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2020/01/30(木) 17:47

分譲戸建て見直し再編 流通は強化 すてきナイスグループ「改善計画・状況報告書」

投稿者:  牧田司

 すてきナイスグループは1月29日、一連の事態に対応する「改善計画・状況報告書」を策定し公表した。昨年8月23日付「第三者委員会調査報告書の受領に伴う再発防止策のお知らせ」で開示した再発防止策の骨子及び自社による原因の分析並びに再点検に基づき、新たに必要と認識した対応策が盛り込まれている。

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 「改善計画・状況報告書」は資料を含めて36ページにわたる長文で、一つひとつ詳しく読んではいないが、分譲戸建て、分譲マンション、不動産流通事業などについて問題点を指摘・反省し、一定の方向性を示している。

 有価証券虚偽記載・赤字決算対策を行った背景として「当社は、リーマンショックを経て、一戸建住宅部門を収益の柱にすべくさらに、一戸建住宅の販売戸数を伸ばす手段として分譲住宅に力点が置かれるようになり、分譲用の土地購入が増加」し、「平田氏は、営業部門の役職員に対し、『商品は良いのに、売れないのは、販売方法が悪い』といった指導を行い、反論・意見を述べることを認めず、自身が決めたことを徹底して行うよう要求することが多くありました」「役職員人事について、平田氏は、反対意見を述べず、自分の戦略、思いや要望を忖度し、いかに実現するかを考えて行動する役職員を重用する傾向が強く、指示に従わない役職員には懲罰とも言える人事異動等を行うことがありました」「営業部門が最も大切であり、管理部門はコストであるという平田氏の意向を背景に、管理部門軽視の企業風土が醸成されていました」などと、平田氏の独断専行の結果だとしている。

 今後の各事業については、一戸建住宅部門のダウンサイジングと収益力の改善を上げ、拠点の見直しを行い、継続させる拠点を絞り込むことで、事業規模の適正化を図り、旧体制下での商品戦略・用地仕入れ・工事発注・販売方法などの見直し、収益モデルを再構築するとしている。

 マンション部門については、仕入れ・開発・販売基準の見直しと明確化により、当面は50戸~100戸程度の物件を年間2棟程度分譲する方針で取り組んでいく。

 既存住宅流通部門は、ここ数年、当部門から一戸建住宅部門に人員をシフトしていたため、営業基盤が弱体化していたとし、当部門に適正な人員を配置することで収益の拡大を図るとしている。

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 戸建て、マンション事業について記者の考えを紹介する。

 記者は2017年6月3日付記事で、「すてきナイス 三井、野村と肩を並べた分譲戸建て これからが正念場」と書いた。当時、三井不動産レジデンシャルと野村不動産が熾烈な戸建てトップ争いをしており、記者も競争をあおる記事を書いていた。

 断っておくが、トップ争いと言っても、大手デベロッパー(大手デベロッパーの定義づけをどうするかもあるが)に限定したもので、年間4万戸以上も販売していた飯田グループやその他のデベロッパー、ハウスメーカーの分譲戸建てと比較したわけではない。

 とはいえ、2011年3月期では207戸しか計上していなかった同社が2017年3月期に831戸に増やしたのには驚いた。このままでは三井、野村を抜くのではないかと思ったほどだ。

 しかし、その後は、三井も野村も戸数を減らすことになり、ナイスも目標にした1,000戸は達成できなかった。一言でその理由言えば、圧倒的な価格の安さを誇る飯田グループとはまともに勝負できず、その他のデベロッパー、ハウスメーカーは同じ土俵、つまり、供給エリアも価格帯も同じレベルで戦わざるを得なくなり、その分だけ競争も激しくなったからだ。

 そんな競争の激しいエリアですてきナイスは供給を伸ばすのは至難の業だろうと思っていた。

 三井がかろうじて大手デベロッパーの中で首位をキープできているのは、バブル崩壊後は「都市型戸建」に絞り込み、一貫して供給してきたからだ。ブランド力がそもそも違い。一朝一夕でトップに立てるほど市場は甘くない。

 「平田氏は、営業部門の役職員に対し、『商品は良いのに、売れないのは、販売方法が悪い』といった指導を行い、反論・意見を述べることを認めず、自身が決めたことを徹底して行うよう要求することが多くありました」とあるように、〝良いもの(のみ)が売れる〟時代でないことは平田氏も分かっているはずだ。消費者は〝ない袖は振れない〟。こんなことを言ったら身も蓋もないが、〝地獄の沙汰も金次第〟だ。

 すてきナイスは、神奈川では圧倒的な知名度があるはずだ。分譲マンションも不動産仲介もまだまだ伸ばせる余地はあると思う。

 マンションは、免震の強みがあるし、一時は外断熱もあった。アッパーミドルに標準を合わせれば勝てると記者は思う。他社の商品企画だって大したことない。

 仲介部門はよく分からないが、もうずいぶん前、鶴見の「住まいるCafe鶴見東」を見学して驚愕した。同社ほど地域の実情に通じている不動産仲介会社はないのではないか。既存マンション仲介だってリフォームだって、絶対に負けないのではないか。地域の人に寄り添うことだ。

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 今回の「改善計画・状況報告書」は、第三者委員会の報告書同様、平田氏と日暮氏に対しては改めて手厳しい批判を加えている。

 しかし、世に七つの大罪とされる「貪食」、「淫蕩」、「金銭欲」、「悲嘆」、「怒り」、「怠惰」、「虚栄心」、「傲慢」のうち平田氏と日暮氏に当てはまるものほとんどない。あれほど〝大罪〟を犯しながら政治家先生はみんなしらを切り、居直り続けているではないか。

 両氏はナイスとは縁を切られたが、罪を悔い改めれば、間違いなく執行猶予付きになると思う。〝木の伝道師〟として復帰する舞台は整っている。

 裁判の公判日程は未定で、どうやら3月以降になりそうだ。

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