施設という記者の既成概念を根底から覆す。

 東京都の場合、準工地域の建ぺい率、容積率はそれぞれ原則として60%、200%としているが、土地の利用状況や都市型工業などの育成を図るべき区域は建ぺい率、容積率は最大それぞれ80%、500%にすることができるとしている。

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オープンオフィススペース

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