東京建物(事業比率80%)と日本土地建物(同20%)が11月下旬から12月上旬にかけて分譲する「Brillia(ブリリア)上野Garden」を見学した。2014年以降、都内で分譲されたマンションのうち山手線5分圏内は45棟(3.04%)しかなく、しかもメジャー7の物件は15棟(1.01%)という希少性と、商業エリアながら地区計画により将来にわたって繁華街のような街にならない可能性も高いこと、さらに分譲単価もリーズナブルなものに設定される模様で、人気になるのは必至だ。
物件は、JR山手線上野駅から徒歩5分(東京メトロ銀座線稲荷町駅から徒歩3分)、台東区東上野5丁目の商業地域に位置する19階建て98戸(うち非分譲住戸21戸)。専有面積は33.33~106.63㎡、価格は未定。引渡し予定は2021年10月下旬。設計は安宅設計。デザイン監修は野生司環境設計。施工は三井住友建設。販売開始は2019年11月下旬。
現地は商業地域だが、嫌悪施設などはほとんど無く、マンションやビル、ホテルなどが建ち並ぶ一角。今年3月に決定された地区計画でも住環境の維持向上を図るエリアに指定されていることから、繁華街のような〝何でもあり〟の街にはならない可能性が高い。
敷地は3方角地で、建物はほぼ正方形。内廊下方式を採用。1階に地域住民に開かれたシェアラウンジが設置され、住戸は2階から。標準階1フロア5~6戸。分譲77戸のうち南向きが46戸、角住戸は58戸。
主な基本性能。設備仕様は、二重床・二重天井、リビング居室の最高天井高2,480~2,500mm、フィオレストーン天板、食洗機など。
東京建物住宅営業第一部課長代理で販売副所長の棚田修啓氏は、「7月から資料請求受付を開始し、想定以上の1,500件を突破。10月5日から開催している案内会参加者も250件超に達し、土日祝日は連日満席。地元台東区を中心に近隣区からの関心も高いが、JR上野駅の交通利便性から広域からの関心も高い」と話している。
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東京建物のマンションが好調だ。まず、同社のマンションの業績から。2019年12月期第3四半期決算によると、計上戸数は1,053戸となり期初予想の1,000戸を上回り、完成在庫はわずか83戸(うち17戸は契約済み)しかない。
同業では、三井不動産の2019年3月期第3四半期決算は計上予定3,400戸の進捗率は94%(前年同期は90%)で、完成在庫は162戸(同106戸)しかなく、東京建物と同じくらいの計上戸数ではモリモトや大和地所レジデンスもほとんど在庫がないが、それと同じくらいの売れ行きだ。
さて、この「上野」の物件。上野駅圏のマンションでは、いま伊藤忠都市開発(事業比率60%)と東京建物(同40%)の「クレヴィア上野池之端」が人気になっているが、こちらは上野駅圏というよりは千代田線根津駅圏だ。上野駅圏では、記者は5年前の「ザ・パークハウス上野」しか知らない。このマンションも安がったが、今回の物件も安いと思う。いま6物件で約460戸という大量のマンションが供給されようとしている「築地」の物件は坪450万円以上だ。
大激戦の「築地」と空白区の「上野」のどちらがいいか。競合はしないはずだが、どちらでもいい人にとっては悩ましい選択になりそうだ。