昨日(8月17日)行われた大和ハウス工業「Dタワー西新宿」の報道陣向け内覧会で、賃貸住宅とサービスアパートメントを併設した理由について同社執行役員東京本店長・竹林桂太朗氏は、過去に分譲された新宿区内の近接マンション購入者に占める中国人を中心とする外国人比率が高く、賃貸住宅でも一定の需要が見込めると判断したためと語った。
記者は、同社が用地を取得した5年前、分譲マンションにすれば、立地条件からして坪400万円でも売れると思ったが、同社は分譲では採算が取れないと判断したのか、それとも当初から複合ビルを考えていたのか、今回のような施設となった。
新宿区には中国人を中心とする外国人居住者が多いのはよく知られており、住友不動産「セントラルパークタワー ラ・トゥール新宿」、野村不動産他「富久クロス」、三菱地所他「ザ・パークハウス西新宿タワー60」などの賃貸・分譲マンションでも中国人などの外国人の入居・購入比率が高いのを記者も確認している。大和ハウス工業も同じような読みをしていたのは間違いない。
ところが、新宿区の外国人居住者の転出が最近激増しており、歯止めがかからない。「Dタワー西新宿」の入居率にも少なからず影響を与えているはずだ。
同区の人口は、昨年11月の349,303人から今年8月は346,198人へ3,105人減少しているが、日本人・外国人別では、日本人は306,093人から308,474人へと2,381人増加しており、外国人は43,210人から37,724人へ5,486人も減少している。外国人の減少で目立っているのは中国人で、昨年11月の15,351人から8月は12,779人へ2,572人減少。減少率は実に16.8%に達している。
このほか、今年7月1日現在の東京23区の外国人居住者は474,727人(前年同月比6,169人減)となっており、都が毎年4回行っている調査によると、東日本大震災の影響と思われる平成25年7月以来、7年ぶりに減少に転じた模様だ。区別では新宿区のほか29,636人の豊島区(同2,619人減)と19,645人の中野区(同1,122人減)が4ケタの減少。杉並区、北区、荒川区、台東区なども3ケタの減で12区が減少している。
増加しているのは32,805人の足立区(同1,244人増)、30,242人の江東区(同960人増)、36,751人の江戸川区(同531人増)、22,288人の世田谷区(同516人増)、24,613人の大田区(同498人増)など。
区内の外国人の人口流失と新型コロナの因果関係はいま一つ不明だが、これだけの人が動くのだから、分譲・賃貸市場への影響も少なからずありそうだ。
新型コロナの影響か 23区の外国人居住者 4カ月で7千人減少 中央・江東などは増加(2020/5/13)
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