RBA OFFICIAL
 
2020/08/31(月) 12:42

日本財団 渋谷区公園トイレ整備に17億円 「西原一丁目」完成/真逆の児童遊園

投稿者:  牧田司

IMG_7721.jpg
「西原一丁目公園トイレ」

 日本財団は8月31日、国内外の16名の著名な建築家・デザイナーを起用して渋谷区内の公園17か所にトイレを設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」のうちの一つ、「西原一丁目公園トイレ」(デザイン:坂倉建築研究所取締役会長・坂倉竹之助氏)が完成したのに伴い報道陣に公開した。

 「西原一丁目公園トイレ」のテーマは「ANDON TOILET」。「従前は利用頻度が極めて少ない実態があり、近寄りがたい印象すらあります。一般的なトイレ整備の目標とされる便器数の充足、待ち時間解消といった“数”や“時間”という数値とはまた別の魅力を持たせることでみんなが『利用したいと思う』トイレを創出することが、この敷地では重要と考えます。“行燈”としてのトイレが公園を明るく照らし出すことで、誰もが気軽に訪れる公共空間として望ましい姿になることを願っています」(同財団プレス・リリース)としている。

 プロジェクトは、同財団が渋谷区の協力を得て誰もが快適に使用できる公共トイレを2020年夏までに区内17カ所に設置・寄付し、2023年までは同財団も維持管理に関わるもの。クリエイターは安藤忠雄、伊東豊雄、隈研吾、槇文彦氏、坂茂氏ら16名。今回のトイレを含めて7か所で完成、または近く完成する。整備費用は7か所で約7.5億円。全体では17億円くらいになるもようだ。

IMG_7728.jpg

IMG_7723.jpg
2つある男女共用ブース(ほかに車いすも利用できる「だれでもトイレ」がある)

◇       ◆     ◇

 今回のトイレは建設中にも取材しており、記事を添付したので参照していただきたい。ライトグリーンの外観が美しく、周囲に低中高木を巡らしている素晴らしいトイレだ。

 問題は前回も書いたが、誰が利用するかだ。プレス・リリースも書くように「従前は利用頻度が極めて少ない実態があり、近寄りがたい印象すらある」。この日(31日)、1時間近く現場で取材したが、報道陣など関係者以外は一人も通行する人がいなかった。

 “行燈”として公園を明るく照らし出してほしい。〝行灯部屋〟のようにならないことを願う。

IMG_7729.jpg
入口の銘板(日本財団も坂倉竹之助氏の名もあるがもう少し目立つようにしていいのでは)

◇       ◆     ◇

 前回も書いたが、渋谷区は区立公園の写真撮影は事前に申請し、商業用写真撮影、ビデオ・映画撮影などは1時間3.5万円の撮影料を払い、許可を得なければならないと渋谷区立都市公園条例で定めている。区の担当者に「業として撮影するのではない。報道写真として撮影するのだから」とお願いしたが、ダメだった。(今回は日本財団が許可をとった模様)

 だから、腹いせに書くわけではないが、幡ヶ谷駅から今回の公園とほぼ同距離圏に広さ336㎡の「幡ヶ谷第四児童遊園」がある。

 写真を見ていただきたい(区に写真撮影の申請も許可ももらっていないが)。ほとんど公園内は砂場を含めて雑草に覆われていた。これほどの雑草が成長するまでどれくらいの日にちが必要か分からないが、2~3か月はかかるのではないか。

 区は条例で「公園を損傷し、又は汚損すること」(第11条)を禁止すると定めている。雑草をはびこるままに〝放置〟するのはこの条項に区自身が背馳しているのではないか。近隣の人は平気なのか。誰も利用しないからいいのか。

 一般社団法人日本公園緑地協会「全国中核市等における公園緑地の課題に関する調査研究」(平成28年)には、「500㎡以下の狭小公園については、「公園の統廃合」や「機能分担」等が望まれており少子高齢化・人口減少時代の到来を受け、かつて児童のための公園として整備されてきた小規模公園の利用が極めて低く、社会的ニーズとの乖離がある」との報告がある。

 行政任せにしないでみんなが公園のあり方を考えるきっかけに「THE TOKYO TOILET」がなることを期待したい。

IMG_7712.jpg
「幡ヶ谷第四児童遊園」

IMG_7717.jpg

IMG_7718.jpg

坂茂氏も坂倉竹之助氏も素晴らしい 日本財団の民設民営 渋谷区公園トイレ(2020/8/9)

渋谷区に安藤忠雄、伊東豊雄、隈研吾、槇文彦氏ら16人がデザインしたトイレ誕生(2020/8/7)

激減する利用者 激増する1人当たり占有面積 公園のあり方考える(2020/8/9)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン